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前回のあらすじ
ダイナミッククッキング
街に戻り、解散した後、俺たちは雀庵でパタっと寝た。
今日一日でマジ疲れた。
半端ないジェットコースターからの紐なしバンジーからの空中クッキングとそこらの修学旅行よりハードに感じた。
そう。寝たはずなのだ。
なのになぜ今俺は現世の俺の部屋にいるんですかねぇ。たまげたなぁ。
取り敢えずちょっと久しぶりのベッドにダイブ。
あーでもワンチャン雀庵の方が寝心地いいかも…
そんなことを考えながら多分夢の中でまた寝ようとすると体に何かが乗った。
目を開けるとそこには見覚えのないロリ。
黒い和服に手の一部に羽のようなものが付いている。
体に乗ったままこっちを眺めている。
どう反応すればいいのかさっぱりわからないので、取り敢えず挨拶をしてみようと思う。
「誰だ!?お前は!?」
「…」
意外!それは、無視!
てっきり「地獄からの使者、スパイd(以下略」とか来るかと思ったが、全くの無視。
取り敢えずロリっ子を降ろし、改めて観察する。
羽以外には特に何もないと思っていたら、袴の裾から右は足が一本出ているが、左からは二本出ている。
ぎゃー!バケモノ!と、叫びそうになるが、ふと気づく。
足が三本で羽?
「お前唐揚げか!?」
するとロリっ子はムスッとしつつも頷く。
少しかわいいと思ったが、それどころではない。
「お前随分小さくなったなぁ〜!」
ロリっ子がポカポカ叩いてくる。割と強いのでかなり痛い。
「待て待て待て!取り敢えず説明しろ!散々注意したのにこれか!?おい!」
するとロリっ子は叩くのをやめ、俺の頭を掴む。
その後おでこをくっつけてきた。
その際に半分頭突きになってちょっと痛い。
すると次の瞬間、様々な情報が流れ込んできた。
今まで経験したことのない感覚に戸惑ったが、なんとか理解した。理解できた!俺すごい!
「それで?俺も言わば空成と一緒になったと?」
ロリっ子は少し笑顔で頷く。
「じゃああのチビ助を回収したのは正解だったな…あ、名前考えないとなぁ。」
それでロリっ子もとい大烏の名前とチビ助の名前を考える。
「じゃあお前は唐揚げのカラちゃんとしよう。そうしよう。」
「…やだ…」
「喋れるんかい。だが残念ながらお前はカラちゃんで決定だ。唐揚げのカラ。カラスのカラだ。異論は認めん。」
「…ブー…」
「つくづく子供っぽいな。中身年寄りのくせに…痛い痛い痛い!つねるなつねるな!」
だが、俺の目には少しだけ嬉しそうに見えた。
さっきの頭突きでほぼ把握できた。
明日からは俺も稲美さんに弟子入りしようかな〜。
翌日、起床と同時に驚く。
チビ助がチビ助ではなくなっていた。
ざっくり言うと小さめのカラスサイズから孔雀サイズになっていた。
「カー!(あ!ご主人おはようございます!」
「なんでこんなに大きく?」
「えっと…僕にも何が何やら。」
「カー。(ご主人、これからよろしくお願いします!」
その時のチビ助の反応からなんとなくだが原因がわかった気がした。
「こいつ、アホの子や…」
「な、なんで?」
「俺にはわかる。なにせ俺の中にはこいつの親、もといこいつの生まれ変わる前がいるからな。つまりは昨日たくさん食べた食事の養分が頭に行かずに体に行ったんだ、そうだそうに違いない。」
「…そっか…」
「取り敢えず、お前は今日からヤタだ。八咫烏のヤタ。いいか?」
「カー!(はい!とっても気に入りました!」
「それは何より。」
それから朝ごはんを食べ、空成と話す。
「祟りの件は終わったし、これからどうする?」
「取り敢えず、俺も稲美さんに弟子入りかなとは思ってる。まだ力の使い方がさっぱりわからないし。」
「わかった。じゃあ今日は取り敢えず神社に行こうか。」
「あ、それについてなんだけどさ。」
「?」
「お前さ、あそこに住んじまえよ。」
「え!?」
「多分だが稲美さんは俺の力についてはほぼ無知のはずなんだ。だからあんまり意味がないと思う。俺は天狗屋の仕事続けながら色々試してみる。だが、いちいちあの階段登るの大変だろ?だからお前だけ神社に住めばいいんだよ。」
「な、なるほど…」
「あ、でもちょくちょくお邪魔するのだけは覚えといて。」
「はいはい。でも、わかった。今日行ったら話してみるよ。」
その後、案の定稲美さんは俺の力については知らなかった。
なので、ヤタを連れて本部に寄った。
そして由美華さんには概要を話した。
「わかった。だが、お前は当分休め。今回の件でかなり消耗したはずだ。一日中で回復するものではないだろう?」
「わかりました。そんじゃ、二、三日休暇もらいますね。あ、そういえば羽なんですけど、どうなりました?」
「先代大烏様の羽で間違いない。それでだな、あれはお前に渡そうと思う。」
「なんで?」
「だって、当代の大烏様が湊人なのだろう?ヤタを保護しているのも湊人だし、当然だと思うし、あのバケモノ討伐の褒美も兼ねてな。」
「でも、あんなのどうしたら…」
「ここの鍛治師の金谷という者に頼めば、ある程度加工してくれるはずだ。訪ねてみてはどうだ?」
「あれを加工ね…わかりました。行ってみます。」
羽はそのままでもとても硬く、金属の板のようにも感じるが、どこか柔らかい感じがする。
不思議な羽だが、これをどう加工しようか…悩むな。一度持ち帰ろう。
今晩までは空成も一緒だしな。
しかし、綺麗な羽だな…唐揚げのくせに…
そう心の中で呟いたとき、頭を突かれた気がした。
次回、湊人くん!新しい武器よ!