根源
前回のあらすじ
ドナ〇〇知ってる人いるのかな?
大烏に運ばれること数分、森の奥の方へ放り出された僕らは何が何だか分からず、周囲の探索を始めた。
「ねえ、あの大烏はなんで僕らをここに連れてきたと思う?」
「うーん。可能性としてはいくつか思いつくが、どれも可能性の段階でなんとも言えない。ってか、覚えてろよあの野郎!次会ったら唐揚げにしてやるかんな!」
「そういえば、湊人が調べようとしてたのもここら辺じゃない?」
「あぁ、だとすると祟りがたんまり出てくるか、はたまたその大元が出てくるか。どっちにしろやばいってことだ。あ、そうだ。そこそこ大きめな火の玉上の方に出しとけ。みんなが見つけてくれるかもしれない。」
「わかった。」
上に火の玉を出して、周囲の探索を続ける。
すると、妙に動物や昆虫が少ないことに気づいた。
蟻の子一匹いない感じだ。
すると、さらに奥の方から大きな魔力の反応を探知した。
しかもなんかすっごいくらい感じがする。
こう、黒いオーラがあるというか、何というか。
しかし、もしこれが僕らを連れてきた原因ならここで帰ってもまた運ばれるだけだ。
仕方なく、僕らはその奥へ向かった。
「湊人、ここら辺…」
「言わなくてもわかる。どうやら見つけたみたいだな。奥にそれらしい人もいるし、ここは天狗屋の仕事とみたね。」
奥へ行くと、洞窟があり、その奥に人が一人いる。
僕はスキル魔力探知で、湊人はスキル遠視でそれを確認した。
ただ、魔力探知ではさらに奥にとてつもなく大きい反応がある。
「やあやあ、そこの人?こんな森の奥の洞窟に住むなんて随分と物好きだねえ。ちょいと話を聞かせてもらってもいいかい?」
湊人が声をかける。すると、向こうはゆっくり振り返り、少し前へ出る。
よく見ると女性だった。
ローブで身を包み、怪しいの一言に尽きる。
話を聞くまでもない。
この人は悪い人だ。
「あら、坊やが二人、こんなところに何の用かしら?」
なんだか玉さんに似た雰囲気だと少し思った瞬間首の後ろが摘まれた気がして心の中で謝る。
「ちょいと散歩がてらね。お姉さんこそこんなところで何してるの?こんなジメジメしたところはお肌に悪いよ?」
「ふふ、面白い子ね。お茶でもいかが?」
「あいにく怪しい人にはついていっちゃダメって習ってるんでね。丁重にお断りさせていただきます。」
「怪しいだなんて、失礼しちゃう。」
張り詰めた空気の中、湊人と女性は話を続ける。
が、そろそろ限界がきた。
「んじゃそろそろ本題に入るとしよう。あんた、祟り…いや、ここらの怪物の親で間違いないね?」
その問いに女性は黙った。
「この状況での沈黙は肯定とみなすよ?それでいいよね?」
そう言って湊人は弓を構える。僕も構えて、いつでも魔法、妖術を使えるようにする、
「ふふふ。だとしたら、どうするの?お姉さん怖いわぁ」
「どうすると思う?悪いけど、女だからって容赦しねえぞ?」
なんとなくわかるが、湊人は明らかにキレている。
理由は明白、祟りのせいで多くの人が苦しんだ。
あの街は僕らにとってもはや第二の故郷といえる。
そこを荒らす輩を許しはしない。
「あら、怖いわねえ。冤罪だったらどうするの?」
「あいにく俺は怪しければ叩く主義でね。逆に聞くが、冤罪だっていう証拠出してもらおうか?ま、出せないだろうけど。んじゃ質問を変えよう。なんであんなことした?」
あんなこととはもちろん祟りのことだろう。
「そうねぇ。実験かしらね。」
そう答えた女性は懐から黒い石を出した。
「これの完成のためにね。私の主の命令なの。」
「だとしても普通やるか?被害とか考えないの?」
「ふふ、これが完成した後の世界のためなら、大したものではないでしょう?」
その瞬間、湊人は矢を射った。
女性は首を傾げて避けたが、ほおに一筋の切り傷がつき、そこから血が流れる。
「はい。悪者認定。大人しく投降しなさい。ま、従うわけないと思うけど。」
すると女性は少し笑った。
「ふふふ、小僧二人が…私に敵うと?笑わせないでちょうだい!」
すると女性の後ろから大きな影が襲いかかってきて、僕らは洞窟の外まで吹っ飛ばされた。
その影はそのまま天高く舞い上がり、再度攻撃してくる。
それは鳥に見えなくもないが、足が犬とかそういう感じだったり目が片方なかったり、もはやぐちゃぐちゃの生物だった。
僕と湊人は攻撃を避けるが、空中からの波状攻撃に手も足も出ない。
すると、大烏が突然出てきて、そいつと闘い始めた。
きっと僕らはこのために連れてこられたのだろう。と僕らは理解した。
「空成、お前は妖術であいつの援護しろ。女は俺がやる。」
「でも、一人じゃ…」
「悪いが、あの女は俺が殺る。俺の獲物だ…」
「…わかった。無理したら承知しないからね!」
「はは、妖術覚えたお前に怒られるのは流石にやばそうだな!」
湊人は起き上がり、洞窟の入り口に立つ女性に叫んだ。
「おい、ババア!見てろよ?その微妙に綺麗そうに見えて実は大して綺麗じゃない顔に風穴あけてやらぁ!」
次回、調子の乗りすぎにご注意ください。