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ゲー4(元)  作者: 鬼雨
目指すは再開、出会いは豪快
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再襲来

前回のあらすじ

調子乗ってると唐揚げにするぞ!




大烏の騒ぎから2日が経った。

この街の復興速度は半端ない。

あと2日もあればほぼ元どおりになるだろう。

理由は周囲の人々ほぼ全員が復興に参加していて、その上各種族の長所を生かしたあれこれであっという間に家が建つ。

そのおかげ、というべきか先輩に手伝いを止められていても罪悪感があまりない。

不謹慎かもしれないが、実際にこっそり手伝いに行ったら普段祟りから守ってもらっているから。と、断られた。

元気を与えるべき立場の俺が逆に元気を貰ってしまうとは…なんとしても祟りの原因を根絶しなければと再度思った。

話は変わるが、弓がそろそろ寿命で、今は天狗屋のものに変えている。

続く祟りとの戦いで大分ガタがきていたのだ。今は雀庵で保管中。

あとあとあいつの素材で新しい弓を天狗屋の鍛冶場のおっちゃんに作ってもらう予定だ。

ドワーフの人で復興の時も丸太を二、三本担いで歩いていた。

なんでも崩れる家を一人で支えて救助までの時間を稼いだという逸話がある。割とホントらしい。

服も織さんに直してもらった。

無理しすぎと注意を受けてしまった。

なんでもお得意さんが倒れられては困るそう。

そう言いつつ実際のところは空成を狙っている。

あの目は間違いない。

現世でもそうだったが、実は空成はモテる。

めっちゃモテる。

なんでも保護欲とか母性を刺激されるらしい。

クラスの約八割は空成のファンクラブみたいなのを作って所属していた。残りの二割は翔だったりする。

しかし、空成は致命的な欠点がある。

鈍いのだ。

とてつもなく鈍い。

家庭がそんな感じだからああなったんだと思うが、あいつの「好き」に「愛してる」は入っていない。

純粋無垢とはよく言ったものだ。

クラスのとある女子に告白された時の受け答えがこれ。

「うん。僕も好きだよ?涼太郎や翔や湊人と一緒で、〇〇さんのこともね。(ニコッ」

この時俺たち三人は陰で見てたが、あれは素で、その女子も悲しむどころか、好きと言われるだけで満足したようだ。

それも含めてのファンクラブなのだが…

一時期、翔派と空成派で割れたことがあり、なだめるのが大変だった。

八方美人ともまた違うのかもしれないが、あいつには天性の女性キラーの特性がある。

ちなみに年上にはよりウケがいい。

熟女キラーと他の男子に言われていたが、否定できない。

巷のおばちゃん達は全員味方だったもんなぁ〜

最近神社で思うが、十中八九稲美さんもそうだろう。

俺がいる時といない時の態度の差が激しい。

はてさて、あいつがどっちか、又はどっちも食べる日が来るのだろうか。

いや、食われるのが先だな間違いない。

っと、それよりも、だ。

俺はまた森に来ている。

理由は調査。

一応神社にいることにしている。

今度は祟りを連れ帰るなんて失敗はしない。

前回よりもう少し進んでみたが、やはり奴らはこの先から来ているみたいだ。

今度由美華さんに話して大規模な討伐隊を組むべきかもしれない。

とりあえず今日は撤退しよう。

あまり長居するのも良くはない。

ということで雀庵に戻る。

せっかくなので、台所で晩御飯の用意をしている蓮子さんを手伝う。

現世でもよく涼太郎の料理を手伝っていた経験があるので問題ない。

涼太郎の親は料理に関しては鬼だったからな。

かなり徹底的に叩き込まれていた。

おかげで現世では飯には困らなかった。

「湊人さんも包丁握るんですね。」

「意外?」

「いえ、上手だなあと思いまして。」

「昔の友達の手伝いしてるうちに自然とね〜。あー大根を煮るときはこうやって切れ込みを入れて…」

「色々知ってるんですね。勉強になります。」

「俺の友達はもっとすごいぞ。修行の質が違え。地獄よ。地獄。あの頃は元気なかったな〜」

「じ、地獄…(ゴクリッ」

「ま、おかげで俺たちは美味い飯にありつけたんだけどねー。」

「私もまだまだですからね。頑張らないと。」

「十分上手いと思うよ?流石、宿の台所任されてるだけある。」

「祖母に比べれば…まだまだ…」

「あー比べる相手は間違えないほうがいい。」

「え?」

「あの人の腕は長い時間を費やして手に入れたもの。こればっかりは同じだけ時間を費やさないとどうにもならない。そんな相手と比べるのはバカのすること。」

「バ、バカ!?ですか…」

「そ、子供が剣の達人と自分を比べても、大して意味ないでしょ?そういう相手と自分を比べるのはその域に達してから。上より横を見て頑張るの。上ばっか見てたら、足元すくわれるからね〜。たまに横や下見るのも大事ってこと。」

「な、なるほど…」

「たまに上も横も下も見ない人いるけどね。」

「え?」

「誰かとの戦いではなく、己との戦いだと思ってる人はそうする。敵は自分自身だってね。」

「そんな人が…」

「ほら!考えるのはあと。ちゃっちゃと済ませるよ。」

「はい!」

その日の煮付けは美味かった。


翌日、大烏がまた来た。

今度は本部に。

今度こそ唐揚げに…と思って監視台に登ると、奴は俺と空成を掴んでそのまま飛び去る。

みんなが後を追ってついてくるが、大烏のほうが圧倒的に速い。

「おい!なんのつもりだ!離せ!唐揚げにしてやる!」

「ねえ!何か理由があるんでしょ?それを話してくれないと!」

大烏は御構い無し。

怒りながらも頭の中で流れる「ドナ〇ナ」を止めようと頑張る。

すると祟りの根源である森の方へ向かっているのがわかった。

どうやら討伐隊を編成する時間はないようだ。



次回、悪の権化、現る!

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