表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲー4(元)  作者: 鬼雨
目指すは再開、出会いは豪快
108/194

神さま

前回のあらすじ

神社には巫女さん(?)がつきもの




「か、神さま、ですか?」

「ええ。」

「えっと…石像にでもされるんですかね?僕…」

「ふふふ。そういうのではないわ。ここはお狐様を祀ってる神社なの。」

「では狐に?」

「まあ、ええ。」

帰るべきか…それとも…

「それと[祟り]とどういう関係があるんですか?」

「そうね…力が手に入るわ。[祟り]を倒せる力が。」

そういう感じか…

[祟り]への対抗策になるなら欲しいところだけど、狐にされるのはなぁ…

でも話してて感じるけど、悪い人じゃあなさそうだし…

「迷っているのね。」

「…はい。」

「安心して。狐になると言っても、その力を授かるだけで姿形が狐になるわけではないの。」

だとしても、どうしても裏があるように思えてしまう。

だが、ここは真偽を確かめるためにも話に乗ってみよう。

「わかりました。でも、力を授かるってどうやって?」

「実際に見てもらった方がいいかしらね。彼女とも話す方がわかりやすいだろうし。」

そう言って稲美さんが立ち、山の裏の方へ案内される。

山の裏は街からは見えず、下は森と一体になっている。

すると、岩場に着いた。

稲美さんが手を一振りすると、一部の岩場が消え、洞窟が現れた。

「こちらに。」

中は薄暗かったが、稲美さんが火の玉を出し、側の灯篭に灯し、明るくしてくれた。

洞窟に入った時から感じていたが、奥に何かがいる。

明るくなって、その姿が見えた。

大きな狐だ。

稲美さんと同じ九本の尾を持った狐。

寝そべっていて車ほどあるが、なんとなく元気を感じられない。

稲美さんがその狐に近づいていき、顔を撫でる。

「彼でいいのね?」

その言葉に狐が頷く。

「彼女のおでこに手を当てて。」

そっと近づき、手を当てる。

狐が目を閉じると、たちまち狐の体が灰になって、紅いきれいな石が残った。

僕が驚いていると、急に眠くなってきた。

「彼女をよろしくね。」

稲美さんがそういうと、意識が離れていった。


その頃、山の麓にて

「んあ?」

目を覚ますと山の麓にいた。

部隊のみんなも一緒だ。

しかし、空成の姿が見えない。

「湊人、空成は?」

「さあね。多分上だろうさ。」

「なぜ彼だけ…」

羽宮さんたちが戸惑っている。

未だかつてあの上に行けた人はいないのだから。

「引き際は心得てるだろうしな。多分大丈夫だと思うぜ?」

そう言いつつも、少し心配だな。

だが、なんとなく大丈夫な気がする。

「帰ってこいよ?」


気がつくと、部屋にいた。

僕の部屋。

マンションの一室。

服装は天狗屋のものだ。

ではなぜ?

帰ってきたのか?

困惑していると、奥から女性が走ってきた。

一瞬稲美さんかと思ったが、違った。

しかし、狐耳に狐の尻尾が一本ある。

その上、割烹着。

「お帰りなさいませ!あ・な・た。」

「え、ええ!?」

「ささ、とりあえず中へ。」

背中を押されながら中へ行く。

内装は転生する前のまま。

そのままソファに座らされ、また女性も隣に座る。

「では、ご飯にします?お風呂にします?それとも、わ・た・し?」

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!」

慌てて女性を制す。

「まず、貴方はどなたなんですか?それに、ここは…」

「どなたって、先ほど会ったではありませんか。」

「?…もしかして?」

「ええ、あの狐です。」

「どうしてこんな格好に…」

「馴染みやすいかと。」

「むしろ混乱します!」

「では、裸エプロンのほうが?」

「余計困ります!」

なんとか話をするところまで来た。

「ここは、どこなんです?」

「ここは貴方の精神世界みたいなものです。まあ、夢の中とも言えるかと。」

「それで、この部屋なのか…」

改めて部屋を見回す。

まだちょっとしか経っていないのにとても懐かしく感じる。

「にしても、見たことないものばかりですねえ。」

この人(?)は向こうのことを知らないから仕方ないのか。

「僕とあなたはどうなったんですか?」

すると、彼女は頰を赤らめながらはなす。

「その結ばれた。とでも言いましょうか///」

「具体的には?」

僕の反応が不服なのか、口を尖らせる。

「魂がくっついた状態です。」

「稲美さんの話と、どういう関係が?」

「では、僭越ながらご説明させていただきます。まず、私は物の怪の中でもかなりの上位な個体で、ここはそうですねぇ…神獣とでも呼びましょうか。それくらいすごいんです。そして私たちは世界の均衡を守るための役割を持っています。しかし、私たちだって歳をとり、弱ります。そこで、信用できる者を選び、後継者に選びます。その際、魂を結びつけ、力を与えるのです。」

「その後継者が、僕と?」

「はい。」

「人なんですけど…」

「後継者は必ず同じ種族でなければならない訳ではないんです。」

「そうですか…じゃあ、あなたについて教えてください。」

「私はもともと、神社で祀られていて、ここら辺にいたのです。稲美とは後継者が現れるまでの契約とでも言いましょうか。あの神社も時が経つにつれ廃れていってしまったので、稲美に任せていたのです。そして、神社の周りに結界をはり、私が後継者に選んだ者以外は帰るようにしました。結界は稲美の身の安全のためです。私と契約したせいで、あそこに半ば縛り付けるようになってしまいましたし。」

「どうして僕を?」

「勘です。」

「ええ!?」

「女の勘は凄いんですよ?」

「…ところで、名前は?」

「名付けてくれる人がいなかったので無いんです。よければ、何かつけてください!」

期待の目で見つめられる。

尻尾も振って。

「…じゃあ、玉さんで。」

「ほう。なぜ?」

「稲美さんの苗字が玉上だったので、家族ということにして、はい。嫌、ですか?」

「とんでもない!とっても気に入りました!」

「では、次に、稲美さんは神様になるって言ってましたが、それについて教えてください。」

「あの神社で祀られる対象になるということです。もっとも、あなたの自由ですが。そして、私の力を受け継いだので、色んなことができるようになります。」

「というと?」

「それについては向こうで稲美が色々教えてくれるはずです。あなたにも生活があるでしょうし、寺小屋のように神社に通うようにすれば良いかと。ちなみに、結界もあなたの自由です。消すも残すも。」

「なるほど…」

頭の中で情報を整理する。

まず、ここは僕の頭か心の中。

玉さんは凄い物の怪で、神社に祀られていた。

玉さんは後継者を探すようになり、勘で神社に居座り、僕を選んだ。

僕は玉さんから力を受け継いだ。

おそらくこれが[祟り]への対抗策になる。

これからは神社に通い、稲美さんに教えを請う。

それで、目を覚ましたら湊人と、羽宮さんには話を通したほうが良さそう。

「ふふ、考えてますね。」

「え?」

「魂がくっついているんです。考えてることもちょっと分かります。」

すると、急に玉さんが正座で向き直る。

「唐突で、無理をお願いしたのは承知しております。しかしどうか、末永く、よろしくお願いいたします。」

そして頭を下げる。

「こちらこそ、よろしくお願いします。」


提案をのんだ僕の判断は正しかったと思う。

次回、先生は巫女で九尾で従者?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ