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第四章 3



 天草四郎サイド 寛永16年(1639年) 一月某日(七日後) 江戸 吉原




     1




 狭い通路にて、大店の主と呼ばれる立場の老人達が横一列に並び、荒い息をしながら腰をかがめて障子にしがみ付いていた。

「これは……見入ってしまいますな」

「ええ。若かりし頃の滾り……いや、違いますな。もっと昔の……」

「憶えがあります。子供の頃、外を駆けずり回ってて、偶然、塀の向こうで若い御内儀が行水してるのを見付け……仲間達と順番に小さな穴から……」

 うん。何だ、この光景?



 ――



 岩盤浴(溶岩浴?)に着エロを加味したものを披露したら、えらいウケた。やっぱりエロは時代関係なく強いね。21世紀に『HENTAI』が万国共通語になるだけある。

 マッサージオイルがあれば更に本格的になったのだが、流石にそれは思い浮かばなかった。……のだが、

「ふのりでいいんじゃないか?」

 忠さんがあっさりと解決策を口にする。よく判らんが、甚右衛門さんも「成程」とか言ってのでそこは任せちまおう。ふのりって板海苔の親戚だっけ?

 とにかく、脱水症状だけは気を付けるように言い、俺は甚右衛門さんに次のお願いを口にした。

「大坂の鴻池さんから俺等の話を聞いた商人達が面会を求めてるんですよ。甚右衛門さん、会合を仕切ってくれませんか?」

 商人達のリストを渡すと、ふむ、と呟き了承してくれた。

「この者達でさっきのやつを試せ、と? で、度肝を抜いたところで有利に話を進めようって腹ですか。意外と悪党ですな、怨霊殿」

「いえいえ、吉原作った惣名主殿にはかないませんて」

「ははは」

「ははは」

 笑い合う俺等を見て、連也が「気持ちわるッ!」と叫んだ。



 ――



 マッサージを受けてた女の子を今すぐでも布団に連れ込みそうだったが、さすがに大店の御主人、吉原で床急ぎは嫌われるのを知っているので打ち合わせ用に手配した一室に大人しく付いて来た。

「取り敢えずは一献」

 他の部屋は三味線や笑い声で煩いが、俺と雪ちゃんで大店の主人達、それに甚右衛門さんと高尾太夫に酒を注ぐ。

 こっちの連れである忠さんに連也、半兵衛さんは……うん、お前らは手酌でやってくれ。ってか、連也、お前は水。

 コクリと酒を飲んだ大店の御主人Aが口を開く。

「大坂の鴻池さんから、相手は化け物だ、それを踏まえた上で会え――と手紙で言われてましたが、成程、べんがら格子ではなく、女の按摩される姿を障子越しに見せるとは……」

「貴方は確か、本郷の……」

「ええ、駒込で八百屋をやっております。それで張孔堂さん、私等は貴方達の智慧を借りるのに何を支払えばよろしいので?」

「何も」

 俺はニコリと微笑み、首を左右に振った。金を要求されると踏んでいたのか、御主人達が眉間に皺を寄せる。只より高いものは無い。それを知っているからだろう。

 甚右衛門さんが酒に口に付ける。

「ま、普通はそういう顔になるわな。でも、冷静に考えれば判る事だぜ」

「……と、言いますと? 御隠居殿」

「アンタ等は遊女屋じゃねえ。でも、商人の目から見てさっきの光景は金の匂いがプンプンした筈だ。春画にして売り出したらどうか……とかな?」

 俺と話す時と違って迫力のある喋り方だな、甚右衛門さん。べらんめえ口調で話す某政治家を思い出す。今日から『甚右衛門閣下』とでも呼ぶか?

 八百屋の御主人が微笑むと、甚右衛門さんは再び酒を煽り、

「オイラだったら、絵師やら刷師だのに伝手つてがある。だが、この兄さん達にはそれが無い。――さて、アンタ等にあるのは何だい?」

「それは……商人として今までの経験と勘? そして多少の蓄えでしょうか??」

「そういう事よ。それだって、この兄さん達には無いものだ。……つまり、オイラの持つ伝手と、この兄さん達の思い付き、そしてアンタ等の経験が上手いこと噛み合わないと仲良くやっていけねえ。そういう訳で、アンタ等から単純に金を貰う訳にはいかねえ、そう言ってるのよ」

「成程」

 御主人達が顔を見合わせ、頷き合ってる。

 雪ちゃんが微笑み、杯の酒をちびりと舐める。

「この吉原には様々な人達が集まります。それは即ち、情報が集まるという事。それを分析すれば、どこそこに新しく店を出したら、これぐらいの売り上げが見込めるだろう――などの読みも出来るのではないか? 私達はそう考えてます。欲しくありませんか、その読み?」

「しかし、その分析をするには我等の経験も必要と……。つまり我等は皆、五分と五分の関係」

 御主人Bが何度も頷き、手を組みましょ、と言った。他の御主人達も、ですな、と頷く。

「面白いと思います。こうなったら腹蔵なく話し合いを……」

「ええ。まず飢饉対策に……」

 雪ちゃんが芋について説明を始める。

 ふう。これで風魔のマーケティング&コンサルティング会社化の足掛かりが掴めた。後は、ノウハウを確立して……。


「……おやじ様、失礼します」


 考えをまとめようと目をつむりかけてたところに、やくざの若い衆そのままの男――亡八? ――が入って来て甚右衛門さんに何やら耳打ちした。




     2




 ガタリ、と立ち上がった忠さん達を制し、俺は刃物の切っ先のごとく鋭い目つきになった甚右衛門さんに声を掛けた。

「狼みたいな目になってますよ、御隠居。何があったか知らないけど、まず、こちらの御主人達を裏から帰してやって下さい。変に人に見られて痛くもない腹を探られるのは面白くない」

「確かに。……高尾、頼む」

「あいよ」

 高尾太夫が立ち上がり、彼等を先導して部屋を出る。最後尾は例の駒込の八百屋さんだった。

「面白い会合でした。また場を設けましょう」

「ええ、是非」

「……私に娘が居れば、貴方に縁付かせるのですが。あ、まだ生まれてませんが孫娘が出来たらいかがです?」

「近々、お生まれに?」

「いえ、息子はまだ修行中で嫁も居ません」

「とっとと帰れ!」

 互いに苦笑いしながら再会を約し見送る。


 ――あれ? 本郷駒込の八百屋の娘って……どこかで……??


 何か引っ掛かったが思い出せなかった。どこかで聞いた気がするんだが……。どこだっけ?? この寛永の世?? いや、平成の世??




 ――




「これは……?」

「うん、心の臓を一突き。まごう事なく死んでるよ、四郎兄ちゃん」

 甚右衛門さんに付いて向かった二階の一室、そこに敷かれた豪奢な布団の上で遊女が仰向けに倒れていた。着物から布団にかけて血に染まっており、血の気が失せて真っ白になった彼女の顔はまるで陶器のようで、不思議と綺麗だった。

「禿が酒を持って部屋に入ったら、これだったとよ」

「その禿は?」

「今、別室で亡八達が話を聞いているよ」

 厳しい表情した甚右衛門さんが両手を組み、部屋の隅に視線を向ける。そこには膝を抱え、真っ青な顔でガタガタと震える顔の整った男が居た。側に血に濡れた脇差が転がっている。

「このお兄さんが犯人? とてもそうは見えないけど」

「名は青山播磨。旗本の次男だか三男だかで、死んだ女の馴染みだったらしい。『大小神祇組』の一人だよ」

「大小神祇組?」

「知らないか? 旗本奴……町の鼻つまみ者の一人さ」

 武家の次男や三男ってのは、長男のスペアである。つまり、長男が無事な限り延々と日陰者なのだ。だから鬱屈したものが溜まり、それを発散しようとかぶく。

 俺としては、某漫画の影響で権力に媚びず、カッコいい生き方を貫くのが傾奇者ってイメージがあるんだけど、それは乱世までのようだ。江戸時代に入ると、周囲に反発して触れる者すべてを傷付ける、思春期ならまだしもいい大人がやったら駄目だろうって感じの迷惑この上ない連中らしい。

 で、大小神祇組だが、リーダーの名は水野十郎左衛門。祖父の勝成は「無双キャラかよ、お前は!?」ってレベルの戦場の悪魔で、父の成貞は髑髏の紋様の入った衣服を纏い、刀の柄には棕櫚を巻いた「ロックでもやってるのかよ?」って男、そして母は成貞の姿に一目惚れして押しかけて来た阿波蜂須賀家のお姫様と、もう、どこからツッコんでいいのか判らない、とにかく凄い血統の申し子である。

 芝居や時代劇で有名な幡随院長兵衛をリーダーとする町奴との抗争は、最終的に長兵衛を惨殺、水野自身は幕府により切腹を命じられている。……寛永版『仁義なき戦い』というか、大江戸版『ゴッドファーザー』というか。もう、いっそ『鍵屋ノ辻の決闘』――これも結局は旗本奴と外様大名の意地のぶつかり合い――を外伝として近松門左衛門か鶴屋南北にでも舞台化して貰ったらどうだろう? あれ、してたっけ??

「でもな、怨霊?」

 興味なさそうに室内を見ていた忠さんが口を開く。

「何です?」

「……俺達がここに居る意味あるのか? 遊女を殺したのはコイツなんだろう? この青瓢箪を番所に突き出せば、それで一件落着だろうに??」

「ふむ。殺した動機は?」

「女と無理心中を図ったが、男は死にきれず生き残った――そんなとこじゃねえか?」

「成程。事件解決だ」

 何となく付いて来ちゃったけど、俺等、居る意味無いっすね。帰るか。

「駄~目、四郎兄ちゃん。これ、そんな簡単な事件じゃないよ」

「ですね。その人は殺してないと思います」

 殺された遊女と落ちていた刀を調べていた連也と半兵衛さんが首を左右に振る。え、何この展開? お前等、コナン君か金田一少年の役回りなの??

 甚右衛門さんが、やっぱりか、と両腕を組む。

「そいつの目は人を殺した奴の目じゃあねぇ。しかしそうなると、殺したのは誰だ?」

 俺と雪ちゃんは顔を見合わせ、さあ、と二人して首を傾げてみせた。


「――お~い、おやじ殿。店の入り口で旗本迷惑男が騒いでたから連れて来たぞ」


 障子がスラリと開き、涼し気な眼をした色白の美少年が高尾太夫と男を連れて入って来た。男は派手な着物を着崩したイケメンで、歳は20代後半から30代前半ってところか。チンピラみたいに俺達にガンを飛ばしてきてる。

 甚右衛門さんが額に手を当て、溜息を吐いた。

「また面倒臭ぇのを……勘弁してくれよ、吉良の若様」

 え~と……誰?




     3




 俺の記憶を読み取ったロリ巫女様のスキルを使えば、この青山とかいう兄ちゃんが本当に殺したのか否か、すぐに判ると思うのだが……。

 と呟いたら、雪ちゃんが首を左右に振った。

「四郎様。小太郎様は風魔の棟梁。限られた人以外の前には姿を見せる訳いかないんです。有難みが無くなっちゃう」

「そんな事言ってるから巨人伝説が生まれたんじゃないの?」

 半兵衛さんと連也が調べて気付いた事を、雪ちゃんが紙に書いてまとめる。


 一つ。この青山という男は返り血をまったく浴びてない。

 二つ。凶器はこの刀で間違いなさそうだが、切っ先は遊女の乳房の下辺りから刺し込まれている。


 この二つをクリアするには、後ろから彼女を抱き締めて刺す――つまり、敵地に潜入した特殊部隊が見張りを音も無く排除するような――やり口しかない。

 だが……、

「だから言ってるだろう! 青山は犬も殺せん気の弱い男だ。女殺しなどする訳がないッ!!」

 畳を叩いて怒りの声を上げるのは水野十郎左衛門。大小神祇組の親分である。

 十郎左衛門は生年がはっきりしておらず、一応、寛永7年(1630年)とされている。弟が1641年の生まれだから、1630年ってのは妥当だと思うのだが、つるんで遊んでた加賀爪甲斐――この人、実は一万石の大名らしいです。もうちょい、人生についてとか考えた方がいいと思うぞ、アンタ等――が慶長15年(1610年)の生まれなので、1630年の生まれだと20も下になってしまう。そんだけ差があると、遊び仲間というより加賀爪甲斐が兄貴分、十郎左衛門は舎弟だと思うのだが、大小神祇組のリーダーはどの資料読んでも十郎左衛門なのである。もしかしたら親父の成貞の逸話と十郎左衛門の逸話が混ざっちゃってるんじゃないか、と思ってたのだが……。


 ――もしかして、歴史、微妙に狂ってきてる??


「しかし、そうなると殺したのは誰だって話になるぜ、神祇組の大将?」

 吉良の若さんと呼ばれた少年が皮肉っぽい笑みを浮かべ、部屋の隅に転がってた徳利を拾って左右に振ってみせた。「――空でやんの。高尾姐さん、酒、頼んでいい?」

「しょうがないわね。亡八に持ってくるよう頼んであげるわよ」

 肩を竦めて高尾太夫が部屋を出て行く。随分と甘いな。もしかして高尾太夫さん、ショタコンですか?

「甚右衛門さん、この兄ちゃんは何者?」

「ああ、ウチの女達に読み書きや和歌を教えて小遣い稼ぎしてる御曹司サマだよ。実家は大名に礼儀作法を教える高家筆頭だったか」

 高家筆頭……?

 吉良……?

 まさか……いや、もしかして……年齢的に考えて、吉良……上野介……義央か??

 忠臣蔵のッ!?

 このジャニーズ系美少年が歴史に名高い因業ジジイになるの??

 俺が何度も目を瞬かせると、それに気付いた吉良の若さまがニヤリと笑ってみせた。

「宜しくな、兄さん。――って、どうした? 悲しそうな顔して」

「いや……歴史の流れって残酷だなって……」

 ちょっと泣きそうになってしまった。

「ん?」

「何でもない。――で、キー君、確認で一つ二つ訊きたいんだが、この西田屋では、客は刀を持って座敷に上がるのか?」

「誰だよ、きぃくんって」

 美少年がヘラヘラと笑い、そんな店ある訳ないだろう、と言った。店に上がる際に刀を預け、帰る時にそれを受け取るシステムらしい。

「じゃあ、その刀はどこから湧いて出た?」

 水野の親分さんが眉間に皺を作って血塗れの刀を睨む。

「虫じゃないんだから、刀は湧かないだろ? ――もう一つ訊きたい事って??」

「この死んだ娘の素性、知ってる? 武家の娘っぽいけど」

 俺の質問にキー君は小首を傾げ、甚右衛門さんに視線を向けた。

「俺は知らんけど……おやじさん?」

「幡随院とこの……ほれ、今、売り出し中の威勢のいい若造が居るだろう? そいつの口利きだよ」

 その言葉に反応したのは水野の親分さんだった。目が一瞬、吊り上がって殺気染みた光を放った。禁止ワード踏んだみたいだよ、御隠居。

「幡随院? ……長兵衛か?」

「ああ、そいつだ。そいつの顔見知りで……」


 バンッ!


 襖が音を立てて開き、達磨みたいな顔したオッサンが立ってた。目が血走っており、どうも怒りで頭が沸騰しているらしく、ドスドスと畳を踏み締めて中に入って来る。その後ろには徳利を持った高尾太夫さんが苦笑いを浮かべていた。

「ごめんなさい。コレ、付いて来ちゃって……」

「噂をすれば……、か。元居たところに返してこい、高尾」

 御隠居、捨て犬じゃないんだから。

「惣名主殿! 亡八共が噂してたが、オレっちが口利いた娘が殺されたって本当かい? オレっちの顔が懸かってるんだ。殺した野郎の首、渡して貰うぜ!!」

「相変わらず暑苦しい奴だな、長兵衛!」

「水野の旦那!? 何故、アンタがここに?? ……まさか、殺したのはアンタかッ!?」

「違ぇよ! いいから座れ!」

 水野の親分さんの怒声に顔をしかめ、幡随院のオッサンが腰を下ろす。

 遊女の死体を横に、俺、雪ちゃん、連也、半兵衛さん、忠さん、甚右衛門さん、高尾太夫、キー君、水野の親分、そして幡随院のオッサンが車座になって座り、離れて座敷の隅に膝を抱えてる座ってる第一容疑者の青山播磨……うん、カオスだ。

 睨み合ってる水野の親分さんと幡随院のオッサン。視線がバチバチ言ってるよ。

 頭をガリガリと掻く。

「あ、これが狙いか……」

「ん? どういう意味です、四郎様?」

「うん、証拠は無いんだけど、多分、俺の予想通りだと思う。――キー君と高尾太夫さん、第一発見者の禿の嬢ちゃんを連れて来てくれないかな?」

 キー君が、いいぜ、と言って立ち上がり、高尾太夫さんと一緒に座敷から出て行く。

 水野の親分さんがギロリと俺を睨んだ。

「坊主、何か判ったのか? さっさと教えろ」

 いや、謎解きやるのはアンタの役回りだからね? 嘘か本当か、名探偵明智小五郎を演じてた天地茂の御先祖ってwikiに書いてあるぜ、アンタ??

 俺は金田一耕助のごとく頭をガリガリと掻いて、

「子孫の名に賭けて――いや、そんな変なものを見るような目しないで。まず、判ってる事を整理しましょう。


 一つ。客は、座敷に刀は持って上がれない。

 二つ。死んだ女の子は、幡随院の旦那の口利きで西田屋に来た貧乏浪人の娘。

 三つ。馴染み客は水野の親分さんの子分、青山播磨殿。


 ここまではいいですか?」

 俺は指を一本ずつ上げながら皆の顔を見回した。全員、コクリと頷く。水野の親分さんは杯を傾けながらだ。サマになってるな。

 三度みたび、襖が開き、キー君と高尾太夫さんが幼い少女を連れて入って来た。

 俺は三人に座るよう合図し、もう一本、指を上げた。

「……四つめ。傾奇者は世情を騒がす嫌われ者。上は幕閣、下は庶民まで旗本奴と町奴を苦々しく見ている――これは合ってる、キー君?」

「うん? ああ、そのうち理由つけて奉行所が一斉捕縛するんじゃねえの??」

 座ったキー君がニヤリと笑い、杯に手酌で酒を注いでコクリと飲んだ。

 水野の親分さんが肩を竦め、鼻で笑う。

「ふん、だったら奉行所と喧嘩だ。精々、暴れ回って華々しく散ってやるさ」

「アンタ等、もうちょい風流ってのを……まあ、いいや。それが狙い――だろ、嬢ちゃん?」

 俺は水野の親分さんに頷き、手首のスナップを効かせて杯を投げつけた。

「ッ!?」

「??」

 ……第一発見者である禿の嬢ちゃん目掛けて。




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