気まぐれな蝶
しばらくシュラビーレ先輩の胸の中で抱かれながら無事学院へと戻り、試験監督の先生に事情を説明しなんとか評価はしていただけるという話で今回の出来事は収束しました。
『良かったね…』
隣でふっと優しく微笑むシュラビーレ先輩…。
シュラビーレ先輩は私が報告を終えるまでずっと隣で見守ってくれていて、私はお礼がいいたかったので思い切って口を開きました。
『あの、今回は本当に…その…っ、ありがとうございました!!』
私はドキドキする鼓動をを抑えられないまま、
そうシュラビーレ先輩に言いました。
するとシュラビーレ先輩が私の方へと近づいてきて、
『…よく頑張ったね』
そう言って優しく頭を撫でてくれました。
『…!!///』
私の銀色の髪が愛おしい貴女の指先の間をさらりと流れおちて…、私はただただその翡翠色のは瞳に釘付けに…、
その時、
『シュラビーレ』
そう突如として聞こえてきた声。
夜空色の蒼い長髪をさらりと優雅になびかせて、不敵な笑みを浮かべてアイリス副会長がこちらへ歩いてきたのでした。
『アイリス副会長…』
なんだ?という顔をするシュラビーレ先輩をあっけなく通り越すと、アイリス様は私に詰め寄り、そして…、
『っ…!?』
『…なっ!』
柔らかい何かが、
私の唇を包んで、
甘ったるいような香りが私を包み込んだのです。
しかし、
『…い、…や///』
貴女が、見てる目の前で、こんな…!?
私は恥ずかしさとよくわからない罪悪感に苛まれて、混乱のあまり思わずその場を走り去ってしまいました。
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その後…。
『アイリス副会長!!』
誰もいない学院の廊下で、シュラビーレ先輩がアイリス副会長の両腕を掴み振り返らせ、焦燥の滲む表情で彼女を見つめます。
『急にあの子になにをなさるのですか!?
すべてあなたの基準で行動するのはいい加減に…!!』
『それはあなたもでしょうシュラビーレ』
『…な、…』
予想をしないアイリス副会長の台詞にシュラビーレ先輩は顔を歪めます。そしてその表情に満足したかのように悪戯っぽく微笑むとシュラビーレ先輩の首にするりと腕をまわします。
『私は誰にもしばられない…。欲しいものは全て私のものに…』
運命はいつだって気まぐれで、
だからこそ、人生は楽しいのよ…。