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退屈な陸上生活
「・・・やっと着いたなあ!」
災難続きの航海だった。嵐に見舞われたり、お宝をその拍子に海に落っことしたり。だが、船は良いものだ。人生と同じ、気まぐれで刺激に満ち溢れている。
久々に寄港した港の感覚を踏みしめながら俺はそう思った。まぁ、これから少し退屈な陸上での生活が待っているわけだが。
「あ~!おまえたち、お宝をどっかにもって行くんじゃあねぇよ。」
「は、はい!お頭。けっして、お宝を売って綺麗な女と・・・・・」
「・・・あのなぁ、もう少し言葉に気を付けろ。おまえらのやりたいコトがバレバレじゃあないか。」
この、頭の足りない奴め、とため息を吐きながら軽~くコチンと部下の頭を殴った。部下の言いたいことが解らない訳ではない。酒と綺麗な女と、有り余るほどの金銀財宝があれば、身も心も空腹に襲われることはないだろう。一生、遊んで暮らせるし、壊血病で仲間を失うこともないだろう。
ー今日も俺は夢を見る。いつかは、誰にも手に入れられなかった『極上の宝石を手に入れる』と。