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Episode of Changing Zero 08

その頃、大阪の道頓堀では雅翔が心配していた事態が起こっていた。そう、ゼロの登場である。厨二ロリ(非公認)こと『陰の警告者』のリーダー秋原あすなは『リミット・ゼロ』の使い手レリューシュ・ゼロと道頓堀川に架かる橋の上で交戦していた。

「なんやねんその強さ!他の『リミット・ゼロ』使うとる一般人と格が違うやないか!」あすなの声は俗に言う「甘ったるい声」だ。だからいくら怒鳴ってもあまり敵を威圧することは出来なかった。

「僕も驚いたよ。君みたいな幼くて強い女の子がいるなんて。てっきり大阪はドラゴンズのメンバーもそんなに強くないからすぐに制圧出来ると思ったんだけどなあ。」レリューシュは知的な雰囲気を醸し出している銀縁眼鏡を押し上げて言った。

「それにしても…」レリューシュはあすなをじっと見た。

「なんやねん!」

「君って本当に幼いな。何歳なの?もしかしてしょ…」そこまで言った時にあすなの『焔』がレリューシュを襲った。レリューシュはそれを防いだ。

「うるさいねん!幼い幼いって!これでも十五やねん!」あすなはその後急に冷静さを取り戻した。

「ふっ…まあこれはあたしの仮の姿やから。ここで本当の姿を晒してもうたら世界があたしの獄炎によって焦土と化し、深淵の闇に閉ざされてしまうことになんねん。だからこんな幼児体型で我慢してるんや。」

「…」レリューシュは絶句した。

「あたしの凄さでなんも言われへんのか。そりゃそうやわな。あたしは『闇炎の支配者』(シャドウフレイムマスター)やからなあ。」そう言ってあすなは高笑いした。

ここに雅翔と飛隆がいれば彼女のよく回る舌は既に封じられていただろう。だが不運にも誰も止めるものがいない。あすなはレリューシュだけでなく一般人からも変な目で見られていた。

「君さ…恥ずかしくないの?見ていてすごく痛々しいよ。僕、これが任務じゃなければとっくに逃げ出しているよ。」

「闇炎の支配者に恥じらいなんてないわ!」

「いや、本当に止めてくれよ。シャドウフレイムマスターとかいうRPGの中盤の大して強くもないようなボスみたいな二つ名を聞くといたたまれなくなってくるんだよ。」レリューシュはため息をついた。

恐らく、周りで見ている一般人もレリューシュと同意見だっただろう。いや、全世界の人々があすなの言動を聞いたなら、レリューシュと同じことを思うだろう。

「なん…やと…?」あまりに直球過ぎたレリューシュの言葉はあすなの逆鱗に触れてしまったのだった。

「お前、その言葉もういっぺん言ってみろや。おい!」あすなの怒りは最高潮に達しているようだ。しかも怒りのあまり普段の厨二キャラが無くなっている。

「まずい…怒りのあまり、能力が急激に上昇している。ここは一旦引かないと僕はやられてしまう。」レリューシュはゼロの能力者がワープ用に使っている『パラレル・ゲート』を開いた。彼は逃げようとした、その時だった。

「お前は逃さんからな!」レリューシュの背後にいつの間にかあすなが移動していた。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」あすなは右手を前に突き出し手のひらから無数の炎を打ち出した。

「くっ…」レリューシュは『リミット・ゼロ』の使い手で、防御に特化した能力者だ。故にあすなが打ち出した炎を全て防いだ。

「はぁっ!」またあすなは無数の炎をレリューシュに向かって打ち出した。だが、それらも全て防がれた。

「無駄だよ。僕は防御に特化しているんだ。そんな攻撃で破られるほどやわじゃないよ。」

「反撃開始だ。」レリューシュは厳しい目つきになって言った。彼は自分の前にシールドを作り出すと、それをあすなの方へ打ち出した。

「うわあああああああああっ!!」目の前から迫り来るシールドに体重の軽いあすなはやすやすと吹き飛ばされた。なおもレリューシュはシールドを作り、あすなの方へ向かわせてくる。彼女は四方をシールドに取り囲まれた。

「これはまずいな…」あすなは呟いた。なんとかシールドを破ることはできないかとまたまた炎を作り出しシールドにぶつけた。だが、それらは全てあすなの方へ反射して襲い掛かってきた。彼女は両腕、両脚、下腹部を炎に貫かれた。

「ぐっ…ごほっ!」あすなは左手で下腹部をなんとか押さえ、血を吐いた。

「出来ればこのまま降参してくれると嬉しいんだけどね。」

「こうさん…なんて…せえ…へん…わ…」あすなは喋る事もままならない状態だった。

「そうかい。ならそのまま君を囲んでいるシールドに押しつぶされてね。」レリューシュがそう言うとあすなを囲んでいたシールドが彼女の身体を圧迫し始めた。

「あれ…さえ…できれば…な…ん…とか…なるん…やけど…」あすなは右手をシールドに当てて力を振り絞った。

「まだ、抵抗するのかい?」

「メンタリー・ブレイズ!!!!」

物理的には何も起こらなかった。だが…

「うわあああああああああああっ!!!!!!」レリューシュの叫び声は道頓堀川付近にこだました。

「熱い!熱すぎる!やめろおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

もちろん、彼の身には何ら変わりはない。野次馬はついにこいつまで狂ったのかと思っていた。

「どうや?単に炎を放つだけやったら能力名は『炎』でええねんけど、あたしのは相手の脳に文字通り『死ぬほど熱い』と錯覚させることができるんや。相手に炎を刻み込むことも出来るしな。だから『炎』を超えた『焔』ってしてるんや。」

「うう…熱い!!!助けてくれ!」

「敵に命乞いとか余裕無くなったもんやな。そんなお前は…」あすなはレリューシュの前まで瞬時に移動した。

「熱いんやったら、道頓堀川に沈んで身体を冷やせえええええええ!」

あすなの強烈な蹴りがレリューシュの胸に直撃しそのまま彼は吹っ飛んでいき、本当に道頓堀川に落ちた。

「ふう…」あすなは一息ついて変身を解除した。

「さて、帰投しなあかん。はよしよ。」あすなはもう一度変身するとそのまま空高く飛び上がり、アジトへと向かって飛んだ。

「早く帰ってこいや。寂しいねん…あのあほ…」あすなはぼそっと言って飛行速度を上げた。



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