Episode of Changing Zero 07
「おっ、来た来た。」雅翔は瞬間移動してきた恭介を見て言った。
「今はどんな容態なんだ?」
「今はちょっと安定してるわ。せやけど、早いとこドラゴンズのアジトへ運んだってや。」飛隆が答えた。
「そうだな。だが、その前に少し聞きたいことがあるんだ。」
「なんだ?ゼロのことか?」
「そうだよ。そいつは人知を超えるスピードを出せるらしいな。」
「人知を超えるってレベルじゃないわ。あれは最早神と同じやぞ。」
「だが、神のスピードには追いつけてない。本人も言っていた。『限りなく神に近いスピード』ってな。」
「それ以外に能力は無さそうなのか?」
「無いと思う。俺達が戦ったときも攻撃は全て、手刀か足技だったからな。だが、そちらもかなりの技量を持っている。武器を持った俺達と素手でやり合ってたんだからな。」
「あいつをスピード勝負で倒すんやったら神の能力は必要不可欠やで。せやけど、今のドラゴンズには神の能力使える奴一人しかおらんやろ。しかもアメリカやし。」飛隆はため息をついた。
「俺には…神の能力は無いだろ?」
「さあな。恭介が神かどうかなんて知らんわ俺。」
「俺は…神なのか…?いや、でも俺は神界と接点がないし、記憶が全く無いから違うよな…?」恭介はこめかみを指で押さえながら言った。
「…」雅翔と飛隆は何も答えない。
「ま、神ならいつか気づくだろ。それまで待つよ俺は。」
「そうだな。それがいいかもしれない。」雅翔は言った。
「さあ、話はこれぐらいにしとこか。ここで油を売ってる暇があるならはよ連れてったらなあかんやろ。二人とも意識失ってるから。」
「そうだな。さんきゅ、雅翔、飛隆!」そう言って恭介はあすかと涼太を両脇に抱えて瞬間移動して消えた。
「言わんでよかったんか?ホンマのこと。」
「別に急いて言うことではないからな。あいつが自分で確信を持つまでそっとしておけとあすなも言っていた。」雅翔はそう言って空を見た。空にはまばらに雲が浮かんでいる。
「あすな、今何してるんだろうな。」
「あの厨二ロリのことやからまあロクなことはしてないやろ。」飛隆は笑った。それにつられて雅翔も笑った。
「大阪をあいつ一人で守れているのか?東京だけでなく大阪にもゼロの黒幕が出てきているかもしれないのに。」雅翔は右手をぎゅっと握った。かすかに震えているのもわかる。
「黒幕ってレンギスだけじゃないんか?」
「あいつは言っていた。『私たちの能力』と。あと数人は少なくともいるはずだ。」
「大丈夫か…?あすな…」雅翔はぼそっと言った。