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Episode of Changing Zero 13

恭介は奏とキュリアと共にゼロの出現地の一つに到着した。そこは東京の繁華街で、周りには人もたくさんいて、パニックになっているようだった。

「今回の敵は斧使いと剣使いが二人、槍使いか。」

「そうね…あっ、人が血を流して倒れているわ。」奏が指差した方向には人が三人倒れていた。

「それより、まずいですわ!一般人がパニックに陥っているせいで逃げている途中で怪我をしている人が何人もいますわ!」

「嘘だろ…」そう言って恭介は周りを見渡した。確かにちらほらとこけて泣いている子供や押されて突き飛ばされた女性やぶつかって揉めている男性などがいた。

「早く冷静になってもらわないと死者が出てしまいますわ!」

「ああ、だけどゼロがこっちに向かってきているから俺たちはどうしようもないじゃねえか!」恭介は大声で言った。大きな声を出さないと周りでパニックに陥っている一般人達の声にかき消されてしまうからである。

「いいわ!私が一人でやるから恭介とキュリアは一般人の誘導に回って!」

「一人では厳しいだろ!」

「私は…『女王』よ!任せて!心配されるほど弱くないわ!」それを聞いて恭介は少し笑みを浮かべた。

「分かった!任せたぜ、奏!」

恭介とキュリアは一般人の誘導に向かった。

「あなたたち!今すぐここで私に平伏するのなら、助けてあげましょう!」当然だが、ゼロからの反応はない。それどころか斧使いのゼロが飛びかかってきた。

「蛮族が…」そう言って奏は右手にほぼ黒色でところどころがピンク色をしているステッキを出現させた。

「消えろ。」斧使いの方にステッキを振り下ろした。そのステッキは斧使いには当たらず、そのまま勢いを止めずに襲いかかってきた。だが、急に彼の動きが変わり、地面に着地した。訝しむ他の三人。その直後、斧使いの身体にピンク色の閃光が目にも留まらぬ速さで何本も走り、彼の身体はそれによって切り刻まれた。全身から血を吹き出してその場に崩れ落ちる仲間に他の三人は驚きを隠せなかった。

「これが、女王に仇をなす蛮族の末路よ。」奏はそう言って笑った。

「あなたたちも同様に…消えて。」奏はステッキを三人の方に向けた。ステッキから放たれるピンク色の閃光に三人は対処出来ず、斧使いのように切り刻まれ、全員倒れた。辺りはゼロの四人の血で真っ赤になった。

その中で一人佇む彼女の姿はある種の美しさがあった。奏が戦っている間に恭介とキュリアは一般人の誘導を終え、なんとか一般人は無事に避難できた。途中で怪我をしていた人たちには治癒術を使って怪我を治し、諍いも仲裁して止めさせ、そういう人たちも避難させることに成功した。だが…

「あれ…子供じゃない?」ゼロの血の海の側で逃げ遅れてしまった少年が一人いた。しかも、彼は意識を失っているらしい。

「私が助ける!」奏がその子の元へと走った。と、その時、空から一本の剣が奏の前の地面に突き刺さった。恭介とキュリアもすぐに臨戦態勢をとり、奏のところに行った。

「レンギスが世話になったな。」空から舞い降りてくる一人の銀縁眼鏡の男。

「お前…ゼロの黒幕か?」恭介が訊いた。

「そうだ。俺はレユート・ゼロ。リミット・ゼロの使い手だ。」

「このガキは何だ?何故ここにいる?」

「それは逃げ遅れた一般人だ!」

「そうか…」レユートは地面に突き刺さった剣を引き抜いた。

「ちょうどこいつの切れ味を確かめてみたかったんだよ。いい獲物が出来たぜ。」レユートは笑った。

「ふざけやがって…俺たちだけを攻撃すればいいじゃねえか!」

「お前らを殺すのはまだ早くてね。切れ味を試すのにあっけなく殺していい人間じゃないんだよ。」

「ずいぶんと舐めた言い方をするのね!私たちがそれを聞いて黙ってるとでも思うのかしら?」キュリアが言った。

「ならこれを脱出してみろ!」レユートは指を鳴らした。

「なんで…動けない…」三人の動きが封じられた。

「まずいわ!本当に殺す気よ!」奏が言った。レユートは少年に近づいていく。

「んなこと言われても抜け出せねえんだよ!」恭介が大声で反論した。

レユートは足を止めない。

「なんとか抜け出さないと…」キュリアが小さい声で言った。レユートは少年の前に立った。

「上手く斬れるか分からないな。どこから斬るか少し考えようか。」

「舐めた真似をしやがって…」恭介は鬼の形相でレユートを睨んだ。

と、その時、少年の意識が戻った。

「え…えっ…えっ…」少年は周りの状況を把握出来ていない。

「さあ、お前で切れ味を確かめさせてもらうぞ!」

「嫌だ…いやだよ!!!!」少年は泣き始めた。

「うるせえなガキ。お前の首から削ぎ落とすぞ。」レユートは低い声で言った。

「ううっ…ぼく死にたくないよ…助けて…お母さん…」

「誰も助けになんて来ねえよ。」レユートは振り返った。

「自分の目の前で一般人が無惨に切り刻まれるのをよく見ておけ。」

「させない!」奏はレユートの技から抜け出し、少年を庇った。

「奏!お前…死ぬぞ!!!!」

「いいわ。この子を殺させるわけにはいかないもの…」

「そうか…では、女王にも死んでもらおう。こちらにとっては一石二鳥だ。」レユートは剣を高々と上げた。

「やめろ!!!!!!!!」恭介とキュリアはまだ抜け出せない。

「お姉ちゃん…」少年は泣きながら言った。

「心配しないで。あなたは助けるから。」

「無様に散り果てろ!御崎奏!」そう言ってレユートは剣を振り下ろした。

「かなでえええええええええええ!!!!!!!!!!!」恭介が叫んだ。

辺りに凄まじい衝撃波が走った。




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