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Episode of Changing Zero 09

「暗証番号を入力して、パスワードを入れて下さい。」機械音声のアナウンスが鳴った。正直、何年もやっているから耳障りだと恭介は思った。しかも…

「重い…」右肩にあすか、左肩に涼太を担いでいるので双肩にかかる重量は百キロを超えている。さすがに変身前の姿ではキツかった。なんとか暗証番号を入力しパスワードを打ってドラゴンズのアジトの中へ入った。ドラゴンズのアジトは入って突き当たりの部屋が寝室でベッドが五個ずつ二部屋に置かれている。

そして左へ行くと救護室がある。天界から誰かが持ってきたという治癒能力のある石を基盤にして作られた機械がある。形はCTのような形をしている。これを使うと完治する時間に多少のズレはあるものの、どんな傷でも治る。その機械をあすかと涼太に使い、とりあえず傷はある程度治した。恭介はまた二人を担いで元来た道を引き返し、寝室に二人を寝かせて大広間へ向かった。

寝室を出て救護室とは反対の方へ向かい、彼は何の変哲もない壁の前で立ち止まった。その壁を三回叩くと壁が横へスライドし、エレベーターが現れた。それに乗ってさらに地下へと行った。大広間には巨大スクリーンや巨大なテレビ、通信機器などがある。恭介はドラゴンズのオペレーターに一声かけて立ち去ろうと思っていた。だが、大広間には別の客がいた。

「やあ!恭介じゃないか!久しぶりだね!」陽気な声で話しかけてきた銀髪の青年。彼はドラゴンズニューヨーク本部リーダー、S・ジャックだった。

「何でお前がここにいるんだよ…」不測の事態に戸惑う恭介。

「観光のついでに来たんだよ!顔が見たくってね!」

「嘘だ。お前日本で宿取るの面倒くさいし金がかかるから日本支部のアジトに泊まっちゃえばいいや!って考えで来たんだろ。」

「うっ…ははは…」ジャックは苦笑した。

「ったく…宿ぐらい取れよ…」恭介はため息混じりに言った。

「お金かかるんだよ…」ジャックは小声で言った。

「報酬をたくさん貰ってるじゃねえか。」

「いやあ、そんなことないよ!恭介には負けるよ〜」

「嫌味かお前。」

「まあ今の報酬は僕の方が上だけど、能力では恭介の方が断然上だよ!出し切れてないだけなのさ、君は。」

「恭介、真面目な話なんだが…」

「何だよ畏まって。」

「早くディプローマを使わずに変身出来るようになれ。」

「そんなこと出来るのか?」

「ディプローマは契約の証だ。だが、契約など能力が人間を気に入るか気に入らないかのどちらかだ。それに能力を使えているのであれば能力がその人間を気に入っているということだ。その証明なんて大した意味を成さないんだよ。」

「じゃあ、ディプローマは何なんだよ。」

「ディプローマは万が一のことを想定して力が不安定になるのを防いでいるんだ。だが、そんなものは力が常に安定している奴には不必要だ。それに、ディプローマは枷でもあるからね。能力を最大限に使うことが出来ないんだ。」

「そうなのか…?」

「ああ。特に恭介の場合はそうだ。」

「俺?」

「恭介、君は早く自分自身を把握すべきだ。君がそれを出来る時が来たら、君に勝てる相手なんてこの世界では誰一人いなくなるんだよ。」

「俺を…把握する?」恭介は首を傾げた。

「いずれその意味はわかるだろうさ。さて、僕はちょっとコンビニへ行ってくるよ。」ジャックはそう言って部屋を出て行った。

「雅翔といい、ジャックといい二人とも何か知っているのか?俺の知らないことを…」


ジャックは部屋を出ると使われていない方の寝室へ向かった。ジャックは誰にも見られていないことを確認すると、ディプローマ無しで変身した。

「ヘヴンズ・ゲート開門!」ジャックの前に六芒星が描かれた魔法陣が現れ、ジャックはその中へ入って行った。中には光のトンネルがあり、それを駆け抜けていくジャック。

「行き先は天界でよろしいですか?」女の声がどこからともなく聞こえてくる。

「いや、天界は飛ばして神界『中央の域』大神殿へ向かう。」

「その為には神であるという証明が必要です。あなたの素性を確認してよろしいですか?」

「早くしてくれ。」ジャックはぶっきらぼうに言った。

「確認中です……あなたが神であることが証明されました。神界『中央の域』大神殿へと送り届けます。」

「よろしく頼むよ。」

それからしばらく経って大神殿へと辿り着いた。

神界…それは神々が住む世界であり、人間界よりもずっと前に誕生した世界である。神界は「北の域」、「西の域」、「東の域」、「南の域」、「中央の域」に分かれており、中央の域には神々を統べる長、神族長がいる。神族長は「Z」の意思を受け継ぐ者が代々継承してきている。

ジャックは大神殿の階段を上っていった。大神殿の正門を警備する天使に身分を伝え、中へ入って行った。

急いで神族長がいる神族長の間へと向かうジャック。ようやく彼はその部屋に着いた。

「S・シャドラス、只今参りました。

神族長様に申し上げたいことがあります。」

「入れ。」

「失礼いたします。」扉が開き、ジャックことシャドラスはその部屋に入り、十数歩歩いたところでシャドラスは跪いた。

「どうだ?進展はあったか?」神族長はシャドラスより少し高い位置にある玉座に座りながら言った。

「いえ、全く…本人は完全に忘れているようです。」

「まあ記憶を一旦消させたのはあやつ自身だからな。下手に思い出して暴走でもされたら困るわ。引き続き見張っていてくれ。くれぐれも無理に思い出させるなよ。」

「かしこまりました。ところで、人間界に現れているゼロは本当に『A』の系統の能力なのでしょうか?」

「恐らくそうだと思う。はっきりとは分からないが昔の『A』の残党が人間に能力を吹き込んだという感じだと思う。」

「そうですか…分かりました。また今度報告しに参上します。」

「そうか。楽しみにしている。」

シャドラスは神族長の間を後にした。


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