53話 オークの森
クロネコが行方不明と聞いたユーリたちは彼が向かったというオークの村へと向かった。
ユーリの知るオークとは人の敵であり、決して有効ではないが、この世界ではそうではないようで、手土産を持っていくと歓迎してくれるそうだが?
馬を走らせ、僕たちはオークの森へとたどり着く。
ゲンさんの話では、この先に村があるってことだけど……
「まず先に手土産を探すんだよね?」
「うん、早く見つけよう?」
フィーはそういうと精霊に話しかける。
相変わらずその声は聞こえないけど……彼女には聞えている様で暫らくすると……
「ユーリ、本の魔法で獲物を仕留めてもらえる?」
「ぼ、僕?」
「うん、あれは気性が荒いし、できれば一発で仕留められれば良いかなって」
一発、つまりスナイプを使ってってことだろうか?
確かに木々は密集してるし、フィーは剣を使えない。
シュカは素早いけど……フィーよりは一撃が軽いはず、急所を狙うなら僕の方が良いってこと?
「分かった、それで……その得物はどこ居るの?」
「ありがとう、じゃ行こうかー? ユーリ」
なぜか念を押す様に、フィーは僕の名を呼ぶ。
いや、多分はぐれて迷子にならないでね? って意味だろうけど……
フィーもとい精霊の道案内の元、僕たちは森の中を進む。
すると目の前に得物が見えてきた。
それは僕も見たことがある生物……で?
「あれだよー、お願いね?」
「あ、あの、フィー?」
うん、そうだとは思った、でもさ……あれって――
「猪だよね? 凄く大きいと言うかでかすぎだよ!?」
「だねー?」
「あ、あんなの、見たこと、無い」
ほら、シュカもビックリしてるし、間違いなく珍しいものだよっ! 主とかそういうレベルじゃ!?
「ほら、気付かれる前にお願いね?」
「そ、そうだね……穿て槍よりも鋭く、放て弓矢より速く、スナイプ・アロウ」
まだ僕たちのことに気がついていない主(多分)には悪いとは思ったものの、僕は矢を放った。
その矢は勿論、主へと真っ直ぐに飛んで行き、見事に命中し……
「フィ、フィー!?」
「うーん、意外と頑丈だね?」
いやいや、頑丈だね? ってそんな悠長な。
主、怒って向かってきてるよ!?
矢は……ちゃんと刺さってる……でも、急所を外したみたいだ。
「仕方ないかー、後は任せてね」
「フィー!?」
フィーは真っ直ぐこっちに向かってくる猪に向かい、走っていく。
得物を狙う猛獣の様な突進を見せたかと思うと、彼女はその拳を猪目掛け振りぬいた。
だが、猪は他の魔物よりは強いのだろう……フィーの一撃を受けても、即座に体勢を立て直し、またも突進してくる。
猪突猛進ってこのことだなって……
「一発じゃ駄目かー、結構堅いね?」
「フィー! 危ないよ!?」
猪は完全にフィーを狙ってるし、このままじゃ……
「ユーリ、魔法……」
魔法? でもスナイプじゃ、当りはしても……そうだ!
「具現せよ強固なる壁! アースウォール!!」
フィーへと迫る猪……だが、彼女の前に魔法で壁を作る。
壁、と言うよりは塀に近いけど……その分、魔法が完成するのは早い。
僕の目論見通り、猪は壁へと激突した。
「……あ、危なかったね?」
「い、いや、ね? じゃなくて……危なかったんだよ……」
「念のため、止め、入れておく」
シュカの手により猪はしめられ、縄でくくりつけると僕たちは森の中を進む……
「ねぇ?」
「ん?」
そんな中、僕は気になった。
そういえば、森にオークの村があることは聞いてたけど……
「森のどこにあるか、聞いてないよね?」
「確か、聞いてない、場所、分からない」
「んー、大丈夫だよ?」
大丈夫って、地図にも村らしき絵は描かれてなかったし……
うーん、どう考えても迷子になる様子しか、思い浮かばないなぁ。
「オークは魔物避けの香を焚いてるから、その匂いで分かるんだよー」
「お香? って臭い大丈夫なの?」
「うん、人間やオークにとっては良い匂いだよ? あ、でもクロネコは苦手って言ってたかも?」
クロネコさんが苦手ってことは……柑橘系の匂いなのかな?
確か猫って蜜柑とかの匂いが苦手のはずだし……
いや、猫と一緒にしたら、怒られそうだけど。
「だから、安心してついてきてね?」
「うん、案内はいつも通り、お願いするよ」
森の中、フィーの鼻を頼りに僕たちはオークの村へと向かう。
どのぐらい歩き続けたのか、確かな時間は分からないけど……かすかに柑橘系の様な香りが鼻をくすぐる。
多分、そうだろうと予測してたけど……本当にこの匂いか、確かに僕たちにとっては良い匂いのような気がする。
その匂いが段々とはっきり分かってくるようになると、木で出来た立派な砦が目の前にそびえ立っていた……
「人間カ……ナンノヨウダ?」
僕たちとは明らかに肌の色が違う魔物……オークは、なんとか聞き取れる言葉で僕たちに語りかける。
いきなり襲い掛かってくる様子は無いけど、その身体は筋肉質で僕なんか一発で終わってしまうんじゃないかと言うほど……腕も足も太い。
だけど、フィーはそんな彼に臆することなく、目の前まで行くと――
「クロネコの友人だよー様子を見に来たの、勿論手ぶらじゃないよ?」
そう告げ、先ほど獲ったばかりの猪をオークの目の前へと差し出した。
「手土産、確カニ確認シタ、村長ニ渡シテクレ……くろねこノ友人タチヨ、歓迎スル」
彼はそう言うと、木とは思えない頑丈な作りの扉を開けてくれた……
なるほど、大きな街に入るためには通行料が必要だった。
それがオークでは獲物を提供するってだけの違いなんだね。
そう思いながら、門をくぐった僕たちの前には……僕たちとあまり暮らしが変わらない村がそこにはあった。
「さ、ここの村長に会いに行こうか? クロネコのこと知ってるはずだよー?」
「えっと、フィー?」
「ん?」
「村長の家は分かるの?」
見た感じ凄く広い……
それに、フィーも初めて来たんじゃ?
「えっと、人に聞こうか?」
うん、それが懸命だね。
彼女は近くに居たオークへと話しかけると、親切にもそのオークは僕たちを村長の家まで送ってくれるらしい。
「コッチダ、客人」
「あ、ありがとうございます」
顔は怖いけど……フィーが言ってた通り、温厚そうだ。
それにしても……見れば見るほど僕たちと同じような生活だ……ん? あれってもしかして……
肉の塊を焼いてる? それも小さくした塊を凧糸みたいなので縛って……表面を焼いてから釜に入れてるってことは――
「ユーリ? どうしたの?」
「え、いや……」
あれが気になってって、言おうと思ったけど……今はクロネコさんの方が先だ。
帰ってからでも聞けるだろうし、我慢……って、良い匂いだなぁ……
うぅ……お祭りで結構食べたはずなんだけど、時間結構立ってるしこれはきついかも……
「そういえば、お腹空いちゃったねー、話を聞いたら食べようか?」
「そうだね、でも、ゆっくりは食べてられないんじゃ?」
「安心シロ、急グナラ、アレヲ使ッタ別ノ物アル」
「それで、良い、後で、教えて」
別の物? ってなにかに包んで食べるってことかな?
それなら手で持って歩きながらでも食べれるし……
「決まった所で、急ごうかー案内お願いね?」
「任セロ……」
案内され着いた場所は、他の建物より色々と大きく少し豪華な物だった。
「村長、客人連レテ来タ」
案内をしてくれたオークは手で僕たちに待つように促すと建物に入り、僕たちを連れて来たことを告げてくれる。
彼が入って少し経つと――
「入れろ、客人を歓迎しよう」
他のオークたちよりも聞き取りやすい声が聞えた。
「客人、中ニ入レ……」
「うん、失礼するよ?」
フィーが先に家へと入り、僕たちも続き入る。
そこにいたのは、勿論村長らしいんだけど……で、でかい。
座ってるはずなのに……僕たちの方が背が低いぐらいだ。
いや、僕はナタリアより背が低いから、小さい方なんだろうけど……
うん、見上げるほどだし……かなり大きい。
「よく来た、ワシが長のアーガだ……ドゥルガ、案内ご苦労だった」
名前を呼ばれたオークは深く礼をして、その場に膝を突く。
そう言えばあの人の名前聞いてなかったけど……ドゥルガさんって言うんだ。
「初めまして、ユーリと言います」
「……シュカ」
「フィーナだよ、初めまして? それとこれを持って来たよー」
う、うん……フィーだから仕方ないんだけど、初めまして? って言い方だと忘れてるようにも聞えるなぁ。
「確かに受け取った、今日はなんの用で来た?」
「クロネコが帰ってないって聞いてね、探しに来たんだよ」
「……クロネコの友人か、確かに戻っていない、スライムを倒しに行って同胞と共に消えた」
ん? 消えたって同胞と共に!? ってことはスライムに?
いや、でも……スライムぐらいなら倒せるって話しだし、それは無いよね。
「スライムが大量発生してるってことだけど、それは関係あるの?」
「ワシらでは、駆除出来ない数だ。だが、クロネコなら出来る数だ」
「つ、つまり、そこまで脅威では無いってことですか?」
僕の質問にオークの村長はそうだっと答える。
それならなんで……
「他に脅威となる魔物は居るんですか? その、お香が効かないとか」
「この辺りで香が聞かない魔物は、鼻が無いスライム以外はいないはずだよ?」
「スライムと、クロネコ、以外?」
「ああ、いない」
「だと、すると生態系が狂ったのかな? んーでも、特に精霊が騒いでた様子は無かったんだけど」
あの、普通に話し進めてますけど、クロネコさんは魔物じゃないと思うんだ。
それに、問題は他の魔物がいて、クロネコさんが襲われた可能性だよね。
「じゃ、じゃぁ……突然変異とか、匂いに慣れてしまったとか……」
「それは、ありそうだね?」
「無い」
無いって断言されたよ!?
「ここに住んで……数百年それは無い。今になって起きることも無い」
「そ、それは、分からないんじゃないですか……?」
変化をもたらすのは、なにも進化に限ったことじゃないし、というか古代から進化してないのは黒光りするアレしか僕は知らない。
だから、突然変異はありえないことではないと思うんだけど……
「うーん、私はユーリが言ったことが一番かと思うよ? 大量発生だってそれの影響かもしれないし」
「スライム、見に行ってみる方が、早い」
「そうだね、もし、そこでなにかに襲われたなら、痕跡が残ってるはずだし、精霊もなにか知ってるかもしれない」
それに、もし怪我を負っているようなら、フィーの鼻で分かるはずだし、僕なら治療出来る。
数が多いと無理だけど……クロネコさんと数人ぐらいは助けられるはずだ。
「クロネコさんについて行った人数って……どのぐらいですか?」
「三人だ」
うん、それなら全員怪我してたとしても四人、ギリギリ治せる範囲のはずだ。
後は……
「その場所が分かる人っているかな? できれば案内して欲しいんだけど」
「ソレナラ、俺ガ分カル、客人案内シヨウ」
僕が言おうとしていたことをフィーが変わりに言ってくれ、ここまで案内をしてくれたドゥルガさんが声を上げてくれた。
道案内もこれで大丈夫みたいだ。
「よし、取りあえず、ご飯持って行こうかー」
「急ぎながら、食べる」
「……そ、その通りなんだけど、喉に詰まらせないようにね?」
腹は減っては戦は出来ぬ、とばかりに僕たちは先ほどの場所へと戻り、ローストビーフ? を薄いパン生地に包んだ物を買い森の中を急ぎ、走る。
そう、急ぎすぎて……
「ッ!? ~~!!」
「シュカ!? だから、言ったのに……ほ、ほら水!」
どうやら喉に詰まらせた様子のシュカの背中を叩きながら水を差し出す。
やっぱり、走りながら食べるのは無理があると思うんだ。
「~~!? ん、ん……ケホッケホ……」
うん、僕は後でゆっくり食べよう……
「しゅふぁふぁ、あふぁひふひふぁほ?」
「うん、分からないよフィー、とりあえず立ち止まって飲み込んでから、喋ろう?」
フィーまで喉に詰まらせないよね? っていうか……ほっぺたがハムスターみたいになってるし、それでよく詰まらせないなぁ。
「ふぁーい、ん……っ」
「フィ、フィー?」
「~~~~!?」
ああ、思った矢先から、喉に詰まらせてる。
「ほらフィー、落ち着いて、水飲んで」
シュカと同じ様にしてあげると、喉に詰まらせていたものは無事胃へと落ちたのか、彼女は落ち着きを取り戻した。
「ナニヲ、遊ンデイル」
「あ、遊んでる訳じゃないんですよ」
「し、死ぬかと思ったよ?」
そりゃ、喉に詰まらせて大丈夫、なんて人は居ないよ?
「とにかく……今、手に持ってる食べかけの物は、ここで立ち止まって食べちゃって……」
「でも、急いだ方が、良い」
「そうだねー、魔物に襲わ――」
「また、喉に詰まらせるよ?」
「「うぅ……」」
二人は仕方がないと言った感じで、手に持った食事を食べ進める。
うん、丁度立ち止まったわけだし、僕も食べてしまおうと二人が食べているのと同じ物にかぶりついた。
これは、美味しい……
最初思ったとおりこれはローストビーフだ。
それに、蒸し焼きにする時に焦げ付かないように下に引いてある野菜も包んであって……それにタレと肉汁がたっぷり染みこんでいて……思わず頬張ってしまう。
二人が喉に詰まらせるほど、夢中になってたのが分かる。
その証拠に僕の分もあっという間になくなってしまった。
「食事ハ気ニ入ッタカ」
「うん、美味しかったよ?」
「ソレハ良カッタ、デハ行クゾ」
「はい、お待たせしました。案内お願いします」
僕たちが食べ終わるのを待っていてくれた、ドゥルガさんは再び前を走る。
庭みたいな物だろうし、迷い無く進んでくれて目的の水辺へと難なく、たどり着いた。
「……これを見たら当然だと思うけど、なにも居ないね」
「うん、でも……なにがあったんだろう?」
僕の言葉に難しい顔をしながら、フィーはそう言葉にした。
本当になにがあったんだろうか、目の前にある水辺の脇にはいくつもの小さな水溜り――
「スライム、死骸、いっぱい」
シュカが言う通り、それはスライムの死骸なんだろう……
小さな水溜りには砕け散った赤い石の様な物が浮いているし、恐らくそれが核だよね?
「この様子じゃ、クロネコはスライムを駆除した後に消えたみたいだね?」
「そうだね……なにか手掛かりがないか、探してみよう」
僕の言葉に頷いた三人は、それぞれ辺りを見回し始める。
フィーは鼻を聞かせてる他に精霊達に聞いてくれてるみたいだし、シュカは地面や木、スライムの死骸を見てくれてる……って、果たして僕はどこを調べれば。 森の中だから上から見ても分からないだろうし……
「フィー、なにか手伝うことってある?」
「ん? 丁度良かった、ドリアードを呼んだから、辺りの警戒を一緒にしてくれる?」
えっと、それは……
「シュカも探してるし、無防備になっちゃうからねー」
「う、うん」
「ナニモデキナイ、ナラ動クナ、証拠潰レル」
「は、はぃ」
そ、その通りなんだろうけど、ドゥルガさん言い方ってものを考えてください。
ちょっと……いや、かなりグサッてきましたよ?
「えっと、辺りを警戒するのも大事な仕事だよ?」
フィー、そう言ってもらえると助かるよ……
皆が辺りを捜索し始めて暫らく経ったんだろうか?
シュカが困った顔をしながら、つぶやいた……
「なにも、無い」
「え?」
「うん、無いね? 血の臭いも争った形跡もなにも……」
「じゃぁ、クロネコさんたちはどこに?」
ここで魔物に襲われたんじゃないとしたら……別の場所で?
「ドリアード、ここら辺で、なにか争ってたとか無かった?」
『?』
僕が聞いたことは伝わってるはずだ。
だけど、彼女は首を傾げるだけで、知らないって感じだ。
「ドリアードも知らないなんて、変だね?」
どうこうこと? 手がかりは無い。
いや、辛うじてあるのはここで誰かがスライムを倒したってことで、それはクロネコさんって言うのが有力だけど。
「なにも、無い」
「シュカ?」
もう一回念を押す様に、なにも無いって言ったけど、どうしたのかな?
「ここで、戦った跡も、足跡も、無い」
「……足跡も?」
「スライム、全部小さな針で、倒されてる」
「クロネコさんが吹き矢かなにかで倒したんじゃ?」
それ以外なにか方法があるんだろうか? 足跡がない以上、それしかないと思うし。
なによりこの数だ……遠距離で倒すのが楽と考えてもおかしくない。
「……確かに言われると妙だね? クロネコは刺突を主軸においた攻撃をするから……足跡はつくはずだよ?」
「え? じゃぁ木の上に登って移動したとか?」
「ううん、それでもスライムを倒した後には足跡が……もしくは尻尾の跡が残るよー」
言われてみれば、確かに地面につかずに攻撃をするなんて、遠距離武器か空に浮かないと無理だ。
クロネコさんは森族だから、魔法は使えないし……
「シルフの力を借りたんじゃ?」
「それも無理かな? クロネコは森族としては落ちこぼれだから……」
「もしかして、精霊の声が聞えない?」
フィーは頷いて肯定する。
そうか、じゃぁ……精霊魔法は使えないってことだよね……
別の誰かがスライムを?
いや、でも誰が? オークだとしたら話がおかしくなる。
仮に吹き矢で倒せるなら、助っ人としてクロネコさんに手紙は飛ばさない。
考えられるのは……
「グリフィンを倒しに行った冒険者?」
それなら、魔法や……なにかしらの手で針を核に刺すのは簡単だろう。
核は砕けているけど、シュカがそのことについて指摘しないってことはスライムは死ぬ時に核が砕けるはず。
「それも無いと思うよ?」
「無いってなんで?」
「もし、そうだとしたら、クロネコはギルドに拉致されたことになるよね?」
「ドリアード、争ったこと、知らない」
そうか、遅かれ早かれ、クロネコさんはここに来ているはず。
もし、スライムが倒されてるのを確認したら、村に戻って話をして街に戻ってると思うし……
鉢合わせになったら、例え彼が抵抗するのを止めても、彼に同行しているオークは手を出すかもしれない。
戻って来ていない以上、少なからず争いは生まれたはず……
「……じゃぁ、いったい、なにが」
僕が呟くと、同時だろうか? シュカは身を翻し森の奥へと……その視線を向けた。
「ど、どうしたの?」
「――――なにか、居るっ!!」
「うん、なにか、聞こえたね?」
「……気配アルナ」
『! ――!!』
皆が反応を示した中、僕だけが分からなかったけど……シュカが見ている森の奥へと僕も目を向ける……
見た所、暗い森が広がっているだけだけど、皆が言っているそれは段々と近づいてきているのだろう、ぼんやりと輪郭のような物が見えてきた……
あれは……一体なんだろう?




