プロローグ2
異世界に転移した少年、朝日野悠莉は気がついたら女性になっていた!?
ともあれ、新しい人生を歩むことになったユーリは、ナタリアと言う女性に魔法を教わることになる。
彼女となった少年は、どういう訳か攻撃魔法が苦手であり、それを克服させる為、師であるナタリアは知人フィーナに護衛をさせ、ユーリに魔物退治をさせるよう仕向けた。
しぶしぶ、従ったユーリは森の中、護衛であったフィーナとはぐれてしまい、迷う中、不思議な洞窟を見つけ、そこにある本を手に入れる。
その本に書かれていた魔法の中には、この世界には存在しないはずの治療魔法、ヒールが書かれていた。
疑問に思うユーリは洞窟を抜け、精霊ドリアードと出会い、フィーナの危機を知る。
彼女の元へと駆けつけたユーリは、本の魔法を駆使し、助けることに成功し、タリムへと戻り、ナタリアと再会を果たす。
その後も、ナタリアの屋敷にて魔法の修行に明け暮れ……ある時、シアと共に買出しに行くよう、ナタリアに頼まれたのだが……?
フィーナさんが街へと戻り、暫らく経ったある日。
僕は、シアさんの買出しに付き合い、再びタリムの街へと来ていた。
その買い物も済み、ゼルさんの酒場、月夜の花亭へと顔を出した僕たちは、すぐに彼女の姿を見つけることが出来た。
今日は仕事が終ったのか、無かったのかは分からないが、店主であるゼルさんとなにやら話をしているみたいだ。
「フィーナさん!」
「ん? ユーリ! ユーリに決めたよ! おじさん」
行き成り、なんのことですか? 再会頭に彼女は僕を指差し、森族の特徴でもある尻尾をこれでもか、と言うほど左右へ振る。
「あー、ユーリか……確かに、良いかもしれないな!」
「あのー?」
「じゃぁ、決定だね! ユーリ?」
だから、なんのことなの!?
「あの、フィーナにゼル様、ユーリ様が完全に、話から置いてけぼりになっております、と言うより、私にも話が分かりません」
うん、その通り、全く話についていけてないし、分からない。
果たして、僕はなにか重要な話を聞き忘れたのか、と少し不安になっていた所だ。
「はぁ……つまりだ、コイツらはフィーナの次の仕事にユーリ、お前を連れて行きたいんだと」
「バルドさん、居たんですか……」
全く気がつかなかった。
「ああ? お前の目は見えねぇのか? まぁ、良い、とにかくだお前はフィーナに指名されてるんだよ」
今のは僕も悪いとは言え、そんな威嚇するように言わなくても……
でも、事情は分かった。
なるほど、僕が指名されて、フィーナさんの次の仕事に付き添、ぅう!?
「え? ちょっと待って、なんで、そんな話になってるの!? そもそも、フィーナさんどこに行くの!?」
「んー、ここから約、一月ぐらいの場所かな?」
遠いな!?
「でも、なんで、僕なんですか? バルドのほうが腕が立つんじゃ……」
「俺は行かねぇ! 分け前が少なすぎる!」
君は結局、金か……金なのか……
「私はユーリが良いなー、ユーリが居れば、安心だからね?」
……安心って、僕の魔法は切り札以外では、戦いになると使えたものではないのだけど、それでも、安心なのだろうか?
「なーに! 戦いはフィーに任せておけば良い! ユーリはフィーをなんとかって魔法で回復させてれば、鉄壁だろう!」
「なんとかって、ヒールのこと? いや、ヒールは体力とかまでは回復できないんだよ? 無理されちゃ困るよ!」
それに、治せる傷なら良いが、治せない場合になったら元も子もない。
血が戻らない以上、出血多量で死ぬ、と言うことは十分ありえる。
「そうですね、ユーリ様の言う通りです。フィーナはすぐ無茶しますから!」
「前にも言われたし、そこまで、無茶しないようにするよ?」
それなら、良いんだけど……いや、良くないか……
ナタリアがなんて言うか分からない。
僕は、まだ修行中の身だし、そんな遠出を許してもらえるのだろうか?
僕、自身は正直、フィーナさんと一緒ならば行ってみたい気持ちがある。
でも、なぁ……許して貰えないだろうな。
「そうと決まれば、屋敷に行こう? ナタリーに許可を貰わないとね?」
「い、今から!?」
ビックリする僕を見たフィーナさんは、笑顔で頷きながら若干嬉しそうな声を発した。
「今からだよ?」




