プロローグ7
ムルル村から発った一行は首都レライへ向け歩き出す。
目的はナタリアの呪いであり、リラーグ領主を殺害した魔法の杖ルテー……
果たして目的の物はそこにあるのだろうか?
ムルルを出て早二日、僕たちの目の前には大きな街が映る。
「あれがレライ?」
「みたいだねー?」
そういえば、フィーがこの国を去ってから出来た国だったっけ?
「おい、さっさと行くぞ……」
クロネコさんは興味がないのだろう、一言口にすると首都へ向かい歩き出す。
彼は大丈夫そうだけど、フィーは?
元々この国のお姫様だった訳だし、やっぱり……
「フィー……」
僕が手をつなぐ女性へと顔を向けると彼女はどこか、悲しげな表情を浮かべていて……僕が見ていることに気が付くと慌てたように口を開く。
「だ、大丈夫だヨ?」
いや、あからさまに語尾がおかしくなってるよ?
やっぱり、故郷なんだ……色々感じてしまうよね……
「ほ、ほら、皆に置いて行かれちゃうよ?」
フィーは僕の手を取り、慌てたように走り出す。
いつの間にか皆先に行ってしまっていたみたいだ。
「フィー……」
「ん?」
走りながら、こちらを振り向いた彼女は芯が強いんだろう……いつも通りの表情で……それが、どこか無理をしているのが分かってしまって……
「僕、頑張るから……絶対に杖を手に入れて、そしてロクお爺さんたちを助けよう」
僕は彼女にそう伝えた。
「うん、信じてるよ?」
そう、言葉にした彼女の顔が自然に見えたのは僕の気のせいだったのかは分からない。
でも、信じてると言ってくれたんだ。
今は僕に出来ることをしよう……大丈夫、焦らずにしっかりやれば、どうにか出来るはずだ。
レライへとついた僕たちは門兵に仕事探しと伝え国へと入り、拠点となる酒場を探す。
「仕事が仕事だ……いざとなったら貧民街で寝泊まりするしかないが……」
流石に国を敵に回しかねないのに、情報が洩れそうな所には泊まれないってことだろうか?
でも貧民街でもそれは同じのはずなんだけど……
「んー、ねぇ? ミケ婆は?」
「婆? 確かにルルグでは酒場を開いていたが……」
ミケ婆?
「もしかして、クロネコさんのお婆ちゃん?」
「あんなのが婆だと? 俺は御免だな」
いや、その人を僕は知らないですよ?
「とは言ったものの……生きてんなら当たってみる価値はあるな……探してみるか」
「うん、元気だといいねー?」
どうやらフィーの様子からすると悪い人ではなさそうだけど……
どんな人なんだろう?




