プロローグ6
クロネコから手紙を受け取ったのはユーリたちだけではなかった。
バルドやリーチェの所にも来ていたのだ。
彼らを一行に加えたユーリたちはリラーグへと向かう。
再びリラーグの地を踏みしめた僕たちは荷物を置く為に龍狩りの槍へと向かう。
クロネコさんの話は気になるけど、荷物を持ったままじゃ大変だしね。
酒場に入るとゼファーさんが僕たちを出迎えてくれた。
「早かったね、皆の部屋は取ってあるよ」
事前に鳥を飛ばしておいたからだろう、来ることを知っていたゼファーさんは笑顔で出迎えてくれ、彼の声に反応したのか食事を取っていた人は僕たちの方へと振り返ってくる。
その人はバルド以外の僕たちには見知った顔だ。
彼はいつもいる様だけど、一体なんの仕事をしているんだろう?
「なんだ? また嬢ちゃんたちじゃないか! 今回も店に立ってくれよ!」
「は、はぁ時間があれば良いですけど……」
「是非頼むよ、この頃コリアネスさんには荷を降ろしてもらっていてね」
ああ、なるほど、前の人は思い出したくも無いけど……この人が代わりに――
このおじさんはいつも笑ってる気がするし、なによりドゥルガさんを真っ先に受け入れてくれた人だ。
良い人なのは間違いが無い。
「いやいや、いつも美味い物を食べさせてもらってるんだ。荷を優先して降ろすぐらいお安い御用だ」
ゼファーさんなら、なんとかするとは思ってたけどまさか、お客さんに良い人がいたなんて、灯台下暗しとはこのことなんだろうか?
「それはそうと、早く荷物を置いてクロネコくんの所に言ってあげてくれるかい?」
「うん、すぐに行くよ」
「おじさんの弟さん、美味しい食事作っておいてねー」
フィーは相変わらずだなぁ。
でも、ゼルさんほどとは言えないもののゼファーさんの料理は美味しいし、仕方ないか。
そう思いながら僕は皆を連れ荷物を置きに行く。
「取りあえず、クロネコに、会う?」
「うん、アジトの場所に行こうフィー案内お願い」
「分かってるよ、手はちゃんと繋いで行こうね?」
う、うんそれは助かるよ。
でも、手を繋いでるとリーチェさんの視線が痛い、凄く痛い。
「あのさ、なんで手を繋いでるのさ別に繋がなくても良いでしょ?」
「いや、あの……」
「そのユーリって女は迷子になるんだよ!」
扉の向こうから聞こえるのはバルドの声だ。
もう、荷物を置いてきたのか、早いなぁ。
「迷子って冒険者なのに? 地図も持ってないの? そもそも魔法使いでしょ方位の魔法は?」
「ほ、方位の魔法はこの前、学んだよ?」
成功したためしがないけど……
「普通真っ先に教わらないと駄目でしょ!? 馬鹿なの!?」
うぅ、またはっきりと……
「と、とにかく早くクロネコさんに会いに行こう、ね?」
「そ、そうだねー?」
「はぁ、まだ言いたいことはあるけど、それもそうだね」
よ、良かった取りあえず、彼女の気分が変わる前にクロネコさんの所に向かおう




