俺に親友がどういうことだっ!?
どうぞ
今日も携帯を取り出し、電話帳からあいつの携帯番号を引っ張り出す。ここ最近の俺の日課になっていることだ。
「あいつから連絡が途絶えてはや三日か……」
ゲーセンでの事故からかれこれ三日がたった、相変わらず佐伯からの連絡はなく、ずっと音信不通の状態が続いている。
「ったく、病院側も会える状態になったら連絡するって言っといて全く音沙汰無しだし……」
病院側も不親切だよなあ全く……
「はぁ、このままじゃ拉致があかないし、あいつの家に直接行った方がいいのかもしれないな」
ピッピッピッ、っと俺の家の中に無機質な音が響く。いつもならあいつと一緒にガヤガヤやってるから余計に静かに感じる……
「さてと、電話するだけするか、そろそろ何か行動とらないといけないか。」
これ以上待っていても何もわかりやしないだろう。こちらから動くことも考えないといけない。
プルルルル……プルルルル……
携帯の着信音が部屋に反響する。これで出なかったら一度あいつの家に行ってみよう、いなかったら病院に押しかけてやる、さんざん待たせたのだからもう文句は言わせない。
「……………………………」
出ない。
「…………………………………………」
やっぱり出ない、こちらから連絡を取ることはもうできなさそうだ。
「しゃあない、切って出かける準備を『はいはいどちら様でしょうか~』……!!」
そう言って電話を切ろうとしたとき、間の抜けた返答が返ってきた。この口調、間違いなく佐伯のものだっ!!
「あ、佐伯!やっとつながったか!! お前今まで何をしていたんだ!! いや、あのあと大丈夫だったのか!?」
取り敢えず抱え込んでいた不満を全てぶつけてみる、ついでに靴を履いて家から出る。
「まあまあ、ちょっと落ち着こうよお茶でものみなg」
こいつ、こっちがどれだけ心配したか全然分かってないな……
「あの後病院に運ばれたお前を追って病院へ行ったのまでは良かったんだけどその後しばらく会えないって追い返されちまってな、何回かお前の携帯電話にかけても出ないし、心配したんだぞ!!」
ゼーハーゼーハー……一気にまくし立てたせいで後半はとぎれとぎれになり息も上がった、それぐらい今の俺の感情は高ぶっていた。
「あー、うん、ごめん」
そう言って佐伯は謝ってきた、聞いた限りでは全く反省してなさそうに見えるが、このトーンの下がり様から本当に申し訳なく思っているんだろう。その声を聞いて俺もいくらか冷静さが戻ってきた。そして周りの目線が痛いです。
「全く、心配かけやがって、それで体は大丈夫なのか?」
「えーと、多分、大丈夫? なんじゃないかな?」
なぜに疑問形? 何かちょっと言い方もキョドってるし、それに何か違和感を感じるな……?
「なぜ答えが疑問形……ん? 佐伯、なんか声高くなってないか」
やっぱり普段とちょっとだけおかしいような……?ちょっと足を早めよう。
「え!?い、いやそんなことないと思うにゅ!!」
めちゃくちゃ焦ってる、やっぱり何かあったみたいだ、取り敢えず話を進めるとするか。
「ふーん、何か怪しいけどまあいいや、それで今どこにいるんだ?」
「ん? 今退院したばっかりで家にいるよ、そいでケータイを冷蔵庫からサルベージしたとこ」
よし、家にいるんだな、それなら話が早い。ていうか……
「そういえば冷蔵庫の中にあるとか言ってたな……携帯につながらなかった理由がそれか」
よくぞ壊れなかった携帯よ、それで連絡取れなくなってたら俺は切れてた。
「それに関しては本当に申し訳なく思っている」
「取り敢えずそのへんの事は置いといて、今家に居るんだな?」
「う、うん」
念の為にもう一回聞いておく、やっぱり家にいるようだ。
「それならあの事件がどうなったか知りたいし、かりにも友人を病院送りにされたんだ。俺にも犯人とは一回オハナシしたいところだし、詳しい事を聞くためにもお前の家に今から行くわ」
「はいは……え?ごめん今なんて言った?」
人の話聞いてるのかこいつは?
「…………」
「…………?」
「………………………………ダ……」
「………………………………ダ?」
「ダ、ダメェェェェェェェェェェ!!!」
「うぇ!? な、なんだなんだいきなりどうした!?」
黙ったと思ったらいきなり叫び出した、そのせいで周りから変な目で見られた……俺何もしてないのに……うう
「今家に来ちゃダメなの!!」
「取り敢えず落ち着け!! ひとまず何故お前の家に行ったら駄目なのか理由教えてくれ」
「それは、えーと……そ、そう! 今ちょっと散らかってて!!」
なんという適当な言い訳なんだ、子供でももうちょいましな言い訳してくるぞ……
「いつものことだろ? それにいつも掃除手伝ってるし」
「う……じゃ、じゃあこの前の事件でちょっと体調崩してて……」
「何!? 何とも無くないじゃないか! 待ってろすぐ行く!!」
「わぁぁぁ!! ごめん嘘今のナシ!!」
何かあった事は間違いではないようだ、あいつがここまで焦るのも珍しい、とにかく急ごう!!
「実はもうお前の家見えるところまで来てるんだ、言いたいことや文句はそこで聞く、じゃ!!」ピッ
まだ何かごちゃごちゃと言っていたが、電話を切ってダッシュする、あいつの家はもう目の前だ。