性転換ってどういうことなの……?その2
諸事情により前書き後書きは削除します
「全員その場から動くな!! 妙なことはするんじゃねえぞ!!」
そう言って男たちは入ってきた、それだけならただの変態なんだけど……手にはしっかりとナイフを持ってらっしゃる。
「なあ、これってなんかのイベントなのかな、悠伎?」
「俺もそう思いたいけどあの人たち目とか雰囲気とか完全にマジだぞ」
店の他の人たちも奴らの雰囲気がただ事じゃなく、本気だということに気がついたんだろう、大きな悲鳴が上がり、周りはパニックに陥った。
「てめえら黙りやがれ!! 全員その場に座れ!! 出なけりゃザックリいくぞ!!」
ザックリって何が? と聞きたいけどやめておこう、本当にザックリいったらやばいもんだと困る。
「どうする悠伎? かなりやばそうなんだけど……」
「取り敢えず今は奴らに従おう、目的がなんなのかわからない以上、下手に動くのは得策じゃない」
その言葉に俺はコクンと頷く、こういう時にも焦らず冷静に状況を見極めれるこいつは本当に頼りになるよ、俺はのんきに見えるだろうけど内心かなりビビってるのに。
「チッ、ギャーギャーうるさいのがまだ何人かいやがるな……おい!! そいつらを黙らせろ!!」
いくらゲームセンターと言えども女性客は何人かいる、そのあたりがまだパニックから開放されていなかったようで、その悲鳴に男たちは苛立ったっぽい。そして、その人たちに向かって奴らの一味が歩きだした。
「いや、やめて、こないで!!」
男が近づくにつれて女性客の悲鳴が大きくなる、そりゃあ俺だってナイフ持ってるような奴らに近づかれたら悲鳴の一つや二つは上げる。
「……ちっ」
ん? 何か聞こえたと思ったら悠伎が腰を少し浮かしてその男を睨みつけている。ちょっと待て、いくらお前が喧嘩が強いと言っても女性客の位置は襲撃犯とは真反対の場所だぞ、その間にいる襲撃犯(8人ぐらい)はどうするつもりなんだ?
「ねえ、悠伎ちょっと待って、まさかあの集団に飛び込むつもり?」
犯人バレないように小声で話す。
「さすがに見殺しにすることはできないからな」
悠伎もバレないように小声で話す、口が若干引きつってらっしゃる。
「だからってどうやって助けるのさ? 助けたいのはわかるけどあの数相手に素手で挑むのは無茶だよ?」
「ああ、だからさっきここにいる人たちたちとあいつらにバレないように手帳で書いた文字を見せ合って意思疎通をしておいた、全員協力してくれるらしい。」
またこいつは器用な真似をして、さっきから俺の後ろでゴソゴソやってたのはそのためか……近くにいる人(だいたい十六人くらい)を見回してみるとみんな一様に小さく頷いた。よく説得できたね、そしてよく全員承諾したね……。
「ほんとは相手の要件を聞いてから様子を見て動きたかったけどな、こうなったら動かないと手遅れになる可能性がある。」(ぼそぼそ)
確かにいくらこっちが素手だとはいえ、十八対九……つまり二対一、いや悠伎は強いからもうちょっとこっちが有利……か、うん、数値的には悪くないっちゃないかな。
「なあ、こいつら全然静かになんねーし、強引に黙らしていいか?」
「ん? まあ、女は対象外だからいいけどよ、あまりこれ以上事をあらげんなよ? できれば穏便に済ませてぇんだから」
俺たちが作戦会議をしていると、あっちからそんな声が聞こえてきた。女性客の息を呑む声も聞こえる、
そろそろタイムリミットみたい。
「よし、今がチャンス、全員準備はいいな?」
あいつらはこういうことに全く慣れていない、というか初めてなのだろう。女性客の方に夢中で全員がこちらに背中を見せている。何人かはオロオロしてるだけだし、これはひょっとしたら怪我人ゼロで切り抜けられるかも。
「いい加減に黙りやがれ!!」
そう言って女性客に向かっていった男がついに切れた、周りの奴らはやれやれ……、といった感じで首を横に振っている、やれやれと言いたいのはこっちだよ。
「少しはおとなしく……」
「お前らがな!! 行くぞみんな!!」
そう悠伎が声を張り上げて勢い良く走り出した、それを見てみんなも……
「おう!!」「よくも邪魔してくれやがったな!!」「俺たちの楽しみの時間を!!」「今日八時から店前にいたんだぞ!!」「もうちょっとでフルコン出来たのに!!」「コロス、お前ら生きてることを後悔させてやる……」
俺を含めた全員が走り出した。なんかみんなの掛け声がおかしいような気が……
「なっ!?」「こいつら!!」「何か変に殺気立ってないか!?」「なんだなんだいったい!!」
あいつらは非常に驚いた顔をしている。そういや今日新機体の稼働日だったね、だからみんなこの作戦に乗り気だったのか。後最後の人怖すぎでしょ、何があったし……
「うっ!! お、お前らうろたえるな!! あっちは丸腰に対してこっちには武器があるんだ!!」
相手のリーダー格は結構冷静だ……と思ったけど若干声が震えてらっしゃる、動揺してるのがバレバレなんだけど。
「それとお前ら!! こいつらのうち一人は残しておけ!! 実験につガハァ!?」
あいつらのリーダーが何かしゃべろうとしたときに悠伎のパンチがキレイに顔面に入った、ひじょーに気になる言葉だったんだけど言い切る前に撃沈してしまった。
「おらおらぁ!! 新機体やりに来たのに行列でできなかった鬱憤を今ここで晴らしてやる!!」
「ちょ!? それをおれ関係なグファ!?」
また一人派手に吹っ飛んだ、こればっかりは相手の言い分の方が正しい気がするような……
まあ俺も同じ気持ちだけどね!!
「ちぃ!! こうなったら俺だけでも逃げてやる、おらどけぇ!!」
「ぐ、がぁぁ!!」
そう言って相手の中の一人がナイフを構えて突進しだした。そのちょうど進行方向にいた人めがけて。
そしてナイフはザックリと腹に刺さってしまった……
「てめえよくも雄介を!!」
「ゴフッ」
その近くにいた友人らしき人がナイフを持った黒服の男を気絶させた、いけると思ったけどやっぱりけが人は出ちゃうか、雄介って人の出血量もやばいし、あまり時間はかけられないね……
「おう、余所見とはずいぶん余裕だなぁ!!」
「うわ!! あぶな!!」
しまったこっちに一人来ていた、気づくのがあと少し遅かったら首からサックリ逝ってたような、こいつ殺す気か!!
「ええいちょこまかと!! さっさとあたりやがれ!!」
「うわ!! っとと、へわ!!」
俺は変な奇声を上げながら避ける、目の前を何回もナイフが通りすぎる光景は非常に心臓に悪いです。
うーん、冷静になってみると焦っているのか男の動きはとても大振りで簡単に避けれる、けど、さすがにこの状況が続いたらこっちの精神はガリガリ削れる、今は気力で避けてるけど腰とか足とかがそのうち恐怖ですくみそうだ……。
「何とかしないと…?」
あれ? 背中に感触がある? …………………しまった、いつの間にか自分の逃げ道をUFキャッチャーの機体が邪魔してる!! やばい追い込まれた!!
「はぁはぁ……やっと追い詰めたぞ!! さあ観念しろチビ!!」
ブチッ!! ………………………………………………………………………………………………………………
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……………………………………イマナンテイッタ?
自分の中で何かが切れる音がした。アハハ、誰がチビだって~? 確かに身長155センチしかないけどまだ伸びるよね? そうだよね? あ、でもまだ伸びたとしてももうちょっと高くなりたいからこいつから少しもらって背を伸ばそう、こいつは結構身長高いから10センチや20センチとっても全然問題ないよね?
「…………」
「やっとおとなしくなったかこのチグファ!!」
とりあえずこれ以上喋らせないために一瞬で近づいて顔面にグーパンをかます。ついでにナイフは危ないから俺があずかっておくね、って言ってもこのナイフも今から使う予定なんだけどね。
「俺のことチビっていったよね? しかももう一回言おうとしたよね? 大丈夫だよ安心してこれから俺はもっと高くなるから、反対にあなたは縮んじゃうけど全然問題ないよね? だって俺よりもずっと高いんだもんね?」
「ヒ、ヒィ!!」
何か悲鳴を上げ始めた、おかしいな俺はまだ何もしてないのに。
「さあて、どこからあなたの身長もらおうかな~、胴長短足は嫌だし足か腰を少しずつもらうのがいいかなーやっぱり、じゃあちょっと痛いけど我慢してね」
そう言って俺はこいつから奪ったナイフを掲げる、痛いって言っても直ぐに済むから安心してね、ザックリとひとおもいにやったげるから、ザックリと。さあ、我が血肉にしてくれようぞ!!
「…………」←気絶
「フフフフ……さあて、さっさと切断」
「何やってるんだよ全く……」
「アダ!!」
そうこうしてると悠伎に軽く殴られた、あれ? 俺何してたっけ?
「まったく、ほら、佐伯が倒したやつで最後だぞ、何人か負傷しちまったがこれで一件落着だな」
「え? あれ? そうだっけ?」
ということは目の前で気絶してる奴は俺が倒したってことかな? 全く記憶にないんだけど……まあ細かいことはどうでもいいよね。
「とりあえず救急車を呼ぼう、負傷者はそちらに固まって待ってください、それから―」
ん? 今視界の端で何かが動いたような?
「く……こ…………まおわ……か」
な!? 最初に悠伎が殴って気絶したはずのやつが起きてる!! しかも手に何か持って悠伎の背後に構えてる!! やばい!!
「危ない!!」
「へ?」
急に俺が大声を上げたせいか悠伎が素っ頓狂な声を上げる、だけどこっちはそれどころじゃない、くそ、奴の手が悠伎に届くまであと少し!! 間に合って……!!
「えいや!!」
「……!!」
間一髪のところで悠伎を突き飛ばす事に成功した、刺そうとした奴もびっくりした感じで目を見開いている、悠伎も今やっと気づいたような顔をしている。
ふう、これで犯人からの最後の一手は絶たれたし、もう何もできないだろう。これで本当に一間略着だね。
といったらよかったのだけど、現実は非常なもので悠伎を押し倒したあと自分も、とは出来ず、
悠伎のかわりに俺が当たってしまった…………のだが、チクリとした痛みを感じるだけであまり痛くない、ナイフで刺されたんじゃない?
「このやろぉ!!」
「グガハァ!!」
そう思ってたら悠伎が俺を刺したやつに向かってマジゲリをかました。おいおい、いくらなんでも吹っ飛ばしすぎじゃない? 7mは飛んだぞ今、死んでなきゃいいけど。
「う……?」
「おい佐伯!! 大丈夫か!?」
大丈夫……だとは思うんだけど体に力が入らない……ふと奴に刺されたところを見てみると、注射器が刺さっていた。
「これは!! くそ!! しっかりしろ佐伯!?」
「う……あ……だ……じょう…………ぶ…………よ」
大丈夫だよ、と言いたかったけどうまく言えない、力は抜けていくし体はなんだか暑くてだるい、しかも無性に眠いし。
「し……か…………ろ!!……き!!…………き!!
心配してくれるのは嬉しいけどもう何を言っているのかわからない、ああもう無理、目蓋が強制的にしまってしまう。
「――――――――――――――――」
大丈夫だから安心して……といったつもりだったけどどうやら聞こえなかったようだ、いや、もう発音すら出来てるのかすら怪しい。もう目も開けてられないや、今は寝かして……
~~~~~~~~~~回想終わり~~~~~~~~~~
で、気がついたらここの病院にいました。」
ふう、2時間しゃべりっぱなしで喉がカラカラになった、やっぱり一気に話すと疲れるなあ。
「はい……なるほど、だいたいのことは分かりました、しかし」
「しかし?」
疲れたような顔でそういった医者に対して俺は疑問符を浮かべる、何かおかしなところでもあったのかな?
「次からはもうちょっと簡潔に言ってください、というかぶっちゃけ日常パート言う必要なかったよね?」
「いやだって昨日何があったか全部話せって言うから……」
俺は何も間違ってないよね? 言えっていったのはそっちだし、そして口調崩れてる崩れてる。
「……まあ、ソウダネー」
なにその棒読み、そしてその人を哀れむような目、そんな目でこっち見ないでください。
「まあそれはおいといて、君とはなしていると全く進まなさそうだから結論から言わしてもらいますよ?」
「あ、はい、どうぞ」
相手が真剣な表情と真剣な口調で言ってきたのでこちらも姿勢を正す。さて、今のこの意味不明な状況の謎がようやくわかるよ。
「まず、君が打たれたのは女体化させる薬です、それは今の君の体を見てくれればわかると思います。」
「はい、そうですね」
にわかにはそんな薬があるとは信じられないけど、こうなってしまった以上そうなのだろうね、まあそんなことより
「それでですね、ここからが問題なんですが、元に戻る方法は……」
「……(ゴクリ)」
ここからが重要な部分だ、元に戻るためにはどのような方法をとらなくちゃならない? 薬だとかするならいくらぐらいかかるのか、それとも手術をしなきゃならないのか、どちらにせよ大変なことには変わりない。
「元に戻る方法は……………………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………………………………………………………今のところ、見つかってないんです……。」
「………………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………はい?」
え? 今なんて言ったの? その言葉に全俺が止まった。