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どういうことなの……?  作者: クルト133
自分が終わり、自分が始まった春休み
14/18

お、俺の学校生活はこんなはずでは……

どうぞ

 俺と悠伎のドタバタしたデパート事件からしばらく経ち、外気温度が冬の刺すような冷たさから春の麗らかな暖かさにきり替わり、外に出れば少し肌寒さが残る程度の寒さになってきたある日のこと、俺は玄関に一人無言で佇んでいた。


「……………………」


 もちろん何もないところで座っているほど俺は暇じゃないし、仮に暇だったとしてもそんな趣味は自分にはない。じゃあ何故こんなところで無意味なことをしているかというと……


「制服…………かあ」


そう、今俺の目の前に広げられているのは、俺がこれから通うことになる響音高校の制服である。


「…………………………」


 それだけだったら何も問題はない、俺が通う高校なのだから俺の制服が学校から送られてくるのは至って普通で当たり前である、当たり前の事なんだけど…………


「リボン……スカート……うーん……スカート…………」


 いくら見つめても何も変わらないが、その物を睨み付けずにはいられない。出来れば現実逃避して思考を放棄してしまいたいところである。


「やっぱりだとは思っていたけどさあ……ほんの一ミリ程度しか期待してなかったけどさあ……」


 今は女だといってもちょっと前までは男だった俺には相当きつい。制服ぐらいは男のものがよかったなぁ……


「くっそあの無神経医者め……少しぐらいは慈悲をくれたっていいじゃないか」


 制服は女になる前に採寸は済ませていたはずだからあの医者が何かしない限りこんなことにはならないはずだし、十中八九、いや間違いなくあの医者が学校に手を回したんだろう。


「ていうかこれサイズ合ってるんだろうか? 俺この体になってから一回も採寸してないような気がするんだけど……」


 でも見る限り間違ってなさそうなんだよなあ……いつ測ったんだろう? 入院中にできそうなタイミングで、俺の知らない範囲でしてるとなると……


「っていうことは……?」


 俺の意識がない間ってこと……?


「まさか……俺が薬で寝ている時に……!?」


 俺が薬で意識がないのをいいことに俺の体にあんなことやこんなことをしたというのか!!(※ただサイズを測っただけです)


「でもまあそんなことはどうでもいいや……しかし字面だけ見るとすごい犯罪臭が漂うなあ……何かの脅……取引材料に使えるかもしれない」


 あっちは秘密を隠し通せてこっちは利益を得る、まさにギブアンドテイクでウィンウィンな素晴らしい関係じゃないか!! え? それはただの脅迫だって? 俺にはなにも聞こえんなぁ。


「さてと、どうしようかなあこれ……サイズ合ってるかわかんないし一回着てみたほうがいいのかな?」


 当日になってサイズが合ってなくて着れませんでしたーとかちょっと洒落じゃすまないし……一回着てみたほうがいいっていうのはわかるんだけど……


「でも自分から着るのはなんか嫌だなあ……」


 自分の男としての本能が拒否反応を示しています。一応この前デパートで買った私服の中にはスカートも含まれていたんだけど、俺は一回も履こうとはしなかった。


「なんていうか……こう……履いてしまったら人間としての何かが失われてしまいそうな気がして……」


 傍から見たら普通の格好に見えるんだろうけど……俺が自分の姿を鏡とかで見つめてしまったらもう無理な気がする。

 

「………………………………」


 そして再びにらめっこに入る、時計の針は既に午前十一時三十七分ごろをさしていた。



         ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「………………………」


 正直、凄く後悔しています……ええ、後悔していますとも。


「うん……これは予想以上のダメージが……グフッ」


 どうせ後で着ることになるんだし、今の内に慣れておかなきゃと思って着てみたけど……あ、やめて鏡の中の俺こっち見ないで恥ずかしすぎて死んじゃう。


「それにものすごい違和感、股がスースーする……」


 むしろ耐えればいいだけの恥ずかしさよりどうにもならないこちらのほうが問題かもしれない。ちょっと激しく動いただけで捲り上がっちゃうんだよね……。


「女の子って俺より短いスカートで見えないようにしてるんだよね……しかも無意識で」


 いつかは俺もそうやってふるまえるようになるのかもしれない。


「まあ慣れてしまう前に元の姿に戻るのが一番いいんだけどなあ……そううまくはいかないよなあ」


 でもあのへんた……じゃなかった無神経藪医者……ある程度あってるからまあこの呼び方でいいかな、あの医者の言い分ではまだまだ開発に時間がかかるっぽいし、はてさてどちらが先になるのやら。


 (おいかーけても~♪ おいかーけーても~♪)プルルルル


とそんなどうしようもないことを考えていると俺の携帯から誰かからお呼び出しがかかった。


「といっても俺なんかに電話してくる物好きなんて一人しか思い浮かばないんだけど」


 俺の電話帳登録人数たったの三人だしなあ、しかもそのうち二人はほとんど連絡つかない状態だし……

この携帯の通話機能は悠伎専用になりつつある。


「はいはいもしもしどなたですかー?」


 電話に出た後念のために一応確認を取る。もしこれで悠伎じゃなかったら俺が恥ずかしい思いをするはめになるし……


「悠伎だけど、っていうか電話帳に登録されてるんだから画面にでるはずだろ」


「あっ」


 そういえばそんな機能携帯にあったね、ほとんど使わないから忘れていたよ。


「はあ、お前らしいな……それで本題に入るが、学校から制服は届いたか?」


「えっと……ああうん……届いたよ一応……」


 届いたのは届いたけど俺の注文した制服とは違うやつが届いたよ、配達ミスとかじゃないけどさ。


「よし、なら早いうちに撮っちまうか、この先ゴタゴタして行けなくなっちまっても困るしな」


「撮る? 何を」


 俺には何のことだかさっぱりわからない、行くって事は外で行うことなのか? プリクラぐらいしか思いつかない。


「その反応を見るに完璧に忘れてるな……最近いろいろあったししょうがないか」


「ごめんなさい、完全に忘れてます。というわけで教えてください」


 最近というかついさっき送られてきたもののせいで頭が痛いです。まあそんなことなくても今日何があるかなんて微塵も覚えてないけどね、制服のことも送られてきてから思い出したし。


「ほら、俺たちがこれから通うことになる響音高校の生徒手帳。あれに写真を貼り付けなけりゃならんだろ?」


「ああなるほど、そのための写真を今から撮りに行こうと」


「そういうことだ、というわけで今からお前んちに迎えに行くから用意しとけよ、じゃあな」


「はいはい、ということは俺は制服を着て待っとけばいい……あ」


 つまりこの格好で写真を撮りに行くと、俺が今まで避けていたスカートを履いて、外に出て、悠伎と一緒に、写真を撮ると。


「え……ちょっまだ心の準備が……って切れてるし」


 まだ他人に見られると若干恥ずかしいし上、この格好で写真を撮るのも抵抗がある。そして何より……


「外歩いてるときに……スカートめくれないか心配だなあ……」


 まあ何とかなるでしょと気楽に思うことにして、そういって俺は後ろのソファーにもたれ込んだ。


「………………」


 するとそのもたれかかったときの風圧でスカートが捲れあがってしまい、俺のはいているシンプルな白い布地がスカートの中から顔を覗かせた。


「……うん……何とかなるでしょ……何とかなるといいなあ…………」


 スカートに重しでもつけていこうかなあ、悠伎が近くにいれば滅多な事は起こらないと思うけど。でもこの前みたいに視線を浴びるのはいやだし……それも恥ずかしい格好ならなおさら……


「…………悠伎が来てから考えよう……それからでも遅くはないでしょ」


 考えること事態めんどくさくなったっていうのはナイショです。もうめんどくさいことは悠伎に全部放り投げてしまおう、思考放棄万歳。











             ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







 ピンポーン


「あ、来た来た」


 あの後考えること事態をやめた俺は、何をするわけでもなくソファーの上でだらしなく横になっていた。といっても悠伎の家とここはあんまり離れてないからボーっとしていた時間自体そんなになかったけどね。


 ピンポーン


 おっと、いつまでもここにいちゃ外で待ってる悠伎がかわいそうだ。


「はいはいちょっとまってー、今開けるよー」


 そういや俺制服のままだったなあ、ていうか考えてなかったけど今からスカート姿の俺を悠伎に見せることになるのか。


「変じゃない……よね多分……」


 念のためもう一度鏡の中にいる俺を見つめなおしてみる。未だに自分の姿に違和感を覚えるが、はたから見たら普通の女子高生に見える……はず……


 ピンポーンピンポーン


「うう……ええい、ままよ!!」


 これ以上悠伎を待たせるわけにはいかないし、悠伎はこれくらいじゃ俺のことを嫌いになったりしないってのは前回のことで散々わかったはずだ。


「ごめんごめん!! 制服を着るのに時間かかっちゃって」


「あ、やっと出てきたか。あらかじめ準備しとけっていっとい……あーなるほど」


 悠伎は俺がなかなか出てこなかったことをとがめようとしたみたいだけど、今の俺の姿を見て納得したようだ。


「俺もスカート履くの初めてだからよくわからないんだけど……どう? 似合ってる?」


 別に俺的には似合っててほしいわけじゃないけれど、できれば引かないでくれるとうれしい。これから学校に通う姿だからこの姿に毎回引かれると俺の精神が持たない。


「ああ……似合ってる」


「そっか……よかった」


 俺はその一言に安堵して一息つく。しかし女装している自分をほめられているみたいでなんか複雑な気分だ。


「とりあえずすぐに行くのもなんだし、ちょっと家で休んでいく?」


「ああ、そうさせてもらうか。腹もすいたし昼も考えないとな」


  あと、行くまでにスカートが翻ることに対しての対策考えないとなあ……

 悠伎を家に招きながら、俺はそんなことを考えていた。

 






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