始まり方はどういうことなの……?
初めてかくのでアドバイスもらえたら嬉しいです。
「しっかりしろ!! 佐伯!! 佐伯!!」
友人が俺の名前を必死に呼ぶ声がする……だが俺はその声に対して口をパクパクと開くことしかできなかった。目がかすみ、力が抜けていく……グッタリとしていく俺を友人が焦ったように揺する。
そんなに心配しなくても俺は大丈夫だよ。ただ少し眠いだけで。だから今は、少しね…かせ……て………。
「ん……ここはどこだ?」
確か俺は友人と一緒にゲームセンターに来ていて……そっから先の記憶がない。
そういえばここはどこなんだろうだろう? 全く知らない天井である、あれから移動した覚えもないし、まさか俺は瞬間移動の能力でも目覚めたのであろうか? まあたぶん誰かに運ばれただけですよね、調子に乗ってすいません。
という事は、眠っている? 間にここに運びこまれたと、何が起こってここに運ばれたんだっけ?
「失礼します。あ、村宮さん気づかれたんで……え、あれ?」
そうやって意味もないことをうんうん唸っていると看護師さんが入ってきた。そして何故か俺の顔見て固まってる、そんなに俺の顔は見ていて面白いですかね?
「え、えーっと、すいません、村宮さんはどこにいるのでしょうか?」
「どの村宮さんかは知りませんが、俺の名前は村宮です」
そしてあなたが探してる村宮さんって多分俺のことだと思います、同名人物なんてそうそういないと思いますよええ。というか今の質問をする意味あったんだろうか、まるでここに村宮という人物がいないみたいな言い方なんだが。
「え? あ、あなたの名前は?」
「村宮佐伯ですがそれがどうかしましたか?」
今更遅いと思うけど村宮佐伯って俺の名前な、って誰に話しかけてるんだろう俺。
「ええ!? じゃああなたは村宮さん………先生!! 先生大変です!!」
と言って走り去ってしまった、慌ただしい看護師さんだなー。
もっとゆっくりしていけばいいのに、そしてできれば現状報告ぷりーず。
「本当になんだったんだろう………あれ? 自分ってこんなに声高かったっけ?」
そういえば看護師さんは俺の姿……というか俺の顔を見て驚いていたな、失礼な、俺の顔はそんなに面白いもんなんですかね俺ちょっとどころか相当ショックですよ。後さっきからなんか視界の端に銀色の糸が見えるんだけど俺の髪にでも引っかかっているのだろうか、うっとおしいし取ってしまおう。
「えーっと……あれ痛い? 髪の毛元々白かったっけな俺……? 首はなんともない、胸は普通に膨らんでるし、腰はくびれ……ってん? 胸?」
待て待てちょっと待て、俺の髪の毛は白なんかじゃなかったはずだし自分は普通に男だったはずだ。記憶が正しければ男として生まれてきたはずだ、胸なんてないはず、落ち着け俺、素数を数えるんだ、2、3、5、8、13……ってそれはアボガドロ定数だ!!(※正しくはヒボナッチ数列です)
「いや待てマジで落ち着こう自分、これはただの作り物だ、PADだPAD」
ついでに頭についてる奴はカツラだな多分、そう自分に言い聞かせる、まったく、誰がこんないたずらをしたんだ、心臓に悪いでしょ。
「とりあえずこれ外そう、んしょ(ぎゅむ)…あ、あれ? 外れない、しかもなんか痛い……え? うそ? 作り物じゃない?」
どういうこと? 思考が追いつかない、これは作り物じゃなくて俺の体の一部? いったいどうなってる俺の体!?
「待て、まだ終わりじゃない、はやまるな、はやまるなよ俺!!」
そうだ、まだ確認してないじゃないか、男だけが持つ勲章を、もう一人の俺を!! まだ終わってない!!
「とりあえず深呼吸だ、吸ってー、吸ってー……………げほっげほっ間違えた、吸ってー吐いてー、吸ってー吐いてー…………………よし!! では村宮佐伯いざ参る!!」
そう言って自分のズボンのベルトを緩めて中をのぞき込んだ。ほら、やっぱり心配しなくてもあるものはちゃんとあ……………………あ、あれ?
スーッと自分の顔が青ざめていくのがわかる。若干めまいもしてきた、ははは、俺、ゲームのやりすぎで疲れてるのかな? 多分疲れてるんだろうね、じゃなきゃこんな光景見えるはずがない。目をゴシゴシとこすってみる、しかし、無情な現実は俺にその事実を容赦なく叩きつけてくる。
…………
…………………
………………………
……………………………
…………………………………ない。
ない、ない! ない!!
男なら誰しもがもっているはずのあれがない!! なんで!? どうして!?
そんな思考ばかりが頭の中をぐるぐると反芻していく、わたわたとみっともなく取り乱し、あわてふためきパニックになる。
「いったい何がどうなってるんだ!?」
そんな時、ふと病室のすみにちょこんと置いてある鏡が目に入った、その鏡をじっと見つめる俺、
しかしどんなにじっくり見つめても、その鏡の中に俺の姿は映らない、この鏡、壊れてるのかな? と
最初はそう思った、思いたかった。でも、俺が座ってるはずのベッドはしっかりと映っていた。
そして俺が本来座っているハズの、座っていなければいけないはずの場所に、なぜか全く見たこともない
銀髪の少女が映っていた。
「…………」(スっ)
俺は黙って右手を上げてみた。
鏡の中の少女も右手を上げた。
次は左手を上げてみた。
少女も左手を上げた。
そのまま手を振ってみた。
鏡の中の少女もry
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………………………………………………
………………………………………………
……………………ダメだ何も分からない
思考停止、頭がショートした。
「そうかきっとこれは夢なんだ、うんそういうことにしておこう。きっとそうに違いない、ほら、目をつむって次開けたときはいつも通りに戻ってるさ」
そしてそのまま考えることもやめた。全くタチの悪い夢だ、できるなら早くさめてくれ、と祈りつつそのままベッドに倒れこんだ。自分がベッドの端まで動いていたことにも気づかずに……
そして俺は鈍い音と共にベッドから地面に落ちた。
「きゃん!!」
その時、自分の声とは思えない可愛い悲鳴が出た、そして鈍い痛みも遅れてやってきた。
その痛みは、これは夢なんかじゃなく現実だよ、と自分に語りかけてくるようだった。
鏡の中に映る少女が涙目で頭をさすっている、これは萌えるものがあるね~、と他人事のようにどうでもいいことを思った。
「ハハ、ハ、ハ…………」
もはや乾いた声しか出ない、何回考えても同じ結論に行き着く、ああ、現実は無情で非情だ。
どんなに認めたくなくても、どんなに妄想に浸かろうとも、真実は容赦なく自分を追い詰める。
もはや認めるしかない、現実逃避をしたくても、逃げ道は全て防がれてしまった。
「なんで女になってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
病院の医者っぽい人が入ってくるのと、俺の悲鳴が病院に響き渡ったのはほとんど同時のことだった。
ちょい修正しました、色々技法間違ってて申し訳ないです。