夏
掲載日:2012/04/08
蛹をひとつ、木からはがしてしまった。
あの夏のまま全てが止まったようだ
古紙を集める男は、汗を拭きもせず、帽子の下で笑っている。
ドブ川を泳ぐ亀は、人間の捨てた物を、名前も知らずに、寝床にする。
死んだ猫を抱いた少年が
銀色の街路樹の下を わけもわからず叫びながら走った。
あの日 あらゆる時間の隙間に あなたは居た。
永遠を信じて、目を閉じていた。
引き剥がされたものは なんだったのか。
美しい羽根 老いていく為の自由
欲しかったのは、誰かに届く声
また夏が終わる。




