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4話

それから玲奈はキツい夏を乗り越え、3年生の本番想定練習のスピードに置いていかれる事は無くなった。


今では2年生グループよりも早く走れるスピードとスタミナを得ていた。


もちろん1年生グループの中では圧倒的スピードだった。




そしてその年の11月。



三年生最後の県大会。


私は出場選手ではないため、ゴール地点からモニター越しに応援した。


他の1年生や2年生は大会の場所まで距離があるため来なくていいと先生から通達があって来ていない。



結果は――

全国には届かなかった。


でも、ゴールした瞬間の3年生たちの顔は泣きながらも笑っていた。


「ごめんね、全国連れて行けなくて」


先輩の一人が私に近付いてきて言う。


玲奈は首を振った。


「……すごかったです」


言葉に嘘はなかった。


必死に走り切った人の顔を、

初めてこんな近くで見た。


私もあんな風になりたいと思いながら、大会は幕を閉じた。






そして---







三月。


卒業式の日。


制服の胸に花をつけた先輩たちが、

最後にグラウンドへ来た。


「玲奈、未来のエースとして頑張ってね」


その言葉を残して、先輩たちは静かに去っていく。


玲奈は、風に揺れるその背中を見送りながら思った。


(……私も、あんな風に終わりたい)






その翌月の4月。


グラウンドは、少しだけ静かだった。


足音が少ない。

掛け声も少ない。


風の音だけが、やけに大きく聞こえる。


――この時の玲奈は、まだ知らない。


この場所から「本気」が消えていくことを。


たった一人で走ることになることを。


今はただ、春の風の中で走れる場所があることを静かに感謝していた。

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