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主人(マスター)と悪魔(メイド)の主従関係  作者: 睡蓮酒
序章 ~始まり、始まり~
9/69

第8話 それは……多分主さまの能力と死神だったんじゃろうな

遅くなってすいません!

いろいろ忙しくてあまり早く書けませんでした。

やっと書けたので、楽しんでくれたら幸いです

「さて、それでは私からも質問だ」

「ん?ああ」

「そこの……おそらく悪魔の類が、何故君と一緒にいる?」

「なんでって……俺は主人で、ルシフはメイドだから」

さも、当たり前のように、むしろ何故そんなわかりきっていることを聞くのかわからないといった風に、拓真は言った。

「……私にも解るように言ってくれないか?君の言うことは高度すぎて私には追い付けないようだ」

「俺が、主人で、ルシフは、メイド」

「だから解らないと言っている!」

「解ってください」

「無理だ」

「信じろ、お前ならできる」

「そんな適当なテンションで言われて信じられるものか!」

「んー……でもそうとしか言えないんだが……なあ?」

そう言って拓真はルシフの方を見た。

「そうじゃな、それ以外に言えることもないのう」

「ふむ、それでそこの悪魔はそんなちんちくりんな服を着ているのか?」

「「ちんちくりん!?」」

拓真とルシフはハモりながら椿に掴みかかった。

「「ちんわしちくだってりんべつにとはげじょなんのだかっこういのいつもりでかメやってイドといるはほわけではんらい……」」

「二人同時に喋るな!何を言っているのか意味不明だ!」

そう言われて、二人は顔を見合わせて、

「主さま、この何もわかっていない女に言い聞かせたほうがよいぞ!」

「あたりまえだ!まさかエロ女がここまでわかっていないとは!」

「なんだ君たちは!メイドの呪いにでもかかっているのか!?」

「「問答無用!!」」

「いゃああああああぁぁぁ~……」


一時間後。

「メイドって素晴らしい……」

虚ろな目でそんなことを呟く綾乃桜椿が出来上がっていた。

「主さまや……やはりあの演説にはなにか人を変える魔力のようなものがあるとしか考えられんのう……」

「褒め言葉として受けとめておこう」

「く……何か最悪な拷問を受けていた気がする……」

椿は割と早く正気に戻ったようだった。

「おはよう、椿」

「ああ、おはよう、好きだから結婚してくれ」

「お前が何を言っているのか俺にはわからん」

「そうか、それは残念だ。……それで、本当にメイドなのか?」

「ああ」

「そうか……まあ、君なら悪魔をメイドにしたりしていても全く違和感を感じないな」

「それも褒め言葉として受けとめておこう」

「なあ、悪魔……というのはもうやめようかな……ルシフ、君は本当に彼に従っているのか?」

「当たり前じゃろう?儂は主さまとの契約によって喚び出されたんじゃからのう」

「……なんだと?」

椿は聞き間違えでもしたかのように、もう一度聞き返した。

「契約によってだと?」

「うむ」

「そんな……だったら……どうして……?」

「なあ、椿。お前はどうしてあんなに焦ってルシフを消そうとしたんだ?明らかにあれはいつものお前じゃなかったぞ?」


「いや……それが……私が学校で君から感じ . . . . . . . . . . . . . . たのは……君への明らかな害意だったんだ。」

「ルシフ、俺のこと嫌いなのか?もしそうだったなら俺は今から富士の樹海に行かなければならないのだが……」

「そんなわけないじゃろう?儂は主さまのメイドじゃぞ?」

「だよなあ?……椿、お前の勘違いじゃないのか?」

「いや、それはない。確かに君には明らかな害意を向けられている痕跡があったんだ。しかし、ルシフのものでは明らかにない……どういうことだ?」

椿が腕を組んで考え込んでしまった。

すると、


「……それ、私が教えてあげようか……?」


突如、声がした方に振り返ると、誰かが立っていた。

「「な!?」」

拓真と椿が同時に驚きの声を上げ、ルシフはただ平然とそれを見ていた。

「さようなら」

そう言って何かは大きな何かを振り上げて、拓真たちのいるほうへ、振り下ろした。

しかし、それもまた、ルシフの見えない障壁が簡単に防ぐ。

すると、そのせいで動きが止まった何かをやっと確認することができた。

「鎌!?」

振り上げられた大きな何かは、鎌だった。

そして、

「女……の子!?」

もうひとつの何かは、見た目は小学生くらいの、女の子だった。

ルシフのような銀髪ではなく、色が抜け落ちてしまったような白髪。

真紅の瞳は、ただひたすらに無感情を顕していた。

そして、ぼろぼろのドレスを着ている。

「……誰じゃ?お主?」

ルシフが睨み付ける。

「……私は、死神。シュガーホワイト・サリエリス・ソウルシェイカー」

抑揚のない平坦な話し方だった。

「ふん、サリエリスの死神か」

「おいルシフ、一体こいつは誰なんだ?」

「死神じゃよ、それなりに高位のな……それで主さまよ、なにゆえその死神の頭を撫でておるのじゃ?」

「いや、なんかこの子見てるとすごい癒される、っていうかすげぇ可愛いんですけど」

拓真が撫でているのを、死神は無感情に見ている。

「馬鹿か君は!?」

「よし、君のことはサリエルと呼ぼう」

「……呼ぶな」

そう言って、サリエル(暫定)は鎌を拓真の首に掛けた。

「おろ?」

「君!?」

椿は拓真の首に鎌が掛けられたのを見て、反射的に走りだそうとしたが、状況を認識して、理性で動きを止めた。

「何が望みじゃ?」

ルシフがサリエルに尋ねた。

「……こいつのせいで、この世界に引きずり込まれてしまった。」

「……ああ、そういうことか」

ルシフだけは、今この場で起こっていることを理解できたようだった。

「ルシフ、どういうことだ?説明しろ」

「それがのう……どうやら主さまが儂を喚び出した時に、そやつも巻き込まれたようなんじゃ。それで、帰る前に、自分に迷惑をかけた男に腹いせをしにきたということじゃな?」

サリエルは無言でコクンと頷いた。

「……だから、こいつを殺しに来た」

「……ということなんじゃが……主さまや、どうするのじゃ?」

「んー……どうしようかな」

「君たち落ちつきすぎだろう!?」

「お主は慌てすぎであろう?」

ルシフは呆れたように言った。

「彼の首が危ないんだぞ!?」

「落ち着いたらどうじゃ?そんなわけないじゃろう?」

「何を言って……」

「……死ね」

ルシフと椿が言い合っているうちに、サリエルが拓真の首めがけて、鎌を振り直した。

鎌が拓真の首を刈り取ろうと、空気を切り裂きながら迫る――

. . . . . . . . . . . . . . . . . . 「儂ほどの悪魔を喚び出した主さまが普通

. . . . . . . . . . . .

の人間なわけないじゃろう?」


鎌は、ただ空を切っただけだった。

サリエルが鎌を振り切ったままの姿勢で、状況確認をしていると、突然視界が切り替わり、気づいた時にはすでに星が見えるようになった空を見ていた。

「……?」

サリエルが起き上がろうとすると、拓真が上から押さえつける。

しかし、死神と人間では、根本的な力に差がある。

だからサリエルは無理矢理起き上がろうとする。

だが――

「おい、サリエル――動くな――」

「……!?」

. . . . . . .

拓真が紅い目で睨むと、サリエルは突然動きを止めた。

「な、あれは……!?」

「ほう……主さまが魔眼を使えたとは……」

拓真が再びサリエルを押さえると、サリエルは拓真を凝視した。

「あー……その、あれだ……悪かったな」

「……」

「俺のせいで喚び出されたくもないのにこっちに喚ばれたんだろ?本当に悪かった。だからまあ、これで許してくれ。もし許してくれねえなら、まあそれでもいい。また殺しに来いよ、いつでも相手してやる。死んでやらねえけどな」

「………………………………………分かった」

魔眼はもう解けたというのにサリエルは長い間動かないで黙っていたが、急に動き出して、拓真を振り払った。

そして、赤黒い光に包まれたかと思うと、だんだん薄まっていくようにして、消えてしまった。

「……一件落着か」

「そうじゃな」

「してないぞ」

「……なんだよ椿」

「なんだよじゃない、どういうことだ!?」

「……俺もよく知らねえんだ、この力は。親父なら知ってるのかもしれねえけど」

拓真の父はいま出払っている……というか基本的に家におらず、どことも知れぬ土地を放浪している。

「まあ、魔力を使う召喚で儂を喚び出して気を失ったりしなかったから、ただ者ではないと思っておったがの」

「……まあ、いいじゃねえか、別に。俺のことが少し分かってよかったねってことで」

「……むう、まあ、いいかな、それでも。君がどんな力を持っていても、君は君だからな……それと、ルシフ。すまなかった。私の早とちりで、君に矢を向けてしまった」

「かまわぬよ、儂はそんなことを気にするほど小さくはないからのう、別に悪気もなかったようじゃし」

「本当にありがとう……それじゃあ私はもう帰るよ、また明日な、拓真」

「おう」

「ルシフも」

「うむ」

そう言って椿はゆっくり歩いて帰っていった。

それから、ルシフは拓真に振り返って、

「主さまや、もういいと思うよ」

「そうか……後は頼む」

そう言って、拓真は崩れ落ちてしまった。

実は拓真にはもう、歩く力も残っていなかった。

「まったく……主さまも難儀じゃのう……いくら魔力があるからといって、人の身で魔眼を使ってそのままでいられるわけがなかろうに……」

呆れたようにルシフが言ったあと、拓真を担いで家の中に入っていった。


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