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主人(マスター)と悪魔(メイド)の主従関係  作者: 睡蓮酒
余章 ~おしまい、おしまい、また始まり~
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お嬢様(腐)と悪魔(受)の主従関係

 わたくし、いま非常に困ってますの。


 あ、自己紹介をしておいた方がよろしいかしら?

 世界的財閥、高天原カンパニーの娘、高天原 とうかと申しますの。

 まあ、そんなことはどうでもよろしいのですわ。問題はわたくしの目の前にいる殿方でして……

「というわけで、これはとうかちゃんにあげるよ」

 殿方の名前は天村 勇人。

 ときどき高天原家を訪れてはすぐ出ていく謎な人ですわ。そんな勇人叔父様が、わたくしに差し出してきたのは一冊の分厚い本。題名は英語で、直訳すれば……"契約の書"?

「はあ……別に拒否は致しませんけど、どうしてわたくしなんですの?」

「いやあ、どうやら僕の息子にはもう必要ないみたいだからね。"契約の書"は退屈を嫌うんだ。だから僕はこうして次に持ってきたというわけさ」

 言っていることが電波的ですわ、中二が抜けきっていないようですわね。

「その本についてはよくわからないのですけれど……勇人叔父様には子供がいらっしゃったのですね」

おそらく歳は40を越えているように思えますが、シワの少ない引き締まった顔だちには凛々しさがありますわ。

……もったいないですわね、これが妻子持ちだなんて。

「うん、いるよ。君と同じ年の男の子さ。すっごく君たちが幼かった頃一度だけ会ってるんだけど、流石に憶えてないかな」

「残念ながら、憶えてませんわね」

 わたくし、過去は昨日のことですらほとんど忘れるようにできていますから。いまわたくしのことを単なる馬鹿なんじゃないかと思った方は挙手しなさい。皮を剥いでさしあげますわ。

「まあ、それでいいんじゃないかな。君と拓真の物語が交わることはないだろうし」

「なんの話ですの? 物語とか、なんとか」

「こっちの話さ」

……釈然としませんわね。

「それで、わたくしはこれをどうすればいいんですの?」

「本なんだから、読むに決まってるじゃないか」

「そうではなくて、」

「じゃ、僕はいろいろと忙しいからこれでお暇するね」

「あ、ちょっと!」

 勇人叔父様はわたくしの制止も無視してさっさと部屋から出ていきましたわ。ああもう、あの人はわたくしの話を聞く気がありませんの!?

「……なんなんですの、一体」

 "契約の書"。いかにもセンスのない題名ですわね。これ、2000ページはあるのではないでしょうか?

「あら? 白紙ですわ」

 数ページめくってみても白紙ばかりが続いていますわ。一応通し番号はありますけど。

……わたくし、もしかして勇人叔父様にからかわれているのでしょうか。

 パラパラと白紙を眺めていると、一ページだけ文字の詰まった所がありましたわ。

――667ページ。

 微妙ですわね、どうせなら666ページにすればよろしかったですのに。

「読みづらいですわね……」

 英文がビッシリと連ねてあって、読む気をなくさせますわ。

 面倒なので最後だけ読むことにしましょう。

「契約するなら復唱せよ……ですって?」

 目を移すと、その下に短い一文がありましたわ。

「Kill my days and follow me……?」

 途端に、"契約の書"が強い光を発しましたわ。

 くっ、眩しくて目が開けられませんわ……!

「本当になんなんですの……」

 しばらくすると光は収まり、わたくしは目を開けましたわ。

 すると、紅い瞳と目が合いました。

「誰、ですの……?」

 銀の髪に、白い肌。周囲に光を散らすような、まごうことなき美少年がそこにいましたわ。

 この少年がどこから現れたのかはわかりませんが――駄目、この少年は危険ですわ……




「……ああ、僕はまた――喚ばれたのか」




「あ、あなた!」

「え、ぼ……僕?」

 あああああ……!

 無理ですわ、こんなあどけない表情で見られたらああぁぁぁ……!



「あなた、攻めですの? 受けですの?」



「え、……せめ? ……うけ?」

 ええ白状します。わたくし、殿方同士の恋愛が何よりも好きな腐女子ですの。

 ホモとボーイズラブは違うんですのよ、混同している方は勉強することを要求しますわ。もちろんわたくしが好きなのはボーイズラブ……っと、熱くなりすぎましたわ、今は目の前の美少年ですわね。

「ああ、受け攻めの概念を知らないんですのね。いいですわ、受け執事と攻め執事を用意してさしあげますから、取り敢えず一度絡めて調べて見ましょう!」

「ちょっと、あの……」

「いきますわよ!」

 わたくしは突如現れた美少年の手を引いて部屋を後にしましたわ。

 きっと私はいま唇を吊り上げてそれはもう愉快そうな顔をしているはずですわ。

 ああ、なんて楽しい展開なんでしょう――!





 それが、

 美男同士の絡みが何よりも好きな少女――高天原 とうかと、

 最弱と言われ続けた悪魔――クロウシルバー・ダンタリアス・プランメイカーを中心に紡がれる、物語の始まりだった――


                            Stories are ENDLESS………

完全燃焼。これで終わりです。

なんでもいいので、よろしければ感想お願いします。

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