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主人(マスター)と悪魔(メイド)の主従関係  作者: 睡蓮酒
第二章 ~吸血鬼とか、ドッペルゲンガーとか~
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第36話 悪魔×ドッペルゲンガー=二人目のルシフ

ここにきてやっと構成が決まってきました。^_^;

「……邪魔するのもいい加減にしてくれないかな、別に君たちと衝突する必要は微塵も無いのにさ」

ドッペルゲンガーは呆れ半分、苛つき半分で肩をすくめた。

「いやー、それでもやるしかねえんだよなー。別に俺が普段からこういうことしてるってわけじゃねえんだけど、放っといたら面倒そうだし。俺がなんもしなかったら多分椿が勝手に一人でお前らをなんとかしようとしてたんだろうしさ」

椿は綾乃桜という代々退魔の才があり、その才を活かして退魔による治安維持(治安維持と言っていいのかは分からないが)を担ってきた家系の娘である。

おそらく今回の件もいずれ解決を椿に任されたはずだ。

しかし、ドッペルゲンガーが相手ではいくら椿といえども一人では敵わなかっただろう。

「ほら、自分の知り合いが自分たちのために自分たちの知らないところで血だらけになってるとか嫌じゃね?椿って結構溜め込みがちなところがあるから、多分自分が困っててもあんまり人にそういうことを相談しそうにねーし」

「ああ……そっか、君にとってあの子はとても大切な存在なんだね」

「ん、そうだな。つーか椿だけじゃなくて皆大切だ。ルシフも、サリエルも、九尾も、天狗山兄妹も、一応十組のやつらも……………あと天宮も?……まあ、だからそいつらに危害を加えるようなお前らを見逃すわけにはいかねえっつうわけだ」

拓真が村正を抜き放つ。

「いいね、君のそういうところは彼も、多分僕も嫌いじゃないよ。でも僕たちには目的があるからね、邪魔をされるわけにはいかないんだ」

「そうかい、だったらもう始めようぜ。引くつもりはないんだろ?」

「もちろん。君たちこそあれだけの実力差を見せつけられて引く気にはならないのかい?」

「もしそうなら俺たちは今ここにいねえよ。それに、今回は勝つつもりだぜ?」

「ふうん……ま、いいよ、やろう」

「さっきから話を聞き続けておるが……儂を忘れてもらっては困るのう」

少し不満のような、むくれたような表情で、ルシフは拓真たちの話に割り込んで一歩前に出た。

「忘れてなんかねえよ、むしろ今の俺の神経の七割はルシフのメイド姿を視姦するために働いてるからな」

拓真は親指をぐっと立ててルシフに振り返った。

「主さま、時と場所を考えてみてはどうじゃ?」

「ハイ……すいませんでした」

「僕も忘れてないよ。いや、忘れられるわけがないよね。君たちの中で一番強い悪魔さんなんだから」

「ふん……おぬしは忘れておらんというより記憶しておるだけじゃろう」

「うん、君のことは実際に見て、声を聞いて、魔力を感じたからね。

もう記憶しているよ。

そして記憶しているからこそ――――」

突然、ドッペルゲンガーの身体が一度闇になって夜の闇に溶けこんだ。



そして――――










「僕は君になれる」







ドッペルゲンガーは、ルシフに、なった。





「前は適当に目についた一人を模倣コピーしちゃったけど、今回の僕は君たちと相対する場合において最強の"僕"だ」



「そうか、そりゃよかったな」



「ん?」

ルシフになったドッペルゲンガーが声のした後ろに顔だけを振り向かせると、そこには"電光石火フラクタル・サーキット"を使った拓真がいた。


「悪いけど今のお前じゃ仁義とか言ってる場合じゃねーんでな」


そう言って拓真は振り返る時の回転力を村正に乗せてドッペルゲンガーに一閃を入れようとした。


ヒュッと空気を切り裂く音―――




――――ガギイィッ!!――――





しかしそれは、視えない障壁によって防がれた。





「!?」

「便利だね、この"矛盾で固められた否定のイージス"って」

傷一つつかなかったドッペルゲンガーはそう言って、掌に火球を発生させた。


ルシフのそれと同じ、摂氏数千度の超圧縮炎球を、ドッペルゲンガーは拓真に向けた。


「チッ!」

拓真はそれを見ると同時に"電光石火"を使ってドッペルゲンガーの視界から消え去って、

そして次の瞬間にはルシフの隣で息をついていた。

「主さま、大丈夫か?」

「ああ………流石に、ルシフが相手っつーのは嫌になるよなあ……

やっぱ俺じゃあ勝てる気しねっす。

だから後は頼むわ、ルシフ」

「ふふ、わかっておるよ。後は任せて下がっておれ、主さま」


「じゃあ命令だ。ドッペルゲンガーを倒してこい」




「かしこまりました、我がご主人様」

ルシフはまた、あの時のように、口元を歪めた。




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