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主人(マスター)と悪魔(メイド)の主従関係  作者: 睡蓮酒
序章 ~始まり、始まり~
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第3話 それは……多分主さまの告白だったんじゃろうな

そんなわけで、ルシフは拓真のメイドになるということになったのだが……

(くうう……やられた、儂が下女の格好を……なにか言い訳は……仕方ない、しらばっくれるかの)

「さあ、ルシフ、この聖なる装束にクラスチェンジ……」

「ん?なんのことじゃ?主さまの言っていることの意味が理解できな……」

『ひっ!ま、まて!着る!着させていただく!儂は主さまのメイドになる!儂は主さまのメイドじゃー!』

突然、ルシフの先程の服従宣言が、どこからともなく流れた。

「おっと、さっき偶然持っていたレコーダーから、偶然録音モードになっていた時間帯の音が、偶然再生されてしまったー……なにか言ったか?ルシフ」

「なんでもない、独り言じゃ……」

(こやつ……ここまでやりおるとは……)

「まあ、よいわ。儂も契約して召喚された身じゃし、此度の主さまがこんなだったと諦めて従うことにしよう。主さまにとっては別に儂のことを下女として扱っているわけでもないようだしの」

ルシフは開き直ったというか、諦めたというか……

「ああ、わかってくれてありがとよ。さて、じゃあ早速これに着替えてくれ」

そう言って拓真が取り出したのは……

「なあ主さまよ……儂が着るのは黒のメイド服ではなかったか?」

「そうだったか?」

「そうじゃったわ!なんじゃこの無駄に露出の多いピンクのフリフリは!?」

そう、それは明らかに最初の黒のメイド服ではなく、ピンクの、確実に色気路線に走ったフリフリメイド服だった。

「いや、今考えてみればこっちの方がよかったんじゃとおもえてきてな」

「嫌じゃ!さすがにそれは本気で!最初の黒のあれはまだ気品というかそれなりに奥ゆかしさや凛々しさがあったというのに!それは完全に別物であろ!?」

「まったくだな、ルシフはよくわかってる。メイドは低俗な存在であってはならない。かの偉大なクラークさんも言っている"メイドたちよ、大志を抱け"と」

「主さまの言っていることがたまに理解できんのは儂が悪いんじゃろうか……?とりあえず、あの服を出してくれんかのう」

「はい、じゃあこれな。少面積率第一位の白フリメイ……」

「殺すぞよ?」

ルシフが掌の上に火球を発生させて、拓真にむけた。

なにげに異能の力初登場。

「すみませんでした、反省はしています、だが後悔はしていない!」

「はあ……大悪魔である儂をここまでからかった変人は、主さまが初めてじゃよ」

「ふむ、それで初めてを奪った俺のアレ(冗談)の感覚を忘れられないと?」

「嫌な言い方をするでないわ!」

「口ではそう言っても、身体は正直に快感を求めてるぜ?」

「そうじゃの、儂も本意ではないが、今主さまを殺れば至上の快感を得られる気がするのう……」

さて、撃つか、みたいな感じでルシフが掌を向けてきたので、危機を感じた拓真はふざけを止めて、

「落ち着け、冗談だ、ほら、さっきの黒メイド服だ。お前にこれを着てもらう。いいな?」

「うむ、了解じゃ」

そう言ってルシフは元々着ていたボンテージ服に手をかけた。

「まて、ここで着替えるのか?」

ルシフは着替えの手を止めて、

「ぬ?……ああ、そういうことか。なんじゃ主さまは意外と初心じゃの、どうじゃ、儂の身体は?なかなかのもんであろ?ん?」

ルシフは見せつけるように身体をくねらせた。

「ああ、そうだな。別にここで着替えても構わんが……いろいろと、危ないぞ?」

「主さまは一体何をするつもりじゃ!?」

「いや、俺は別に今何かしようとは思っていないんだが……理性がね、今後どれだけ戦えるか定かじゃないからな」

「……どのぐらい戦えそうなのじゃ?」

「ルシフが着替えようとしたときにヘソが見えただけで負けそうになりました」

「むこうで着替えてくる!」

ルシフは聞くやいなや、全力で隣の部屋に走っていった。


しばらくして、

「着替えたぞ……」

ルシフは顔だけ出して小さな声で言った。

「そうか……なんでそんな隠れてるんだ?」

「は、恥ずかしいではないか!……いや、メイド服を着ること自体ははもうすでにそんな気持ちは消え失せたが、やはり似合ってなかったときのことを考えると、そんな姿を主さまに見られるのは……うう…」

「大丈夫、別に笑ったりしねーよ。ほら、だからでてこい」

「ほんとじゃな!?絶対に笑うでないぞ!?笑ったら魔界の魔獣どもをこちらに解放して、世界を滅ぼすぞ!」

「いきなり世界の命運が俺の手に!?お前が言うと洒落にならん!なまじできるだけの能力があるから!……あーもうわかったからいいかげん出てこい」

「うう…」

出てきたのは漆黒のメイド服に身を包んだ銀髪の美女。まさに完璧、この世で最も似合っているのではないかとも思えるほど似合っていて、なによりも美しく、気品があるように思えた。

「あ……」

「どうじゃ?……その、似合って、おるかの……?」

ルシフが顔を赤くして、不安げに尋ねるが、拓真は動かなかった。

「……」

「主さま?」

「……」

「や、やはり似合ってなかったのか?」

「……」

「そうか……似合ってなかったのか……主さま、すまんのう、儂がもう少し可愛ければ……え?」

ルシフが少し沈んでいると、突然、拓真がルシフに抱きついた。

「な、なにをしておるのじゃ!?主さま!?」

「結婚してくれ」

「なあ!?」

「好きだ、大好きだ、愛してる。お前より美しいやつはいない。最高だ。もう一度言う、結婚してくれ」

「い、いやしかし、儂は……」

「悪魔だろうが、人間だろうが関係ない、俺はお前を好きになった」

「主さま……ふふっ、確かに、こんなに共にいて楽しいと感じられる主さまとなら、いいかもしれんの……主さまや、その覚悟、受けと……」

「ハッ!?……ん?どうして俺はルシフに抱きついてるんだ?記憶が……なんか飛んでる気が……」

「ぬ、主さま?」

「ようルシフ、すまん、あまりにも美しいお前が視界に映ったから、どうやら意識が飛んでたみてぇだ」

「じゃあ……さっきまで言ってたことは覚えておらんのか……?」

「さっきまで?記憶はお前がメイド服を着て出てきたところで途切れてるんだが……俺、なにか言ってたか?」

「う、ううううう……!」

「どうした?なんか顔が赤く、そして怖くなってるぞ」

「うるさいわ!主さまの阿呆!」

ルシフは拓真の顔面を、ドグシャッととてつもない音がなるくらいの力で殴った。

「いてえ!威力がえげつねえ!さすが悪魔!」「うう、こんな主さまに一瞬でも心を奪われたとは……」

「なあ、ルシフ」

急に、拓真が真面目な声音を出した。

「……なんじゃ、主さま」

「その、さ、俺がなに言ってたかは知らないけどさ、これだけは真面目に言わせてくれねーか?」

「……よいぞ」

「ずっと俺と一緒にいてくれ」

拓真は土下座をしていた。

「……」

「さっきのは頼み。そして俺を守れ、自分自身を守れ……これは命令だ。……ちなみにお前が俺を守って死んだら俺も自殺するからあしからず」

ルシフは最初、何が起こったのか理解しかねていたが、ゆっくりと目の前の光景を咀嚼して、

「……主さま、顔を上げよ」

「え……あ……」


拓真の額に、キスをした。


そして、その恥ずかしさを振り切るように明るい声で、

「一生尽くしてやるから、覚悟しておれよ、主さま」

そんなルシフに、拓真は、

「ルシフ……恥ずかしいならやるなよ……俺は嬉しかったけど」

「う、うるさいわ!」





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