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主人(マスター)と悪魔(メイド)の主従関係  作者: 睡蓮酒
第二章 ~吸血鬼とか、ドッペルゲンガーとか~
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第31話 理事長×ボク=天宮 報

あのドッペルゲンガーとの戦いの翌日。

エクスピールは学校を休んだ。

拓真が九尾にドッペルゲンガーを捕まえられなかったという旨を伝えると、九尾はあらんかぎりの数の言葉で罵倒したが拓真が、じゃあ本物は捕まえられたのか?と聞くと身体を霧散させられる相手を夜に捕まえられるわけねーだろと逆ギレされた。

そして放課後、拓真たちは理事長室の前にいた。

「……はあ……」

拓真はドアノブに手をかけてはこのように溜め息をつき、手を離し、またゆっくりとドアノブに手を伸ばし、また溜め息をつくというのを三十分くらい繰り返している。

「のう……主さまはそこまでこの学校の長が嫌いなのか?」

ルシフがひそひそと椿に話しかける。

「ん……まあ私も正直あの人は苦手、というかあの人には弱いかな。特に彼はあの人とはいろいろあったんだよ」

「ほう……」


「……ヘタレめ」


さりえる は ことばのぼうりょく を つかった !


かいしん の いちげき!


たくま に 9999 の ダメージ!


へんじ が ない ただの しかばね のようだ

「ぐっ……分かったって、開けるから」

ついに拓真がドアノブを回し、ゆっくりとドアを開けると―――――










ドロリとした赤い液体の中に倒れている人がいた―――――


「!?」

「あやつらに先手を打たれたかのう……」

突然の出来事にルシフとサリエルはそれぞれ動揺の色を示していたが、

拓真と椿は倒れている人を黙って少し見てから、

「……」

拓真だけが動きだし、飾ってあった抱えるくらいに大きな壺を持ち、倒れている人のところまでそれを運んでから、

「あ、ヤベー。急に部屋の模様替えをしたくなったんだけど、壺が重すぎてここで落としちゃいそうだー」

棒読みでそんなことを言って、本当に壺を落とした。

「主さま!?」

ルシフが拓真の奇行に声をあげたが、

壺は重力に従って落ちていき、倒れている人の頭に―――


落ちなかった。


倒れていた人は壺が当たる直前に急に動きだし、ゴロゴロゴロと横に転がってかわしていた。

その人は立ち上がって、

「ふっふっふ、私が死んでないと見破るとは流石だね、でも倒れている人の頭に壺を落とすのはちょいと鬼畜すぎるんじゃないかい?たっくん!」

腕を組んでそう言った。

「うるせえ全身ケチャップだらけにしてなに言ってんだ」

ルシフたちが血だと思っていたものは実はケチャップだった。

「いやー、理事長って割りと暇だからとりあえず死体ごっこでもして入ってきた人驚かそうかなと思ってたんだけどなかなか人が来なくてねー朝からずっとこうしてたんだよー。あ、美味し」

理事長は顔についたケチャップを舐めた。

「仕事しろ馬鹿、理事長の皮を被ったニートめ、本物の理事長を返せ」

「ボクが本物の理事長なんですぅー、何?皮を被った?それは君の×××だけじゃないのぉ?」

理事長は拓真を馬鹿にしたようにニヤニヤと笑いながら放送禁止用語をサラッと口走った。

「黙れ、その歳で未だに破れてないアホ女が」

理事長が、というか空気が固まる。


「……殺す」

「……シバく」


拓真と理事長が同時にキレた。

「君ねぇ!小さい頃母親も同然だった私に対してその態度は何!?反抗期長すぎるんじゃない!?」

「うるせーよ!てめえの間違った教育方針のせいで俺がどれだけ苦労したと思ってんだ!?んなこと言うならもう少し母親らしいことしてみやがれ!」





取っ組みあいの喧嘩。

ドッタンバッタン。


「のう……主さまがここまで低能な言い争いで喧嘩をするとは初めてではないか?」

「いや、彼らは会う度にいつもこんな感じだよ。けっして仲が悪いわけではないのだが……」

椿が溜め息をつく。

「……あの人は拓真の母親なの?」

「いや、母親ではないよ。彼の母親は仕事で出ているんだそうだ。両親共に家を開けやすかったために、理事長が代わって彼を育てていたんだよ」

「……ふぅん」

セミロングの茶髪、アホ毛、中性的な顔立ち、小柄な女の体格。胸無し。

年齢、性別不詳の理事長は拓真とどこまでも無意味な殴りあいをしている。

しばらくして、

「よっしゃー!ボクの勝ち!」

理事長は拓真の股間を蹴り飛ばし、沈んだ拓真を踏み台にしてガッツポーズを決めていた。

「……」

拓真は虫の息。

「ちょっと理事長!拓真のそこをそんなにされては困ります!使い物にならなくなったらどうするんですか!?」

椿が本気で焦った顔をする。

「……少なくとも、お前が困る必要はねえよ……」

拓真が小さな声で椿にツッコんだ。

「あっはっは!大丈夫大丈夫。つばきっちのその二つの大きな特大スイカを見せつけてやればどんな童貞の不能野郎でも海綿体に血ぃ集まるって!」

とことん下品な理事長である。

「はあ……理事長。そろそろここに来た目的を言ってもいいですか?」


「んー?識ってるからいいよ」


理事長はケチャップをタオルで拭き取り、着ていたスーツを脱ぎ捨て、新しいスーツを取り出して着ながらそんなことを言った。

「……流石ですね」

「ふふっ、ドッペルゲンガーについてだよね?任せてよ、ボクにかかれば答えられないことなんてボクの年齢と性別だけなのさ」

理事長は理事長席に座って、


「さあ、まず何から識りたい?京光高等学校理事長。座右の銘は"億千の情報は刀よりも強く、銃弾よりも疾い武器となる"。このボク、天宮あまみや しらせがなんでも教えてあげるよ」


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