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主人(マスター)と悪魔(メイド)の主従関係  作者: 睡蓮酒
第一章 ~狐とか、天狗とか~
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第21話 それは……多分"居場所"だったんだろうな

「殺してやる殺してやる殺してやる!ぐちゃぐちゃのぐちゃぐちゃのぐちゃぐちゃにぃぃぃ!」

「うるさいのう、もう少し静かにできんのか?」

ルシフが煩わしそうにため息をつく。

「うるっせぇんだよぉ!」

九尾が尾を振り回し、ルシフに叩き付ける。衝撃はあったが、当たったのはルシフではなく"矛盾で固められた否定の壁"だった。

「おぬし、誰に向かってそんな口をきいておる?」

「あぁ?」

「妖怪ごときが、最上位の悪魔であるこの儂になんという口のきき方をしておると言っておるのじゃ……!」

「……!?」

かつてないルシフの凄まじい気迫に九尾が一歩退いた。

「……くっ、黙れぇ!」

九本全ての尾が、ルシフの前、横、後ろ、上、下まで、あらゆる九の方向から襲う。

だがどこから攻めてこようと、穴のない完全防御である"矛盾で固められた否定の壁"には関係ない。ルシフは相も変わらず立っている。

「軽いぞ?最強の妖怪」

「ぐ……ぅ……灰になって死にやがれぇぇ!」九尾が鬼火をルシフに投げつけた。

着弾はしたが、九尾はそんなことでもう攻撃を休めない。

何度も何度も何度も、鬼火をルシフに投げ続けた。

「私が!お前なんかに!負けるかよぉ!あの神社は私のものだぁ!!」

大量の炎のせいで、ルシフの声だけが聞こえる。

「……阿呆が、おぬしのものではなかろう」

「だから力ずくで手に入れるんだろうがぁ!」

「……ならばあの神社は儂が貰おう」

「……何?」

九尾の攻撃が止まった。

「何も不思議なことはあるまい?おぬしが力ずくで神社を手に入れるならば、儂が力ずくでおぬしから神社を奪うことに文句は言えんぞ」

「……はっ、やってみろよぉ。よく考えたら、防御ばっかりでてめえは今までほとんど攻撃をしてなかったじゃねえか。それはてめえが一番弱えってことじゃねえのかぁ?」

九尾が鬼火をだす。

「……ふん」

ルシフも掌から火を出して、それを九尾の横を通りすぎるように投げた。

「……?何処に向かって――」

九尾が振り向いた時、それは起こった。

爆発というより発光。

周りの竹は燃える前に灰となり、辺りは焦土と化した。

灰にならなかった竹は生じた爆風になぎ倒され、大地が大きくえぐれた。

「そん、な――」

九尾は愕然となる。

「もう少し加減すべきじゃったかの……儂が今までよう戦わんかったのは加減してもこんなことになるからじゃ。儂が残念なことに、儂が一等強いよ。」

「く……そぉ……!」

「さて、まだやるかの?」

「やるにきまってんだろがぁ!!」

「……おぬし、何故そこまであの神社に執着する?儂が感じたかぎりでは、この土地とおぬしは――」

「うるせぇ!私に"居場所"なんかねぇんだよ!強い力を持ちすぎた私にはこうするしかねえんだよぉ!」

九尾が鬼火をまた投げつける。

「……そんなもの言い訳であろうが!"居場所"とは無理矢理に作るものではない!きっかけを作れば、己の気づかないうちに出来ている、それが"居場所"であろうが!」

今度は"矛盾で固められた否定の壁"を使うまでもなく、ルシフは手で弾き、声を荒げる。

「そのきっかけすら!化け物すぎて、強すぎる私には作ることができねえんだよ!恐れられ、怖れられ、畏れられている化け物に"居場所"なんかできねえんだよ!!」

「それが言い訳じゃと言っておるのじゃ小娘!!」

「!?」

「おぬしの申すことが真実ならば!ならば何故!おぬしより化け物すぎて、強すぎる儂に"居場所"ができておる!?おぬしより恐れられ、怖れられ、畏れられた儂に!ここまで愉快で、心地よい"居場所"ができる!?

よく聞くがよい!おぬしに"居場所"ができなかったのは化け物すぎるせいでも、強すぎるせいでもない!おぬしが勝手にそう決めつけ、諦めて逃げたからじゃ!恐れられ、怖れられ、畏れられることを嫌悪し、何もしてこなかったからじゃ!

現におぬしが儂らに近づいてきたとき、儂らのなかにおぬしの"居場所"ができておったではないか!もしおぬしがそう思っていないのなら!それはおぬしが自ずから"居場所"からさえも逃げているということ!おぬしは自分を理由に、全てから目を背けているだけであろうが!?」

「!?……う、あああああぁぁぁ!!」

「まだわからぬのなら教えてやる!儂がおぬしよりもどれだけかけ離れた化け物で、強すぎるのかを!そんな儂に、"居場所"があるということを!」

ルシフが手を上にあげた。

「"暗黒ゼロ"」

突如、空が夜になった。

いや、夜ではない。今はまだ太陽が出ているはずの時間なのだから。

そして暗すぎる。光が届かないだけではここまで暗くならない。暗黒、漆黒とも形容しがたい。

黒よりも黒い闇。

そしてその空が降ってきて、全てを飲み込んでゆく。

それは九尾も例外ではない。

「な、なにこれ!?こんな……いや!やめ、うあぁあぁぁぁぁ!?」

勝負ともいえない九尾と悪魔の対峙は、圧倒的な悪魔の勝利で終結した。



ちょっとサブタイに無理がありましたかね……(^_^;)

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