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主人(マスター)と悪魔(メイド)の主従関係  作者: 睡蓮酒
序章 ~始まり、始まり~
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第1話 それは……多分主さまの望みだったんじゃろうな

「つまりじゃな、儂はその『契約の書』に繋がれておった悪魔での、誰かがそれを使って儂を喚べば、儂はこっちの世に顕現するようになっておったというわけじゃ」

とりあえず拓真は、あの書斎から出て、銀髪の女性からさっきのことを説明してもらっていた。

ちなみに、銀髪の女性からは尻尾が生えていたので、拓真は少なくとも人間ではないことは認めた。

「なるほど、つまり俺は悪魔と契約しちまったってわけか……えーと、名前は?」

「ふむ、よくぞ聞いた!」

銀髪の女性は突然立ち上がり、偉そうに、大きな胸を張って、

「儂の名は、スノウシルバー・ルシファリオン・カオスフィールドじゃ!世界最古にして、最悪最狂と謳われた最上級の悪魔じゃぞ!」

「あー…"スノウシルバー・ルシファリオン・カオスフィールドじゃ!世界最古にして、最悪最狂と謳われた最上級の悪魔じゃぞ!"さんよ、俺は一体あんたのことを何て呼べばいいんだ?」

「阿呆、そんな長い名前の者がおるか!儂の名はスノウシルバー・ルシファリオン・カオスフィールドじゃ!……呼び方なんぞ、好きにせよ」

「ふむ、じゃあ、お前のことはルシフって呼ぶことにするわ」

「まあ、それでよいじゃろう、楽な呼び方じゃしの」

「んで、ルシフ、俺は一体どうすればいいんだ?」

「どうすれば、とはどういう意味じゃ?」

「いや、だから、悪魔と契約しちまったってことは、やっぱそれなりの代償があると思ってるんだが……」

拓真は、それなりに心配したように聞いたが、ルシフはまたか、というような笑い方をして、

「ああ、ご期待に沿えないで申し訳ないが、別に何も取らんよ、ただ儂は、この世界で楽しめればそれでよいのじゃ。むしろ、儂は主人であるぬしのためになんでもしなければならん立場におる、なんなりと言うがいいぞ、主さま?」

そう言って、ルシフは拓真の出したお茶を啜った。

「よし、わかった、脱げ」

「は?」

ルシフは、茶飲みを手にしたまま、言われた意味を理解しかねるように固まってしまった。

「聞こえなかったか?脱げ、と言ったんだが」「すまぬ、主さまよ、意味が分からぬのじゃが……」

「いや、だから、楽しませろって言うから……そういう未成年者お断りみたいなことをすればいいのかと……」

「あ、阿呆!そういう意味で言ったのではないわ!」

「な!?違うのか!?悪魔を召喚して、楽しませろっていったら絶対そういう行為に及ぶと思っていたのに!」

「儂を淫魔のような低級悪魔と一緒にするでないわ!」

ルシフは顔を真っ赤にして、拓真に怒鳴った、そして、呆れたように嘆息して、

「はあ……儂は何千年にわたって幾度も喚ばれたが、儂をここまで動揺させたのは主さまが初めてじゃ……まあ、だからこそ、今回は今までとは違うような楽しみを味わうことができるのかもしれんが……ほれ、主さまよ、望みを言うがいいぞ、なんなりと叶えてやろう」

「そうか、じゃあ、脱――」

「そっち方面はなしじゃ」

「……じゃあ悪魔に頼むことなんてなにもないな、帰っていいぞ」

拓真はさて、次は淫魔とか喚べる本を探しに行こう、とか言いながら席を立って、歩き出してしまった。

「待て待て待てぃ!主さまの頭はどうなっておるのじゃ!?阿呆なのか!?最悪最狂の悪魔に頼むことがそれしかないとは、どんだけ飢えとるんじゃ!?」

拓真は仕方がないなとでも言いたげに、再び席についた。

「ああもうわかったよ、真面目に考えりゃいいんだろ?」

「うむ、初めからそうしておけばよいのじゃ」熟考。

「……世界征服とか、できるか?」

「できるよ、三日とかからずにの」

「永遠の命、とかは?」

「さすがにそれは無理じゃのう、もし主さまが死ななくなれば、儂は永遠に主さまのものになり、次の主さまに出会うことがなくなってしまうからの」

「つまり、できるにはできるんだな?」

「まあ……できんことはないの」

できるだけ表には出さなかったが、ルシフは内心、喜んでいた。

(くく、主さまもやっと儂と契約したことによってなんでもできるようになったという自覚が出たようじゃの……さあ、此度の主さまよ、一体何を望む?金か、名誉か、はたまた命か、それとも、世界か?)

「よし……決めた」

「申してみよ、主さまは何を望む?」

ルシフは期待に胸を膨らませ、拓真はしばらく溜めて、

「じゃあ……俺のメイドになれ!」

「メ……イド?」

「うん、メイド」

「な、なんじゃとおおおお!?」


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