第13話 それは……多分悪魔の嫉妬だったんだろうな
この章が終わったら日常の物語を書こうと思うのですが、
……どんな話を書いたらいいのやら……?
というわけでよろしければ
誰との(もちろん複数可)、どこに行く(何をする)話を読みたい!
というのを書いてくれると嬉しいです。
やっぱりこういう読者様の感想が聞けるサイトで書かせていただいているんですから、読者様の希望も聞いていきたいですしね。
……別に考えるのが面倒くさいわけじゃないですよ!?
結局サリエルを背負って歩いた拓真とルシフが家に到着した。
「やっと着いた……ほら、もういいだろサリエル」
拓真は一息ついて、サリエルを降ろす。
「……」
サリエルは少し残念そうな顔をした。
「主さまや、これからどうするのじゃ?本当にあの狐の味方をするのならそれなりの準備をして天狗を倒さねばならぬぞ?」
「うーん……別にお前らがいれば俺が何もしなくてもあの天狗をやってくれそうな気もするんだが……まあ準備はしとくさ」
「……しておいたほうがいい、あれを人が受けたら多分吹き飛ぶというより身体の一部がもっていかれる。別にあなたのことを心配してるわけじゃないけど……」
サリエルが言っているのは先程サリエルが天狗山から食らったピンポイントな突風のことだろう。
あのとき拓真や椿、それに稲荷が受けた突風は広範囲に向けたものだったので、せいぜい動きが止められる程度だったが、それをものともしなかったサリエルが耐えきれず吹き飛んだあの突風を人が食らえばもしかしたら身体の一部がもっていかれたりするかもしれない。
「わかった、心配してくれてありがとうな、サリエル」
そう言って拓真はサリエルの頭を撫でた。
「心配してるわけじゃないと言った……」
サリエルは口では文句(?)を言っていたが、抵抗はしないで、拓真の手を受け入れていた。
「……主さまや」
「なんだ、ルシ……なんでございましょうかスノウシルバー・ルシファリオン・カオスフィールド様?」
拓真が突然敬語になり、主従関係を逆転させたのは、ルシフが洒落にならないほどの殺意の表情で睨んでいたからだ。
「……サリエルばかり……」
「ん?」
「いや、その……少しは、儂に構ってくれても……やっぱりなんでもない、すまぬな……変なことを申して……」
ルシフがもじもじとしながら小さな声で途切れ途切れに呟いていたが、最後には呟やきは消えてしまった。
「ルシフ……可愛いなおまえはぁぁぁぁぁ!」拓真はルシフに大きく手を広げて抱きついた。撫でたり、頬擦りしてみたり、いろいろ。
「ひゃぁぁぁ!?な、何を!?」
「その反応もいい!いつも落ち着いてるのにこういうときパニックに陥るそのギャップ!最近はいろんなやつらに振り回されっぱなしでこういうことをできなかったからなあ!やっぱこの関係でいかねーとだろ!尻尾握るぞこのやろう!」
まあ、もちろんこんなことをして黙っていない者がいるわけで……
拓真の首に鎌が掛けられた。
「……選ばせてあげる」
「……いい選択肢をよろしくお願いします」
拓真のこめかみに一筋の汗。
「そのままの状態でそいつと一緒に死ぬか、そいつから離れて一人で死ぬか」
「俺は100%死ぬんだな」
「……救済措置を用意してやらんこともない」
「お願いします」
「……私を一度本気でシバいてもらう」
「ああ、お前がツンデレでドMでもあるっていう設定忘れてたわ」
「……今までにない最高の快楽を得られる気がする」
「却下。俺はどちらかというとSだがお前を本気でシバくのはあまりにも良心が痛む」
「……そう」
サリエルが目に見えてがっかりしていた。
「……ていうか」
拓真がルシフとサリエルを押し倒す。
「な……」
「……」
「俺は二人とも好きだ。別にどっちが上とかは、今はない。もし俺を自分のものにしたいなら、頑張って俺を惚れさせてみろ。もう俺は二人に惚れてるから無駄だけどな」
「主さま……」
「……」
その時、玄関のドアが開いた。
「やはり君がいない授業など暇で意味がないからな!私もバックれて来てやった……ぞ……」
元気よくインターホンも押さずに拓真家に入ってきた私服の椿(一度家に帰ったようだ)が目の前に広がる光景をみて、言葉を止めた。そして、
「私も混ぜろーっ!!」
思いっきり飛び込んできた。
「何すんだこのやろう!」
「何を水くさいことを!これから三人で行為に及ぼうとしてたんだろう!?そこに私が混ざっても問題はあるまい!」
「ありまくりだエロ女!まず及ばねえよ!」
「儂は構わんぞ、主さま?」
「……私も別に構わない。むしろやろう」
「お前らも黙れ!ルシフ!お前は基準がおかしい!何でメイド服はあんだけ恥ずかしがって行為は平気なんだ!?そしてサリエルは寡黙に見えて実は自己主張激しすぎ!」
「うるさいぞ、観念したらどうだ!?」
「そうじゃぞ主さま」
「……(コクリ)」
三人が拓真を抑えにかかる。
「ぎゃーっ!!助けてくれぇぇぇ!!」
三人の攻防は、ちゃんと授業を終えてからきた稲荷が拓真の家からの悲鳴を聞いて入ってくるまで続いた。