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主人(マスター)と悪魔(メイド)の主従関係  作者: 睡蓮酒
第一章 ~狐とか、天狗とか~
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第12話 それは……多分天狗との邂逅だった……と思う

「なんだぁ?そいつらは。お前の仲間かぁ?」

「……」

稲荷は答えない。

「おい、お前が天狗か?」

「そうだ、俺は天狗。この学校では天狗山 高鷲と名乗っている者だ」

「ご丁寧に名前まで教えてくれてありがとうよ。それで、お前が稲荷さんを狙ってるっていうやつだな?」

「そうだが、きさまらこそ何者だぁ?まさかそこの狐の味方をする者とでも言うつもりではなかろうな?」

「そのまさかになるかもしれねぇな」

「だったら俺の敵だなぁ」

「そうか」

敵味方それぞれが構える。

仕掛けたのは天狗山。

天狗山はうちわのような葉っぱ――芭蕉扇――を構え、横薙ぎに振るう。

突風が巻き起こり、拓真、椿、稲荷は飛ばされないように踏ん張るので精一杯になり、動けなくなった。

「うお……」

「くっ……」

「きゃ……」

それでも、ルシフとサリエルは何事もないように立っている。

「ルシフ!サリエル!やれ!」

拓真が指示を叫ぶ。

「了解じゃ!」

「……わかった」

ルシフは火球を撃ち込み、サリエルは天狗山に向かって突っ込む。

「ふん、やはり人ではなかったか!」

天狗山は火球をかわし、サリエルに向かって再び芭蕉扇を振るう。

先程のように広範囲ではなく、サリエルに向かって風を引き絞って発生させたため、サリエルの小さな体は簡単に吹き飛んだ。

「……!」

しかし、サリエルは飛ばされながらも体をひねって、巨大な鎌を天狗山に向かって投擲する。

サリエルの力で鎌を投げれば、風なんてものともせず人には視えないほどの速さで飛んでいく。

例え相手が人外だったとしても人に視えないスピードというのは種類にもよるがやっと視えるようなスピードである。

「何!?」

天狗山は鎌になんとか反応し、かわそうとしたが流石に避けきれず、肩にかすってしまい、血が肩から流れる。

「くそっ、きさまら!狐の味方をするとはどういうことか分かっているのだろうな!?」

天狗山は肩を押さえながら叫ぶ。

「さぁな、でも今はこれが一番いい選択だと思ってる」

「ふん!愚か者どもがあ!!」

そう言って天狗山は風を自分を中心に風を巻き起こし、いつのまにか消えていった。

「なんとか……追い返したようだな」

椿が安心したように言う。

「ああ、そうだな……ルシフ、サリエル、大丈夫か?」

「大丈夫じゃよ、儂はな」

「サリエルは?」

「……少し、捻った」

後ろに飛ばされながらも全力で鎌を投擲したため、バランスを崩し、まともに着地が出来なかったようだ。

表情はあい変わらず無感情だったが、やはりそれなりに痛いものなのだろう。

「仕方ねえな、ほら」

拓真はそう言ってサリエルをおんぶする。

「……………………ありがとう」

サリエルは拓真の耳元に顔を近づけて、蚊の鳴くような声でお礼を言った。

「どういたしまして」

サリエルの表情が、ほんの少しだけ弛んだが、すぐに元に戻した。

「さて、俺はもうサリエルのために帰ろうと思うんだが……椿と稲荷さんはどうする?どうやら稲荷さんが天狗に襲われてるってのは本当のようだが……」

「そうだな、おそらくあの傷なら今日また学校の時間帯に来ることはないだろうし、私は教室に戻るよ」

「私も……今日は教室で授業を受けようと思います」

「ふむ、しかし何時またあの天狗が襲ってくるか分からない、だから学校が終わったら拓真の家に集まるということでどうかな?」

「俺は別に構わんが……稲荷さんは俺の家を知らないだろ」

「ふむ、少し待ってくれ……」

椿はペンと紙を取り出して、何かを書き始めた。

それは拓真の家の住所だった。

「どうかな、この住所でわかるかな?」

「あ、はい、この辺なら分かると思います」

「うん、それじゃあ放課後拓真の家に集合だ」

「決まったな、それじゃあ俺は帰るわ、ルシフ、帰るぞ」

「うむ」

「それじゃ、また後で」

「はい、それではまた……」

そう言って五人は一度解散した。


しばらくして、

「それで主さまよ、いつまでそやつを背負っておるつもりじゃ?」

「は?」

「は?ではないぞ、死神が捻った程度でいつまでも歩けないわけがないじゃろ、もう治っておるはずだよ」

「……黙ってろ、馬鹿悪魔」

「……なんじゃと?」

ルシフとサリエルが火花を散らす。

「はあ……」


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