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主人(マスター)と悪魔(メイド)の主従関係  作者: 睡蓮酒
序章 ~始まり、始まり~
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第0話 それは……多分プロローグだったんだろうな

連載スタートです。楽しんでもらえたら幸いです。自分の趣味全開でいくつもりです。ご了承ください。

とある一般家庭の一室、書斎。出入りする扉は一つしかないのだが、その扉を開けた時、視界に広がるのは本、本、本…

六畳間の部屋には、いくつもの本棚が、極力無駄のないようしてに並び、それらはいずれも、本で満たされている。

いや、満たされているどころか、収まりきらず、本棚の上に積まれていたり、本棚に収納された本とその上の柵との隙間に、横にして入れられていたりしている。

それらの本といえば、出版された年代、ジャンル、大きさ、厚さ、はたまた書かれている言語まで、全く統一性のない揃え方をしていて、シリーズ別に並んではいるものの、巻の順番はバラバラだった。

そんなところで、なにやら探し物をしているらしい少年、天村拓真は、

「んー……なんか面白い本、ねーかなぁ」

そう呟きながら、ひとつひとつ本棚から抜き出して、表紙を確認しては、戻す、ということを拓真は繰り返していた。

「そこらに売ってるような最近の本は、興味あったやつはほとんど読んじまったし、ここなら古い本もあるだろうと思って久しぶりに入ったんだが……」

あまり拓真が興味を持つような内容の本はなかった。基本的にジャンルは問わない拓真でも、昔の感性で書かれている本には、さすがに食指が進まないようだ。

「はあ……やっぱ、ちょっと待ってりゃ、新しい本も出るだろうし、諦めるか……」

そう言って、最後にと思い本を取り出すと、その本の糸の栞が、どこかに引っ掛かっていたのか、周りの本もそれにつれて引っ張られ、はたまた、運悪くそれに連動し、そこの本棚に入っていた本全てがドサドサと落ちてきてしまった。

「……来なきゃよかった」

大きなため息を吐いた後、そのままにするわけにもいかず、拓真は片付け始める。

もちろん元の場所なんか覚えているわけもないので、とりあえず乱雑に散らかった本たちを手についたところから本棚に差し込んでいく。

「ん?なんだこれ?」

そのなかに、風変わりなものが一冊。

まず、見た目が古い。表紙を見た限りでは、外国のものであろうが、10年や20年前のものでも、ここまでにはならない。

いや、そのような本ならこの書斎には何冊かある。だが……

「契約の書……?」

表紙は英語で書かれていたが、直訳ではそう書かれていた。

「珍しい題名だな」

そう言って、ページを捲っていく。

非常に分厚い本で、軽く2000ページは越えているようだったが、ずっと白紙が続いていて、拓真は不審に思っていた。しかし、ある一つのページに、やっとなにか書かれていた。――666ページ――

「契約するなら復唱せよ、か……」

そこには、おそらく契約に関するルールが書かれているのだろうと拓真は推測したが、訳せたのは最後の方に書かれていたところだけで、

「……へぇ、面白そうだな、やるか」

その下に書かれているのは、短い一文。

「Kill my days and follow me」

はっきりとした発音で、契約の詞を口にしていく。

すると、本が急に強い光を発した。

あまりにも強い光のため、拓真は目を背けつつ、

「おいおい、マジかよ……」

拓真はまるで物語のような出来事が本当に起こったことに、うれしさと困惑が交ざった笑顔を浮かべていた。

そして、しばらくして、

「……収まったか?」

光を感じなくなったので、視線を元に戻すと、誰かか立っていた。

「な……まさか本当に……?」

立っていたのは、女性。長い銀髪は腰まで伸びていて、整った顔立ちをしている、白い肌の、綺麗な女性だった。

「誰だよ?……あんた」

拓真は問いかけたが、銀髪の女性は聞いていないようで、髪を揺らしながら、辺りを見渡して、

「ここは……?」

銀髪の女性は訝しげに顔を歪めた、そして、女性の下に落ちていた先ほどの本と、ようやく見た拓真のほうをしばらく交互に見て、

「ああ、そうか……儂はまた……」

銀髪の女性は口元を嬉しげに歪めて、

「――喚ばれたのか――」


それが、

――少し周りとは違う、普通ではない少年――天村拓真と、

――最悪最狂と謳われた悪魔――スノウシルバー・ルシファリオン・カオスフィールドを中心に紡がれる、物語の始まりだった―――

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