『音無トンネル』①
「そういえば、言語ってどうなってるんですか?」
ある日、俺は六花さんに尋ねた。
「僕もよくわかっていないんだけれど、〈愚者〉がなんとかしているらしい」
六花さんはいつものように寝っ転がりながらこう答えた。
「〈愚者〉……って言葉の響き的にアルカナですよね。なんかこう……認識や認知に関わる魔術を得意としてるんですか?」
「それが誰も知らないらしいんだよね。少なくとも僕は知らない。でも違う世界の出の僕達がこうやってお話が出来るっていう時点でただ者ではないよね」
「それぞれ自分の母語で話してるだけですもんね」
「〈死神〉や〈運命の輪〉、〈星〉辺りは『迂闊に関わるな』って言ってるけど。噂によるとびっくり箱で戦うらしい」
「びっくり箱??」
「あくまで噂は噂だから……」
*
「……」
俺は、碧いベッドの上で、大の字になって寝っ転がっていた。
別に六花さん教に入信したわけではない。
そしてこの部屋は、自分の部屋ではない。
〈生命の樹〉から借りたお部屋なのだった。
『エッシャーの階段』の一件の直後。
俺は〈月〉の二人に引きずられるがまま〈生命の樹〉に戻り、「じゃあ今日はここで解散で……」と相成ったわけなのだが、一つ重要な事に気付いてしまった。
そういえば、帰り方がわからない。
わかったところで、もう一度ここに戻ってはこれない。
……二つだった。
とにかく、どうしたもんかと三人でうんうん頭を悩ましていると、六花さんが突然声を上げた。
「確か新人向けにお部屋を貸し出しているはず」と。
受付のお姉さんに話をしてみると、突然「好きな色は?」と訊かれ。
「? 青……?」と答えたところ。
今いるこの部屋の鍵を渡されたという次第であった。
壁紙から床材まで青で統一されているが、ほとんど白色のフロスティブルーから、目の覚めるようなセルリアンブルー、ほとんど黒色のミッドナイトブルーまで、様々な『青』で構成された部屋は、青なのにカラフルだ。
「お代は……?」と案内してくれたお姉さんに尋ねると、彼女は鷹揚に、「無料です」と答えた。
「新人さんは皆お部屋の代金をすぐに払えるわけではありませんから」
お姉さんはそう言って、ウインクを残して去って行った。
恋が始まりそうなウインクだった。危なかった。
そんなわけで、俺は〈生命の樹〉に所属するかはまだ決めかねている(ので正確にはまだ『新人』ではない)のだけれど、ここに寝泊まりして六花さん達の元で助手をやることにした。
首だけを回してベッドサイドテーブルに目を遣ると、そこには紙束と何冊かの本が載っかっている。
これは六花さんが渡してくれた、俺の世界には無い言葉と、それを解説してくれる資料だった。
すまほ。ぱそこん。ねっと。えすえぬえす。
その他概念からして意味不明な言葉の数々。
単語の意味を聞く度に知らない単語が増えていく状態なのでなんとも不出来な生徒だったと思うのだけれど、六花さんと裕也さんは真面目に、真剣に一つ一つ教えてくれた。
……六花さんは基本ベッドでごろごろしながらだったけど。でもまあ教えるのはちゃんとしていた。
言葉と知識意義にも、俺には考えないといけないことが沢山あった。
〈生命の樹〉。アルカナ。怪異。無数の世界。
何より、俺の一番の目標である、「もっと強くなりたい」を達成するための方法が全く見えてこないのだ。
〈月〉の二人は稽古を付けてくれたりはしなさそうーー申し訳なさそうに断られたーーので、改めて師匠か、少なくとも技を盗めそうな人を別に見つけないといけない。
知識を惜しみなく提供してくれたうえに、「いい師匠を見つけられるよう協力するよ」と快く引き受けてくれた二人には本当に感謝しかない。
この恩はいつか出世払いで返さねばならないだろう。
さて、回想と振り返りが終わったところで。
「……六花さん達のところに行くか」
自分に気合いを入れるためにそう呟いてから、ベッドから起き上がった。
そのまま部屋の扉に向かい、部屋の青い鍵よりも小さな銅色の鍵を取り出した。
その握り柄には開いた本のマーク。
裕也さんがくれた、二階の書庫直通の鍵だった。
「これがあるのになんであの日は七面倒くさい行き方してたんですか?」と尋ねたら、
「たまに使わないと道が詰まるから……」
「排水溝なの??」
いやむしろ排水溝は使うと詰まるのでは、とあの日の自分にツッコミを入れつつ。
高級感のあるダークブラウンに変化した扉のノブを掴んで、捻った。
*
とん、と降り立ったのは、書庫に幾つか設置されている扉の一つだった。
こういった扉のうちごく少数が別の部屋に繋がっている普通の扉であり、一部が一階のどこかに繋がっているーー俺が最初に使ったようなーー扉であり、大半がどこにも繋がっていないダミー兼鍵の転移用の扉であるらしい。
本棚と本棚の切れ間に設置された扉は、正直言ってぱっと見では見つけられないほど壁の色に同化している。
使っていくうちに慣れんのかな、ととりあえず六花さんの居城である白いベッドの方へと向かう。
鍵転移の場合転移先はランダムらしく、今回は比較的ベッドに近い。
ーー故に、「その人物」の声も割とはっきり聞こえてきた。
「な~、どーしても駄目? 一人は流石に心許ないんだって~」
「別件があるってさっきから言ってるじゃないか……」
殆どナンパみたいな台詞回しではあるのだけれど、その口調は快活かつ明朗であり、なんだか憎めないというか、つい「しょうがないなあ」と言いたくなるような人懐っこい雰囲気を醸し出していた。
しかしまあ、それはあくまで声の雰囲気であって、この会話を聞いてしまった俺としては「んだこいつ」という気分でいっぱいだったわけなのだけれど。
「……六花さん、質の悪いナンパですか?」
「概ねそう」
「違うってェ~」
と、ベッドの足元でしょもんと座り込んでいるのは。
濃紺の髪と瞳を持つ、長身の青年だった。
大柄、というほどごつくはなく、むしろ無駄なく鍛え上げられた、シャープな印象を受ける体格。
黒字に白の大胆な手書き文字が踊るTシャツに、あっちこっちに穴の空いたジーンズ。
そして、声の印象に違わぬ、内心の感情を全力で表している表情。
今はしょぼくれた仔犬のようにしゅんとしているので、背が高いのにあんまり大人っぽくない。
よく言えば無邪気、悪く言えば子供っぽい。
そんな青年の大きな目と、ばっちり目が合った。
「あーーーー!!!」
耳が壊れるかと思った。
青年はバネ仕掛けのおもちゃのようにびょいんと立ち上がると、ぎょっとして固まっている俺の手を両手でがしっと握った。
「噂の!! 新人!!」
「う、噂?」
「本物!! 目ぇきれ~」
「本……偽物がいるんですか?」
「そういうことではないと思うよ」
「なーなー、初エンカウントが〈力〉のおっさんで次が〈月〉夫婦ってマ?」
「ま……?」
「最近は見知らぬ環境に飛び込んだら、きゃわいいおにゃのこかかっくいー王子様とエンカするのが通例だというのになんとも不憫な……大丈夫、いつかきっと君だけの正ヒロインが見つかるから……」
「えん……正……何……?」
「何か今サラっと僕もディスらなかったか?」
「あ、俺〈戦車〉の瑠璃河翼。翼って呼んで。よろしゅう」
「はあ……はあ!?」
俺は二重に吃驚してぶおんぶおん振られている手をがっと止めた。
「アルカナ!? 名前!?」
「そーいや名前いわないのか。そんな縛りあったなー」
「君らが気にしなさすぎるんだよ」
呆れ顔でやってきた六花さんは、Tシャツにジーンズとラフだけど寝間着よりはまっとうな服装をしていた。後頭部に三日月の髪飾りをぱちんと止めて、軽く髪を払う。
「カイ、改めて、この全方位射撃的かつ集中砲火的にフレンドリーなのが翼。さっき自分で言ってたとおりアルカナは〈戦車〉。他にも〈氷弾の射手〉だとか〈跳弾上等〉だとか単に〈狙撃手〉だとか言われてる」
「なんですか、その二つ名みたいなのは」
「そのまま二つ名だよ。名前を呼べないから、アルカナみたいな有名人は面白半分実益半分で二つ名で呼ばれるんだ。翼より多いのもいる。多いから強い、偉いってことはないけど」
「六花さんにもあるんですか?」
「あるけど……僕は一般人だからさ、二つ名で呼ばれるのはどうも皮肉っぽく感じるんだよね」
「ああ……そういえば前に言ってましたね」
~回想~
「そういえば六花さん達が得意とする魔術って何ですか?」
ある日、俺は六花さんに尋ねた。
「なんもないよ。僕は所謂ところの『魔術師』ではないから」
六花さんはいつものように寝っ転がりながらこう答えた。
アルカナにもいるのでややこしいことこの上ないが、〈生命の樹〉で言うところの「魔術師」というのは、魔王使い、魔女、呪術師、陰陽師、異能者、ドルイドその他の非科学的な能力を行使する者を指す(裕也さんの受け売り)。
「え、ってことはその、不思議ぱうわーと自衛手段を何にも持ってないってことですか?」
ぎょっとして、否定してほしくてそう言ったけれど、六花さんはあっさり頷いた。
「自衛手段はまああるけど、やばげなお化けちゃんの前では焼け石に水だろうね。魔力だとか霊力だとか、そういう不思議ぱうわーは何も持ち合わせていないよ」
「ゆ、裕也さんは……」
縋るように目を向けると、裕也さんは手入れしていた自分の剣を鞘に収め、苦笑した。
「俺も何も。だから俺達がアルカナに任ぜられた時は揉めたなあ」
彼の剣は日本刀なる種類の武器であるらしく、名を〈幻日〉という。
凄まじい銘刀、らしいのだけれど、幸か不幸かその切れ味の如何はまだ知らない。
「ま、〈悪魔〉との一件があったから、僕等に直接文句を言う人はいなかったけどね」
「〈悪魔〉との一件?」
俺が鸚鵡返しすると、六花さんは「そのうち教えるよ」と笑ってごろんと目を逸らした。
六花さんが「そのうち」とか「後で」と言うときは大体ちゃんと後で教えてくれるのだけれど、そのときは何故だかあんまり教える気がないのではないか、と感じた。
「だから君の師匠になることは出来ないんだ。悪いね」
「……了解しました……」
~回想終わり~
「ーーんで、二つ名って何ですか?」
「そのうえで訊くのかね。まあいいけど……。僕のは〈思慮深き新月〉ってやつ。……自分で言うのめっちゃ恥ずかしいんだよこれ」
「裕也さんは?」
「〈光断つ満月〉。裕也も嫌がってるから本人の前で呼ぶのはやめたげてね」
「えー、俺はまだ中二病残ってるからそーゆーのかっこいーと思うけどなあ」
「ちゅう……?」
「リアクションが新鮮~。てかどこ住み? L×NEやってる?」
「六花さん助けてください」
「翼はほっておくと際限なく喋るから、話は九割ほど聞き流して残った部分を適当につなぎ合わせるといいよ」
「酷くない??」
このまま話させておくと本当に際限がないと思った俺は、「で、何しに来たんですか?」と声を上げた。
「そーだった。んとね、俺は普段は〈死神〉とか〈運命の輪〉とかのバックアップ、あるいはとにかく火力が必要なときぐらいしかお呼びがかからないんだけどさ、何の縁か怪異の調査任されちって、ヘルプを求めて来たんだけども」
「僕はこれから用事があるんだよ。別の怪異調査。裕也はその鍵取りに行ってるところで、僕も準備していこー、って時に泣きつかれた、ってわけ。経過観察みたいなものとはいえいつまでかかるかわかんないし断ったんだけど……」
そこをなんとか~、とまたへにょへにょになった翼をちらっとだけ見て、「経過観察、って何の怪異なんですか?」と六花さんに尋ねる。
「ーー『人身御空』」
怪異名を聞いて、翼が「あー、あれか」と顔を顰める。
「端的に言えば人死にが出る怪異で、そして人死にさえ出れば何とかなる怪異でもある」
「まーあれはしょうがないとこもあるけど、けどさぁ、でもさぁ……」
「わかってるよ。その『しょうがない』を何とかする為に僕等は頑張ってるんだからね。最近挙動がおかしいらしいし、何とか突破口を見つけるほかない」
「バグった? なら一回セーブして電源落とすといいよ」
「据え置き型ゲーム機じゃないんだから。それに最近はオートセーブですぜ」
「そーだなー。そのせいでデスルーラがやりにくいことやりにくいこと……」
「それで! 翼は! どうするんですか!」
もうこれは無理矢理にでもぶった切るしかない、と大声を上げると、
「あー、うん。日を改めてもいいと思ったんだけど、でもこの怪異結構危険らしいからなー。怪我人死人が出る前に調査したいんだけどなー。あー、どこかにそこそこ怪異の知識があって、それなりに腕が立つ手空きの人っていないかなー」
そうわざとらしく声を上げて、こちらをちらっちらっと見る。
六花さんが「何してんだコイツ」的な冷たい視線を注いでいるが、お構いなしだ。
……なんだってこう、アルカナはこんな人ばっかりなのか。
「……わかりました。六花さんの助手未満ぐらいの知識しかないですけど。それでもいいならお供しますよ」
「まじ!? やったー!!」
根負けして渋々そう言えば、翼はころっと態度を変えて、満面の笑みでまた手を握ってぶんぶんシェイクした。
……めっちゃ力強い。腕が取れる。
何か俺、こうやって流されてばっかだな……と遠い目をしてじっと耐えていると、翼は、
「んじゃもー行くね! 早速行こうすぐ行こう!」
そのまま俺を引っ張って書庫を飛び出、
「ーーあ、ちょっと待った」
す前にびたっと急停止した。
思いっきり物理的に振り回されかけた俺は、「ぐえっ」と声を上げて何とか踏みとどまる。
「……君のそういうところを直した方がいいと僕は切に切に切に思うよ……」
「あのさ! 六花さんに見てほしいやつあるんだった!」
六花さんの苦言を潔くガン無視して、翼はポケットをがさごそ漁ってあるものを取り出した。
手のひらにころんと落とされたそれを見て、六花さんは渋い顔をした。
「……おう……よくこんなの今の今まで忘れてたね……。翼がどっかからもらったの?」
「いや、ロ……〈太陽〉が。買い物行ったら荷物に入ってたって」
「……そか……相変わらず引きが悪いな……」
溜息交じりに呟いた六花さんの手の中を覗き込むと。
そこには、小さな金属のキューブがあった。
正確には、一辺五センチくらいのガラスキューブに、一回り小さな金色のキューブが収まっている。
金属キューブの方には、細かな線が幾つも走っており、なんだか迷路のように見えた。
ーーいや。「迷路のように」ではなく迷路であるらしい。
今天井を向いている面には、中央に「GOAL」と刻まれた小さなくぼみがあり、ころんとひっくり返すと「START」と刻まれたくぼみのなかに豆粒のような球体が入っているのが見えた。
一言で言えば、おもちゃである。
「……何ですか、これ」
俺の問いに、六花さんは心底厭そうに答えた。
「ーー『手のひらの上の地獄』」
「……とは?」
「見たとおりキューブ型のパズルなんだけどね、解いたら死ぬ」
「端的な説明をありがとうございます……っていうか、そんなにころころ転がして大丈夫なんですか?」
「とりあえずは大丈夫。どう頑張っても解けないから」
「どう頑張っても?」
よーく見て、と差し出されたキューブを恐る恐る受け取る。
STARTのある面を上面とすると、そこから四つの側面を転がし、底面のGOALまで運ばないといけないようなのだが。
「ーーあ、確かに。どう頑張っても解けない」
上面から側面、側面から別の側面、そしてそこから底面に至る道が、全て壁によって阻まれている。
つまり各迷路がそれぞれの面で完結してしまっているのだ。
しかしじゃあ一安心かといえばそうでもない。
他の面に続く道を遮る壁はよく見れば切れ目が入っており、引っ込むのか開くのかは定かではないものの、とにかくどかせそうな作りをしている。
……さすがに、球体をぶつけたら開くのかを試す度胸はなかった。
「ま、開かないんだけどね。少なくとも僕は開くところを見たことがない」
「試したんですね……」
微妙に戦慄しながら六花さんにキューブを返す。六花さんは手遊びみたいな感じでキューブをころころしようとしてーー流石にやめた。
「どう頑張っても解けないならひとまず安心ですねーーって言いたいんですけど、そうじゃないんですよねきっと」
「流石にわかるか。
ーーあのね。これ、ぶっ壊したらどうなると思う?」
「……」
ガラスは薄く、その辺の硬い物に叩きつければ簡単に割れそうだ。金属キューブも、武器で切ったり、魔術で溶かしたり切断したりすることは容易だろう。
「……成程、簡単に壊せそうですね。僕が愚かでした」
「そこまでは言ってないけど……。まあ、そうだね。これ壊せるらしいんだよ。割と簡単に。だからこそ危険なんだ。解析した魔術師達が揃って『絶対に壊すな』、『解こうとするな』っていうレベルの呪物なのこれ。しかも保管しておこうにも勝手にどっか行ってどこへともなく現れる放蕩者……放蕩物だし」
六花さんは頭が痛そうに長い溜息を吐いて、キューブを適当なテーブルの適当な引き出しにーー適当だなーー置いてぱたんと引き出しを閉じた。鍵すらかかっていない。
「はい解決。行って良いよ」
「雑!」
「俺なんもわっかんねーからずっと黙ってたわ。とにかくありがと! じゃーね!」
「君のそういうところを……もういいや」
そんな厄ネタをほっといていいんですか……とツッコミを入れる前に、今度は首根っこを掴まれた。引きずられてガタガタ揺れる俺の視界の中で、小さくなっていく六花さんが肩をすくめて、こちらに手をふりふりしているのが見えた。
*
「それで、調査依頼が来た怪異ってなんなんですか?」
「ーー『音無トンネル』」
*
『手のひらの上の地獄』
出現頻度:高
危険度:激高
「開けた奴がどうなったかって? 全員死んだからわからないんだろうよ」
ーー匿名
一辺五センチのキューブの形をしたパズル。
ガラスのキューブの中に金属のキューブが入っており、金属のキューブには迷路が刻まれている。球体をスタートからゴールまで導けば解ける仕組みをしている。
しかし、迷路は一部が仕切りで隔てられており、解くことが出来ない。
その仕切りは開閉可能であるらしく、何らかの条件を満たせば開くと考えられているが、その条件がなんなのか、全ての仕切りの条件が同じなのかはわかっていない。
物質・物品の怪異にしては珍しく破壊耐性は無い。魔術を用いずとも破壊が可能であると結論づけられている。
〈運命の輪〉を筆頭とした解析の魔術・能力を持つ魔術師が解析を試みたものの、中に何が入っているのかはわかっていない。
ただし、全員が「絶対に開けてはいけない」と答えている。
〈運命の輪〉は、「中に入っているものがまずいっていうわけでは多分ない。ただ、開けたら……何かが大口を開けて解いた奴とその周囲を丸呑みにするだろうな」と語った。
何かとは、と尋ねられた彼は、一言こう続けた。
「地獄」
都市伝説のリンフォンみたいなものかな 新月
←俺それ知らないです カイ
←これと同じで解いたらヤバいパズル。どっちが先かまでは知らないけど 新月
←つーかこれ作ったの誰よ 戦車
←作った奴はいねーんじゃねーかな 運命
←そんなことあります? カイ
←割とある 新月
←あの、これ私拾ってしまって…… 太陽
←もう回収した 新月
←ありがとうございます……後日お礼をいたします 太陽
←お礼忘れてた 戦車
←お前本当にお前…… 運命
←新月女史にあんまり迷惑かけるな。とりあえず後で校舎裏 死神
←ソンナー 戦車
リンクの貼り方が永遠にわからへん音頭……。
暑さとゲームにかまけて全然進まなかった。
前回長々書きすぎたのでもう少し短くして、何話かに分けて書くことにしようか思案中。
今回は三話くらいになる予定。