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18:蝶々

「手紙が届いた?」



 リーリエとジェレミーは場所を移して、ベンチに座ってリーリエになにがあったのか話しをした。


 手紙が届いたことを話すと、ジェレミーは訝しげな表情で聞き返す。


 

「そうなの。手紙に差出人はなしで怪しいとは思ったんだけれど、書かれている内容も変なの」

「差出人なしか……。それは怪しいね。変って手紙に何が?」

「気を付けて。手紙に書かれていたのはそれだけよ」

「それだけだと、手紙の差出人がリーリエに何を伝えたかったのか分からないな……。リーリエに実際に何かが起こったなら別だけど」

「…………」



 リーリエは図書館での出来事を思い出して沈黙する。


 

 ジェレミーに図書館での出来事を伝えてもいいんだろうか?

 先生たちが調査しているのに、関係のないジェレミーを巻き込むのは……。もし、私を狙った誰かが図書館の照明を割ったとして、また別の事件を起こすかもしれない。それで、ジェレミーが巻き込まれたりしたら。私は自分を許せない。



 俯いて黙るリーリエに、ジェレミーはリーリエが何かを隠していると悟る。



「リーリエ。僕に何があったのか教えて」

「でも……、ジェレミーを巻き込みたくないの」



 優しくリーリエを諭すように言うジェレミーにリーリエは、絞り出すように言う。

 

 

「巻き込んでもいい。僕は困っているリーリエを助けたいんだ。それに、僕は強い。学年主席でこの学園の生徒なら僕に勝てる人はいない。だから、教えて?」


 

 リーリエの目を真っ直ぐと見て、優しい笑顔を浮かべるジェレミーにリーリエはぽつりぽつりと話す。



「図書館の照明が割れたの」

「もしかして、その図書館は……」



 ジェレミーは驚いた顔をした。


 ジェレミーはリーリエがいつも図書館で勉強をしていることを知っている。

 

 

「えぇ。照明が割れていた図書館はいつも私が使っている学術部の図書館。そして、割れていた照明はいつも私が使っている席の上にある照明。先生たちが話しているのを聞いたのだけれど、照明には魔道具が取り付けられていて、それが原因で照明のガラスが割れたみたい」

「魔道具を取り付けた犯人は?」

「それは今調査中だと思う。先生たちの話に驚いて飛び出してきたから分からないけど……」

「そうか……。魔道具を取り付けた犯人探しは先生たちに任せておいて、僕たちは手紙の差出人を探そう」



 手紙の差出人を探す?

 気を付けてしか書かれていないのに。


 

「どうやって探すの?差出人は書かれていないのに」

「手紙は持ってる?」

「持ってるけど……」



 何かあった時のために、リーリエは手紙をスカートのポケットの中に入れていた。


 ポケットに入れていたせいでしわくちゃになった手紙をジェレミーに渡す。



 手紙を受け取ったジェレミーは、手紙に書かれている文字を指でなぞる。



「魔法にはたくさんの使い方があると言ったのを覚えてる?」

「??覚えているわ」



 どうしていきなり魔法の話を?

 もしかして、手紙に何か魔法でも仕掛けられているのかしら?


 怖くなったリーリエは顔を強張らせる。



「魔法には誰が書いたのか調べる魔法があるんだ。こうやって魔法を使うと―――」



 文字をなぞっていた指をクイッと上げると、文字は発光して浮かび上がると、ポンッと弾けた。



「蝶々……?」



 青白く光る蝶々に目を白黒させて驚くリーリエを、ジェレミーは満足げに見つめる。



 きれい……。これが魔法なの?

 

 

 リーリエはゆらゆらと飛ぶ蝶々に目を奪われていると、蝶々はどこかへと飛んでいく。



「追いかけよう。誰が書いたのか教えてくれる」

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