龍から見た人は、あまりに脆弱で儚い。
数万年前、龍の子として生まれた。
父の顔は知らず、黄龍の賢い母に育てられた。
数年で成長し、親元を離れた最強種の白龍は、世界中を旅して回った。
しかしまだ世界は文明を持たず、何も無い世界に飽きた白龍は、眠りにつくことにした。
数千年が経ち、人類種が誕生した。
白龍が初めて人を認識したのは、寝ている間に寝床である洞窟前に幼子や果物を置かれていた時だった。
定期的に美味い食料を持ってくる変な生物に興味を抱き、その生物を身近に観察することにした。
その生物は群れで行動し、音を使って会話をしている事を知った。
この頃に人類種が使う《言語》や《魔法》を習得。そして《人化》等、人の世界に馴染む為の技術を磨いていった。
ある日、突如として新大陸が生まれたのをきっかけに人族の最強パーティである《神獅子の剣》に勧誘を受ける。
伴に新大陸の調査をすることにした。
新大陸の魔物は人にとって非常に強く戦闘は困難を極めた。白龍の助けを借りてなんとか魔力の大元を探し出すことに成功した。
そこには一つのダンジョンがあり、そこで神の使徒を名乗るモノとの戦闘になる。
敗北し終わったかと思われたその時、神本人が姿を現す。
「この大陸に国を作ってね」
そういって〘神獅子の剣〙の白魔法使いに〘聖域〙という力を授けた。
〘聖域〙の力を活用して創立した国は成長し、嘗ての仲間は土へ還り、子から孫へと白龍の存在が伝えられて、次第に白龍は伝説の存在になっていった。
旅の終わりを認識した白龍は、この大陸に住処を作ることにした。
余計な者が来ないよう大地を浮かせ、その上に国に勝るとも劣らない城を建造する。
そこで、もう一度眠りについた。
まだ見ぬ出会いを夢見て。