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運命なんて知らない  作者: なかた
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行きたくないなぁ

「霜、何時に櫻田川さんの家だっけ?」

今日は、母さんに会いに行く日だ。

あの後、櫻田川さんとやり取りして母さんと会うことになった。

でも、その代わりに番候補として、櫻田川さんのお父さんとお母さんと親族の人に挨拶をするのが条件だと言われた。

霜はすごく嫌そうで、櫻田川さんに抗議してたけど、そうでもしないと家に入れないと言われ、嫌だけどしょうがないとと言って説得されていた。

「一時くらいだって」

母さんに会う日程が決まってから、その日が近づくにつれ、嫌そうな顔が分かりやすく増えた。カレンダーやスマホやニュースとかの日にちを見るたびにため息をついていた。

「霜、前と同じスーツでいいかな?」

「うん。前のやつと違うネクタイにすれば分かんないよ」

「霜、何色にする?」

「紺か青」

「じゃあ、僕は緑にする」

「俺と色違いの?」

「そう!こないだ買ったやつ」

「じゃあ、青にしよ。お揃いの方」

お見合いパーティーの前にネクタイを買いに行った。前に買ったネクタイは、クローゼットのどこかにあるはずなのに見つからなくて、新しいネクタイを買ったら出てきた。

何でだろう。

どうせなら買う前に出てきて欲しいのに。でも、霜とお揃いのネクタイを買えたからいいや。

「緊張するね」

「緊張より、嫌さが勝ってる」

「まあ、番になるわけじゃないから」

「櫻田川の家に行くは嫌だけど、雪を一人で行かせるのはもっと嫌だから」

「心配しすぎじゃない?」

「これくらい心配しないと雪には足りないでしょ」

「えー?心配しすぎだと思うけど」

「今ぐらいでちょうどいいよ」

「そっか。ねぇ、Ωが運命感じなくてもαは感じる場合ってあるのかな?」

「分かんない。逆は聞いたことあるけど」

「逆って?」

「強いαのオーラに当てらたΩが運命だって勘違いして、αをストーカーしたっていうニュースとか」

「でも、僕は櫻田川さんに何も感じてないし、言われたらαだねって感じなんだけど」

「櫻田川は昔から続く名家ってわけじゃない比較的、新しい一家だからじゃない?」

「新しいとそうなの?」

「ずっとα同士で結婚してたらαにはなるけど運命の番とか相性の良いΩと結婚しないと、優秀なαは生まれないって授業でやったじゃん」

「そうだっけ?でも、αってだけで優秀じゃん」

「それでも更に優秀なαが欲しくなるんだよ」

「お金持ちも大変だね」

「それに付き合わされるΩの身にもなって欲しい」

「まあ、全員がってわけじゃないから」

「でも、櫻田川はそうだろ」

「確かに、そうかも」

話してるうちに時間が近づいていた。

「霜、そろそろ着替えないと間に合わない」

「行きたくないー」

「なら、一人で行くけど」

「それはダメ!」

「じゃあ、早く準備して」

櫻田川さんがこないだのコンビニに迎えにきてくれることになっている。

家に迎えに行くと言われたが、家は教えたくなくて、こないだのコンビニで待ち合せだ。

「雪、今日髪の毛どうする?」

「霜、やってくれる?」

「センターパートでいい?」

「それをさの右寄りってできる?韓国風七三みたいな」

「おっけー、じゃあ俺は左寄りにしよっかな」

「分かりにくいかな?」

「まあ、ネクタイの色で判別できるでしょ」

「顔も瓜二つってわけじゃないしね」

「そうそう。相当目が悪くなきゃ分かる」

髪がセット出来たら時間もいい頃合いになっていた。

「じゃあ、行こっか」

「うん」

霜の顔が渋くなっている。

「ちゃんと愛想良くしてね?」

「うん。頑張る」

そう言ってるけど顔は渋いままだ。

「帰ったら夕飯、オムレツにしよっか」

オムレツは霜の好物だ。

僕が霜から初めてリクエストをもらって作った料理だった。最初は失敗して焦げたり形が悪かったりしたけど、霜が美味しいそうに食べてくれた。今ではうまく作れるようになった。

「え?本当?」

「うん」

「やった」

「だから、ちゃんと挨拶してね」

「うん」

オムレツだけで喜んでくれるなんて、これだから、いつも作る料理が霜の好きなものばかりになっちゃうんだよ。

でも、霜が喜んでくれるならいっか。

少しでも、面白いと思っていただけたら、いいねやブックマークよろしくお願いします。

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