表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命なんて知らない  作者: なかた
7/51

内緒です

お見合いパーティーの翌日。

「霜、いつまで拗ねてんの?」

昨日からずっと拗ねてて、酔いが覚めたら終わると思ったけど、そんなことはなかった。

「拗ねてないし」

「じゃあ、どうしたの?」

「昨日、変なこと言ったから、それで」

「あぁ、僕のせいなんだっけ?」

「それ、恥ずいから言わないで」

「霜、昨日のは覚えてんだ。いつもは覚えてないのに」

「まって、俺、いつも、あんなこと雪に言ってんの?」

「さあ?」

あんなふうになるのは珍しいけど、いつもはそこまで変なことは言わない。

「え、ねぇ、どっち?」

「教えなーい!」

いつも僕を揶揄うんだ。

だから、たまにはからかわれてもしょうがないよね。

「雪ー、頼むよー」

「そういえば、どうする?櫻田川さんからのお誘い」

「え、行かなくてもよくない?」

「だよねー。でも、運命感じたらしいよ?」

「俺らは感じてないし、胡散臭い」

「確かに。運命なんて本当か分からないのに」

「そういうこと言う奴って、結局、運命的な恋したから、別れたいとか言うんだろ」

「ドラマだとそうだよね」

「しかも、次期社長だし。選び放題」

考えれば、考えるほど怪しく思えてくる。

霜は行きたくないみたいだし、一旦1人で考えよう。

「霜、コンビニ行ってくるけど、なんか要る?」

「んー、アイス」

「分かった」

コンビニで久しぶりに煙草でも吸おうかな。霜にはバレたくないから、大学の実験室のロッカーにでも入れとこう。

朝だから人が少ないな。

コンビニに着くまでゆっくり歩く。

アイスが欲しいって言ってたけど、帰りに近くのスーパーに寄ろう。


「あっ!鮎川くん?」

昨日覚えたばかり声に驚く。

「え?櫻田川さん?」

「うん。おはよう。鮎川くんもコンビニ?」

「おはようございます。櫻田川さんもコンビニなんて来るんですね。意外です」

「寒いから、出社前に肉まんでも食べたいなって思って」

意外だ。コンビニに行くのも、買うのが肉まんってことにも。

「鮎川くんは?」

「煙草ですかね」

別に櫻田川さんには隠す必要もないし言ってしまおう。

「君こそ意外だね。弟君は知ってるの?」

「隠してはいますけど、バレてるかもしれないです」

「なんか、弟くんといる時とちょっと雰囲気違うね」

「そんなことないと思いますけど」

「そっか。煙草いつから吸ってるの?」

「20になってすぐ吸いました。年齢確認はいまだにされますけど」

「それは、まあ、そうだよね」

「でも、霜がお酒買う時はされなくて」

「弟君は雰囲気が大人っぽいからね」

「僕も大人っぽくなりたいなぁ。煙草が似合うくらい」

「あと、10年はかかりそう」

「櫻田川さんは吸わないんですか?」

「大人の嗜みだって言われて吸ったきり、二度と吸いたくないって思った」

「一回目はそんなもんですよ」

僕も一回目はこれのどこがいいんだって思った。

けど、考えことがあるたびにに吸っていたら、普通に吸えるようになった。

「そろそろ行かないと、あんまり遅いと霜が心配するんで」

「煙草も吸いたいしね」

「それは言わなくてもいいんじゃないですか?」

パーティーの時とは違って、意地悪なことを言う。

「つい、揶揄いたくなるんだよ。じゃあ、また今度会おうね」

「会いませんよ。霜も気が進まないそうだし。あ、煙草のこと霜には言わないでくださいね」

「うん。分かった。でも、君達のお母さんがいるって言ったら?」

「は?何言ってるんですか?」

「何でもないよ」

母さんが櫻田川さんの家に?

でも、嘘だ。だって、孤児院の先生でさえ見たことないんだから。最近知り合ったばかりなのに知ってるはずがない。きっと、僕たちを釣るための嘘だ。

一旦、落ち着いて、コンビニで煙草を買おう。

煙草を吸ってから、よく考えたほうがいい。


 霜にバレないように、煙草は家から少し離れた公園で吸っている。

いつものベンチに座って煙草に火をつけて一つ、一つ整理する。

まず、母さんがいるとしても、今まで迎えに来なかったんだから、会いたいとは思ってないはず。

でも、何で母さんが櫻田川家にいるのかが分からない。

霜に相談するべきかな。


煙草を吸っているのに、いつものように整理出来ない。


母さんか。会いたいな。

顔も知りたいし、聞きたいことがある。


何で、僕たちを置いていったのか。


それを聞いてどうこうしようってわけでもないけど。



少しでも、面白いと思っていただけたら、いいねやブックマークよろしくお願いします。

評価や感想もお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ