ずっと、好き
αじゃないから一緒に居れない。
これじゃあ、好きって言ってるのと同じだなぁ。
本当、馬鹿みたいだ。
側にいるだけで良かったはずなのに。
それだけじゃ、ダメだなんて気づかなければ霜と一緒に居たのかな。
今も自分勝手な奴だけど、これで三佳巳さんの番になれば霜を振り回さなくてすむ。
これで、いい。
「俺が側にいて欲しいって言う理由、分かる?」
そんなの分からないし、これ以上話したくない。
絶対に違うけど、それっぽい当たり触りのない答えを探す。
「...僕が兄弟だから?」
「...違うよ」
霜はもう、何も話す気はないと言うかのように窓の方に顔を背けてしまった。
泣きそうな表情をしているのだろうか。
どんな顔で雨が降りそうな曇り空を見てるのか。
「霜」
聞く気はないそうで、体が動くことすらない。
霜がどんなに無視しようとも、三佳巳さんと番になることは伝えなきゃ。
僕が霜と一緒にいる気は無いと。
「...なに」
不機嫌そうな声でやっぱり顔は背けたままだ。
「僕、三佳巳さんと番になる」
あぁ、言ってしまった。
もう後戻り出来ない......するつもりも無いけど。
なんだか、涙が出てきそうで上を向きたいけど霜の顔を見るのが怖くて床しか目に映らない。
早く、何か言って。
そう思えば思うほど、時間が長く感じた。
心臓がうるさくて、胸も苦しくて、喉の奥が熱い。本当、おかしくなりそう。
なんでなにも言ってくれないの。
早く、早く____。
お願いだから、何か言ってよ。
長過ぎる沈黙に涙が溢れそうになるのを我慢して、ようやく顔上げれた。
ゆっくり、視線を上げる。
「......え?」
霜と目が合った瞬間、霜は今までに見た事がない顔をしていた。
驚いた顔と困惑した顔が混ざったみたいな。
そして、泣いていた。
「霜、ごめん!なんで、泣いて」
「泣いてなんかないし...」
「ごめん!ごめん!」
なんで泣いてるの。
どうして、こんな僕と一緒にいたいの。
そんなことしか、頭に浮かばなくてごめんしか出てこない。
「泣かないで、霜」
どうしたらいいのか分からなくて、ただ霜の涙を拭うことしか出来ない。
「雪だって泣いてるくせに」
「ちがっ...だって」
「嘘つき...側にいてって言ったじゃん」
「そんなの...知らないよ。僕たちは兄弟だしいずれは離れるでしょ?」
「生まれた時から一緒にいただけじゃん。血も繋がってないのに..」
「僕がお兄ちゃんなのが嫌なの?」
「嫌じゃないけど」
「嫌じゃないけど?」
「...」
「嫌なんじゃん!もう、僕だって出て行くから別にいいよ!」
「なんで、そんなに出て行きたがるの。ずっと死ぬまで一緒にいればいいじゃん」
死ぬまで一緒にいたいよ。
大好きだから。
でも、僕の好きと霜の好きは違うから。
僕の好きはダメな方だからこれ以上側にはいれない。
だから、全部僕のせい。
一緒にいれないのも、好きな人を幸せに出来ないのも。
「ごめんね、霜。僕が一緒にいれないんだ」
泣きながら、泣いている霜を抱きしめた。
ずっと、一緒にいたかった。
でも、この気持ちが変わらない限り一緒にはいれない。
きっと、変わらない。
昔からずっと変わってないのだから。




