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運命なんて知らない  作者: なかた
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会いたいよ

霜が貸してくれた本を読んだ。

主人公の親友は記憶を思い出すたびに辛い過去と向き合うことになる。

でも、その中でそれに気づけなかった主人公の気持ちが複雑でなんとなく、僕の気持ちと似てる気がして共感出来た。

親友が主人公に依存していき、離れないといけないと思うシーンなんて全く同じ気持ちだったし。

主人公と親友の気持ちが両方分かって読み応えがあった。

最後のシーンはなんとも言えない。

愛した人も、辛い過去も全て捨てて二人で自分達を知ってる人がいないところに行くという終わりかただ。

もし、霜と二人で何処かに行けるなら。

少しだけ考えた。

でも、無理だって思った。

性別は捨てられない。

Ωだというのは変わらない。

もし、僕がαだったとしてもそれが分かった時点で霜とは一緒にいなかっただろうし。

Ωじゃなきゃ、今まで一緒に居れなかった。

だから、本の二人みたいにはなれないんだ。

霜に全部話そう。

双子じゃないことも、運命の番のことも。

霜はのらりくらり交わすだろうけど、ちゃんと全部話す。

もう、僕のことは気にしなくていい。

霜に明日来れるのか聞こうとスマホを取り出した。

通知が来ていて、三佳巳さんからだった。

トークアプリを開くと


『そっか』


と来ていた。三佳巳さんに送ってみようかな。

本当に番になってくれないかって。


『三佳巳さん、こないだの話覚えてる?番にしてくれるっていうの』


冗談のつもりだったけど、三佳巳さんがいいなら番にして欲しい。

でも、忘れられない人がいるって言ってたからダメかな。

三佳巳さんがダメでも先生が紹介してくれるしいいか。


ピコンッ!


『いいけど、いきなりどうしたの?』


いいんだ。

それはそれであれだけど。


『突発性ヒート起こして今、病院にいる』


『大丈夫だった?』


『霜に迷惑かけすぎて、本格的に番が必要だと思って』


『霜くんには話した?』


『まだ』


『霜くんに話してからもう一度よく考えてみて』


『分かった』


霜に話したら反対されるだろうなぁ。

いきなりすぎるし、付き合ってもない相手だし。

やっぱり、退院した後じゃないと厳しいかな。

一旦、霜に連絡しよう。


『明日、来れる?こないだの話の続きしたい』


『うん』


いつも通り、返信が早くて安心する。


『荷物とかありがとう。本読んだよ』


『どうだった?』


『面白かった。ミステリーって苦手だと思ってたけど普通に読みやすかった』


『明日は別の本持ってく』


『楽しみにしてる』


明日か。

緊張するなぁ。

霜相手に緊張って初めてかも。

会いたいな。

いつも、朝起きたらいるからちょっと寂しいな。

弟離れの練習だと思おう。



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