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運命なんて知らない  作者: なかた
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そういうとこ

目が覚めると霜は居なくて代わりに先生がいた。

帰っちゃったのかな。

「雪さん。調子はどうですか?」

ぼーっとする。本当に疲れた。

「だるいです...後、熱いかも」

「後でまた安定剤をを打ちに来ます。その時に熱が下がらなかったら解熱剤も処方しますね」

「ありがとうございます」

「雪さん。今は体を休めることだけ考えてください。そうしたらいくらでもαを紹介します」

どういうこと?

確かに約束したけど、なんで今?

「...なんでその話?」

「疲れているでしょう。休んでください。フェロモンが落ち着いてから話します」

「はい...」

「後でまた来ます」

今日は本当によく寝れそうだ。

すごく疲れた。霜に会いたかったのになぁ。

瞼が重く、思考も止まって眠りに着いた。



「雪さん。安定剤の時間です」

「...」

無言で腕を捲り上げ差し出す。

ひんやりした綿で腕を綺麗にされる。

「じゃあ、打ちますね。少しチクっとしますよ」

寝ぼけてた頭が一気に冷め、ほんの少しの痛みに集中させられる。

「はい。打ち終わりました。熱測りましょう」

熱は微熱で解熱剤は必要ないそうだ。

「先生、いつまで入院?」

「今、ヒートを起こしたばかりなので、後3日ですね」

「そんなぁ」

「あと、霜くんが来て荷物を置いて行きましたよ。また明日来るって」

荷物がある場所を指差して先生が言う。

「来てたんだ...会いたかったな」

しょうがない。荷物の整理でもしながら、時間を潰そう。

「じゃあ、私はこれで」

「ありがとうございました」

先生が出ていった後、近くの棚の中にあるボストンバックを取り出してチャックを降ろす。

スマホが1番上に入っていたので電源を入れて、霜に連絡しようとトークアプリを開く。


『起きたよ、荷物ありがとう』


それだけ送信して、他のメッセージを見る。

三佳巳さんから一件きている。

開いてみると霜とどうなったか聞かれた。

そうだ、まだ霜に話せていない。

明日来るって言ってたし、明日話そう。

三佳巳さんにはまだ話せていないとだけ送信した。

他にも、歯ブラシやタオル、着替えが入っていた。

それともう一つ、霜のお気に入りの本が入っていた。

表紙に付箋が貼ってあって


『暇になったら読んで』


丁寧な字で書いてあった。

自分があげた本だけど未だに内容を知らない。

いい機会だし読んでみよう。

表紙を捲ると、見覚えのある栞が挟まっていた。

本をプレゼントした次の年の誕生日にプレゼントしたもので、ステンドグラスみたいな栞だ。

雪の結晶と雪の模様でピッタリだと思って選んだのだ。

栞が挟まっていたところにも付箋が付いていて


『使っていいよ』


と書いてあった。律儀だな。

少し笑いながら本のページを捲った。

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