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運命なんて知らない  作者: なかた
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心配だよ

病院に着くといつも担当してくれてる先生が血相を変えて雪の状態についての説明と隔離の指示を出した。

現に何人かの看護師や医者は苦しそうでΩの俺にも匂いが分かるほどのフェロモンならαは相当辛いはずだ。

特効性の抑制剤を打っている人もいる。

その場は慌ただしく、数人だけが残っていた。

あんなにいきなり発情期(ヒート)がくるなんて思いもしなかった。

最近は周期も安定してたのに。

辛いだろうな。いつもだって辛そうなのに意識を失うくらいだなんて。

どうしよう。雪に何かあったら。

不安になってもしょうがない。

俺にできることを探そう。

ネット検索で突発性ヒートについて調べる。


『突発性ヒートは不明な点が多いが相性の良いαに出会うことでフェロモンが誘発されることで起きることが多い。その他にストレス、発情期の遅れなどが考えられる。突発性ヒートは体にかかる負担が大きいため、後遺症が残る可能性がある』


下にある突発性ヒートの後遺症について記事をタップする。


『強いフェロモンが出るため、体に負荷がかかり発情期が終わらない事例や番以外のαにもフェロモンが出る事例が多い』


発情期が終わらないなんて雪にとっては地獄だ。

あんなに辛そうなのを毎日見たくない。

せめて番がいればよかったかもしれないけどそんなのはいない。

早く落ち着いて欲しい、後遺症が残らないようにと願うことしか出来なかった。

どのくらい時間が経ったのか分からない。

長いような短いようなそんな気がした。

病室から先生が出てきた。

Ωだと分かった時からお世話になっている先生だ。

「霜くん。雪くん安定してきたよ。安定剤と点滴してる」

「よかった。焦った」

「お疲れ様。3日くらいは入院かな。今は安定剤のおかげでフェロモンが落ち着いてるけど、薬が抜けたらどうなるか分からないから様子見てだね。霜くんは大丈夫?」

「俺は大丈夫です。あの、さっきネットで調べたら後遺症が残る可能性があるって書いてあったんですけど」

「雪くんが意識戻ってからじゃないと分からないけど可能性はある。運命に出会ったことで発情期(ヒート)になったのなら後遺症が残る可能性は少ないけど原因不明だと後遺症が残る可能性が高い」

「多分、運命には会ってないと思います」

どうしよう。

雪に何かあったら。

「じゃあ、ストレスかな。後遺症によっては治せる場合もあるからそんなに深刻に考えなくても大丈夫」

「...そうですか」

「出来る限りにサポートはする。そろそろ、霜くんは家に帰りなさい」

「でも、」

「心配なのは分かる。でもそれで霜くんまで体を壊したら駄目だろう。家に帰ってよく寝て、朝ごはんをきちんと食べてからまた明日来なさい」

「...はい」

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