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運命なんて知らない  作者: なかた
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狼煙-番外編

side:三佳巳


美月さんから話を聞いた後、雪くんからの電話では納得したような晴れやかな声だった。

でも、病室に戻ってきた雪くんは悩ましい表情で口数が少なく何かがあったのはすぐに分かった。

雪くんは分かりやすい。

分かりやすいけど、全部が分かるわけじゃないから余計に気になる。

話しを聞いてあげる素振りを見せると一瞬だけ目を見開いてを泣きそうに眉毛を下げる。

でも、話してはくれない。

そういうところが君に似てる。

今も昔も変わらず好きで好きでどうしようもない。

あんなに好きになれる人はいない。

女々しいとか自分でも思う。でも、好きだ。

気持ちは変わらないまま、3年経ち雪くん達に出会った。

最初はただ双子のΩなんて珍しいと思っただけだった。

雪くんに興味を持ったのは似合わない煙草を吸っていたのを知ってから。

僕の先に別の誰かを重ねている目が彼と一緒だった。

雪くんといると彼を思い出す。

思い出すだけで幸せな気持ちだった。

もう、彼は僕の元に来ることはないと分かっていたから甘い記憶を取り戻してくれる雪くんを彼の代わりにした。

雪くんもきっと僕を霜くんの代わりにしてる。お互い利害が一致してちょうどいい関係だと思う。

きっと雪くんは僕を霜くんの代わりにしてるなんて思ってないけど。相談相手か次期社長くらいに思ってるだろう。そのくらいがちょうどいい。

たまにフラッときて煙草をくれるくらいがいい。

雪くんは彼に似過ぎている。

一緒にいるとくだらない独占欲が出て駄目だ。

今日、煙草の火をくれた時も要らない感情が顔を出していて誤魔化すのに必死だった。

誤魔化せてたかは分からないけど。あれを平然とやるなんて思わせぶりだと言われても仕方がない。

その後の結婚の話なんて尚更だ。

愛してもない癖に1人になりたくないから結婚して欲しいなんて我儘だ。でも、その我儘が可愛く思える僕も重症で彼の我儘を全て受け入れてたことを思い出した。

なんでもしてあげたかったし、なんでもして欲しかった。今思えば愛なのかすら分からない。ただ、依存しているだったけど好きと思うのをやめられない。

彼の我儘が泣きそうな笑顔が甘い声が忘れられない。

彼がもう戻って来ないことも、雪くんはきっと代わりになれないことも分かってる。

分かっていても、求めてしまう。

君が吹かす煙草が彼がベランダで見送るときの煙がずっと僕を縛り付けている。

きっと僕はまた煙に引き寄せられてしまうのだろう。

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