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運命なんて知らない  作者: なかた
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甘やかしてよ

霜視点で始まりますが途中から雪視点です。


雪は結局教えてくれなかった。

雪を信じたかったけど、嘘をついてるのはわかってしまった。

親指をぎゅっと握る仕草は嘘をついてる印だ。嘘をついてる時の癖なんて気づかない方が良かった。

生まれてからずっと一緒なんだ。

分かるよ。見くびらないで欲しい。

俺がどれだけ雪を見てるのか分からないでしょ。

話してくれないって言うけどそんなのお互い様だ。雪に隠してることなんてたくさんある。

「先輩と知り合ったのはぴー太郎がいた喫煙所で話しかけられたから、ちょうど雪が部活の水曜日に会ってたんだ」

「そうなんだ。ごめん。霜にだって言いたくないことあるよね。ちょっと頭冷やしてくる」

「分かった」

きっとまた煙草を吸うんだろう。

今日は疲れたな。体がだるいから早く寝よう。




「おはよう。あれ、もしかして熱ある?」

「あるかも」

発情期(ヒート)じゃない?」

「うん。多分そう」

霜の発情期の周期はまだ先だった気がする。

しかも、霜にしては辛そうだ。いつもより顔が赤い。

「朝ご飯食べてから、抑制剤飲んでね」

「うん」

もしかして、先輩と会ったから発情期がきたのかな。

強いαだし、発情期が誘発されてもおかしくない。

「霜、大丈夫?」

「いつもよりキツイ。待って雪、毎回こんな思いしてたの」

「僕のことはいいから、早く寝るよ」

「うん。雪、学校行く?」

「行かないよ。単位は大丈夫だし、休もうと思ってる」

「そっか。じゃあ、一緒にいて」

霜がこんな風に甘えるのは珍しい。

「うん。霜の部屋行こっか」

霜が手を取って部屋に行く。

扉を開けた瞬間、αの濃い匂いがした。

まずい。今、霜は発情期でαの匂いなんて嗅いだらやばい。

「霜、ダメ!一旦リビング行って」

「いい匂い」

霜をリビングに連れて行き、マフラーをビニール袋に入れて自分のクローゼットに押し込んだ。

「霜、大丈夫?」

「雪、体熱い。苦しい」

「うん。辛いよね。早く寝よう」

霜の部屋に行き、布団を敷いて寝かせる。

「雪、手握って」

「うん。でも飲みもの取って来ないと」

「ダメ。離れないで。俺が行くから」

「何言ってんの。ほら、離して」

「何言ってんのはこっちのセリフ。ここにいて」

握る力が強い。痛い。

「しょうがないから、一緒に行こう。ほら」

「分かった」

ふらふらしてるのに着いてこようとして本当強情。

冷蔵庫に何本かスポーツドリンクが入ってるから2、3本取ってすぐ寝かせないと。

冷蔵庫を開けるとひんやりした冷気がきた。

背中に重みが来る。霜が背中にくっついている。

「重いよ。霜」

「雪、いい匂いする」

「うわぁっ!」

霜がうなじを舐めて甘噛みした。

「やめてよ。それはびっくりする」

「雪って可愛いよね。俺が甘えたら嬉しそうにするのとか普段より優しくなるんだよ」

「はいはい。早く部屋行くよ」

霜は発情期の時、たまに甘える。それを覚えてるのかは分からないけど。

霜に甘えられるのは嬉しい。

いつも頼ってくれない気がしてたから、甘えられると甘やかしたくなる。

「雪、寒くない?一緒に寝ようよ」

「うん」

霜はいつもなら絶対に言わない。

「熱、上がってるね。苦しい?」

「雪といるから、辛くはないよ」

「霜、してほしいことある?なんでもしてあげる」

「じゃあ、抱きしめたい」

「そんなのでいいの?」

「うん。あと、なんか話して」

「うーん。そういえばこないだ実験で硝酸銀使ったんだけど、手について黒くなってる。見てまだ取れてない」

「知ってる。人差し指でしょ?」

「そう。一カ月くらいで取れるって」

「クマみたいな形してるね」

「ちょっと可愛い。タトゥーみたい」

「本当だ」

「うーん。歌でも歌おうか?」

「ふふっ。いきなりだな。じゃあ、あれ歌ってよ。カラオケで最初に歌うやつ」

「任せて!」


「雪、ちょっと音外れてるの可愛い」

「自分じゃ分からないけど、外れてる?」

「雪は結構音痴だよ。可愛いからそのままでいて」

知らなかった。音痴だったんだ。

「雪だったらもし運命の番と本当に好きな人ならどっちを選ぶ?」

「絶対に本当に好きな人」

「運命の番がすごくいい人で本当に好きな人が最低でも?」

「うん。だって、好きな人がいるのに番になるなんて失礼でしょ?それに、好きな人の最後の人は僕がいいから。ちょっと重いかな」

「激重だ。雪に好きになってもらえる人は幸せだね」

「幸せなの?重いのに?」

「雪にそれだけ好きになってもらえるの羨ましいよ」

「だといいけど。でも、今は霜が一番大切だよ」

「そっか」




これからずっと雪の一番が俺ならいいのに。


少しでも、面白いと思っていただけたら、いいねやブックマークよろしくお願いします。

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