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運命なんて知らない  作者: なかた
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我儘なのかな

お待たせしました」

コンビニにはもうすでにに櫻田川さんが来て待っていた。

「時間より僕が早く着いただけだから」

「こんにちは。弟の霜です。こないだは兄がお世話になりました」

「こんにちは。霜くんって呼んでいいかな?お兄さんは雪くんでいい?」

「はい」

「一応、番候補ってことで俺のことは三佳巳(みかみ)って呼んで」

そっか。櫻田川さんの家では全員櫻田川さんだもんね。

「分かりました」

霜は嫌そうだけど、しょうがないよね。

「じゃあ、そろそろ行こうか。車に乗って」

『ありがとうございます。よろしくお願いします』

揃った。まあこれは孤児院での送迎の時に毎回言ってたからだけど、思わず顔を見合わせて笑ってしまう。

「いつも、そんなに揃うの?」

車にエンジンをかけながら三佳巳さんは聞いた。

「たまにですよ。1日に一回くらい?」

「大体、二人でしか喋らないから、揃っててもあんまり気づかないとう言うか」

「だよね。多分揃ってても気づいてないことが多いよね」

「ね」

「あ、君たちのお母さんに会えるのはほんの少しだけになるかも」

「時間はいいです。気にしなくて」

「ごめんね。本当は好きなだけ喋って欲しいんだけど」

「そう言えば何ですけど、母さんは僕たちが来ること知ってるんですか?」

「一応言ったけど、何のことか分からないってかわされちゃった」

「じゃあ、会っても俺たちのこと知らないフリする可能性大じゃないですか。それに信じてもらえないことだってあるじゃないですか」

「まあ、名前と孤児院で分かるかなって」

「適当ですね」

「自分でつけた名前は忘れてないでしょ」

「そうだといいですけどね」

「霜くんはあんまり会いたくないの?」

「雪の付き添いです。それに会っても話すことがないと思います」

「そっか」

話してたら、大きな家に着いた。

和風な感じで門がすごくデカい。庭も和風な感じなのか、松の木が門から顔を出してる。三佳巳さんがインターホンを押すと門が勝手に開いた。お金持ちってすごいな。

『お邪魔します』

ジグザグにならぶ平な石が玄関までの道に埋められ、大きな岩がある。

小さな滝からは水が池に流れていく。

鹿おどしなんかもあって水の音が響いている。すごい京都みたいな雰囲気だ。

三佳巳さんに着いていき、玄関に入る。

「おかえりなさいませ。三佳巳様」

執事みたいな使用人みたいな人達が綺麗に揃った礼をしている。

玄関には高そうなお皿があって、花が綺麗にいけてあった。

ドラマで観るような世界だった。

「父さん母さんに伝えておいて」

「かしこまりました」

世界感の違いが凄すぎて、色々と混乱するけど、とりあえず三佳巳さんに着いてく。

廊下を歩いて応接室に来た。

「紹介するのは一人一人なんだけど、どっちから先にやる?もう片方はその間お母さんに会うって感じにしようと思ってるんだけど」

「霜、どうする?」

「俺からやるよ。雪がなるべく母さんと喋れるようにするね」

「いいの?」

「うん。雪がご褒美くれるからそれくらいいくらでもするよ」

「ありがとう。じゃあ、先、お願いね」

僕は先にお母さんと会うってことか。

緊張するなぁ。

「じゃあ、霜くんが先ね。よろしく」

「俺のこと出来るだけ長く紹介してくれませんか?」

「うん。その代わり、霜くんのこと教えてよ。じゃないと難しいから」

「嫌です。雰囲気で頑張ってください」

「じゃあ、打ち合わせだけしておこうか」

「いらないです。櫻田川さんが頑張ってくれればいいんですよ」

「僕のことは三佳巳って呼ばないと」

「はいはい」

「じゃあ、雪くんは大塚さんがお母さんのとこまで連れてってくれるから」

「はい。ありがとうございます」

「大塚、雪くんのこと離れに連れてって」

「承知致しました」

「よろしくお願いします。大塚さん」

「こちらこそよろしくお願いします」




「じゃあ、打ち合わせしようか」

「大丈夫です。アドリブでいけます」

「そんなこと言わずに」

番になるわけじゃないんだから、気に入られるための打ち合わせなんて要らないじゃないか。

「じゃあ、打ち合わせしたら、雪くんが君に秘密にしてること教えてあげるよ」

雪が秘密にしてる事ってなんだよ。

俺には言わないのに、櫻田川は知ってるなんて、どういう事なんだよ。雪。

「そんなの言われたらするしかないじゃないですか」

「ありがとう。じゃあ、僕は君の真面目そうな所に惹かれたって事でいい?」

「はい。好きに決めてください」

「後、僕のどこに惹かれたのか言って欲しいんだけど」

「金、一択ですね」

「リアルだな。まあ、それが大半だと思うけど」

「じゃあ、どうしますか?」

「誠実とか」

「自分で言うんですか?ちょっと恥ずかしくないですか」

「いや、お金が理由って言われた親の身にもなってよ」

「じゃあ、しょうがなく、誠実さって言ってあげます」

「ねぇ、君たち僕の前だと愛想悪すぎない?」

「雪は良いじゃないですか」

「こないだコンビニであった時に、今の霜くんみたいに素っ気なかったし」

「雪が?」

「うん」

「嘘だ。雪はいつでも優しいよ」

「へー、そういえば秘密聞きたくない?」

「聞きます!」

「雪くんが君に隠れて煙草吸ってるってことこないだコンビニで煙草買おうとしてた」

櫻田川には言ったの?

俺は言ってくれるの待ってるのに。

「それは何となく分かってました。匂いとかで」

「そうなんだ。言わないでって言われたから知らないかと思った」

「言わなくても分かりますよ」

「双子だから?」

「はい。大体は」

「お互い、理解しあってるんだね」

分かっていても言って欲しいなんて我儘なんだろうか。




「こちらのお部屋にいらっしゃいます」

「ありがとうございます」

やっと、母さんに会える。


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