第九話 密林
テンプレ
ブラックホールっぽいものを通っていく。
「流石にサタンはあの数余裕だったでしょ?」
「ご主人さま!その言い方だと私が弱いみたいに見えます!」
「でも、実際弱体化されてるんでしょ」
「うぐっ……」
そう、リヴァイアサンは弱体化を受けているらしいのだ。神々から、昔、幼女の姿をし、人を殺してその肉を食っていたら、人を殺すほどの魔法を撃てなくなった…もしくは、連続で撃てなくなったらしい。
カニバリズムのリヴァイアサンと言ったら100%殺されるから言わないけれども。
「カニバリズムじゃありませんよ?ご主人さまぁ?」
なんか怒気をオーラのようにまとったリヴァイアサンが、満面の笑みを浮かべたまま(目が死んだ魚)俺を向いていた。
「……はいすいません。」
俺は素直に謝ることにした。
「あー。ちょっといいか。まあ、たしかにあの数は余裕だが……俺は悪魔だ。誰かの絶望、悲しみ、恐怖がないとあまり強くなれない。」
「って言いつつ、めちゃくちゃ強いくせに。」
「だから、今は本来の力の4割だからな。もしもという時、エネルギー切れになるかも。」
「でも、悪魔にMPって概念ないのいいな~」
「苦しみを糧にするからな。」
俺たちの苦しみでもいいのだろうか。
わからない。
でも、負の感情にも味があるらしく、どうやら美味しいまずいがあるらしい。
あ、もうそろそろ出口っぽい。
よーし、頑張るぞ!
「出るよ!準備して!」
「おうよ!」
「はい!」
頼もしい声が2つ聞こえた___俺はブラックホールを飛び出した。
♢♦♢♦♢♦♢♦
「なんだここ……」
俺たちが降り立ったそこは熱帯雨林と表現するべきであろう、場所だった。
すげぇ……蒸し蒸ししている。
「あっちー!」
「暑いですねぇ……密林だから仕方ないですけれど……」
だが、俺たちも暑さで退くわけにもいかない。そのまま俺は奥の方へ進んでいった。
俺たちは奥へ奥へ進んだ。もちろんダッシュで。すると、程なく、あの、後ろ姿が見えた。
「…ティアナ!」
「ご主人さま!」
俺が呼ぶと、ティアナはすぐに振り返った。
そして俺とティアナは固く抱き合った。
俺は謝った。
「ごめんね……待たせて。ありがとう。」
感謝も伝えた。すると、ティアナは泣きそうになりながら、言った。
「はい……はい!ご主人さまもよくご無事で…!」
「うん、ありがとう!ティアナのおかげで助かった。」
めずらしく、魔物が一体も存在しないようだ。
「魔物は?」
「ああ、いねえみたいだ。俺とリヴァさんが特殊だったのかもしれねえ。」
「そうだなぁ……」
俺がうなずいて、空間歩行を起動しようとしたら、エラーメッセージが出た。
【ここでは使用できません】
「おかしいな。ここでは使用できないって……」
「特殊な結界が張ってあるのか?」
「確かに、其の様な気配も致します。」
「そっか。」
「じゃあ、さっきの位置まで行けばいいんじゃないでしょうか?ご主人さま。」
「そうだな。じゃあ、行くか。」
俺たちはもと来た道を帰ることにした。
それが悪夢だった。
♢♦♢♦♢♦♢♦
迷った。
どっちがどっちか全くわからない。
「うーん……どうするべきでしょうか…?」
「この森一体を焼き尽くしたらどうですか?ご主人さま。」
「俺も死んじゃう。」
リヴァイアサンは爆弾発言をした。
サタンが突っ込んだ。
だが、こんなのんびりと喋っている場合ではない。
どうするべきか。
「どうする……」
俺は考えた。
考えすぎて、索敵をおろそかにしていた。
襲われたのではない、逆だ。
ここには下位の魔物が一匹もいない。
それはおかしいだろう
では、なぜ下位の魔物がいないか。
答えは__
「GURUUAAAAAAAAAA!」
大型上位魔物がいるから。
「っ!?いきなり現れた…!?」
「しかもあれは……オークジェネラル、ゴブリンジェネラルにファイヤーフレイムドラゴンです!?」
「上位個体…しかも多分魔力量からしてAランクほどだな。」
かなり強い個体が出てきたようだ。
「なら、サタンと俺でドラゴンを担当するから、ティアナはゴブリン、リヴァイアサンはオークについて!」
「わかりました!」
「わかりましたわ!」
「了解っと!」
俺とサタンでドラゴンの前につく。
俺はドラゴンキラーを取り出した。
日本刀のような見た目の剣。一回鞘に納める。
「行くぜ!」
俺はドラゴンに果敢に挑んだ。
「ダークマター!」
サタンは相変わらず高威力の魔法をぶっ放している。
すげぇ…つええ……
「俺も負けらんねえな!」
俺はドラゴンの口がチロチロ熱くなっているのに気づいていた。
「受け流し!見切り!」
上位の剣術を二個発動する。
そして火炎放射を無敵時間で避ける。
これは最近覚えたばかりだが、うまく使えたようだ。
「行くぜ!」
あのときとは違う。
俺はそう感じていた。
あのときのように尻尾を巻き逃げる俺じゃない。レベルアップのおかげかもしれないけれど…俺は仲間を救いたい…そんな気持ちが俺を動かしている気がした。
ドラゴンの尻尾が間近に迫ってくる。それを俺は受け身流し斬りを発動し、無敵時間を利用しつつ、斬りつける。
日本刀のいいところが、発揮される。
受け身受け身で攻めることができるのが、刀のいいところだ。
しっぽが上から叩きつけられそうになっても、俺は臆すことなく戦った。
しっぽは比較的柔らかい。俺は尻尾を集中的に狙い、尻尾を切断した。
ドラゴンの悲鳴のような雄叫びが密林中に響く。
だが、俺は構わず畳み掛ける。闇魔術でサタンが動きを封じてくれたりしていて、すごく動き易い。
使われると面倒くさい魔術ランキングの一番は闇魔術だ。
「これでトドメ!」
俺が渾身の一太刀を振り下ろした。
見事にヒットし、ドラゴンは倒れた。
それにしてもなぜかやけに弱いように感じた。
まあ、レベルアップもしていたしな。それより早く合流しよう。
~~~~~~
俺はティアナたちと合流した。予想していたが、ゴブリンとオークは問題なく片付いていた。リヴァイさんも能力を縛られていてこれだけ強いとは、本気を出したらどれだけ強いのか。
「……転移がまだ使えないな。」
「なんでだ?」
「いまのがボスモンスターで、倒すと脱出できるのではないのでしょうか。」
俺たちは頭を捻っていた。
すると、ドラゴンとゴブリンジェネラル、オークジェネラルの死体がキラキラと輝き出した。
「…!?」
~~~~~~
…え、えっと、こ、これは……一人殺しちゃってもいいんでしょうか……?
感想が一通も来ていないんですけど……




