第八話 絶望的状況
遅れました!
ちなみに、6話を大幅改善して、色々と矛盾が起きると思うので、先に改変した6話をご覧になったあと、この「絶望的状況」を御覧ください!
炎が燃え盛り、魔物がそこかしこに居て、魔物たちに弄ばれている。
中心には幼い、幼い、獣と戦うには小さすぎる、子供…がいた。
必死に魔法を使い、獣を止めている。
俺はそこからあまり記憶が存在しない。
ただ、ただ無心にエクスカリバーを取り出し、がむしゃらに敵を切っていた。
敵が正面から襲いかかってきたら、横に薙ぎ払い、縦に切り刻み、斜めに両断していた。
レベルが、100に到達しても、200に到達しても、何をしても、気づくことはなかった。
なにか、もう一人の自分が、俺を突き動かしているようだった。
レベルという、数値でしかないものが、何故か俺を支えているような気がした。
幸い、俺が走ったことが功を奏したか、重傷ではあったものの、救い出すことに成功した。
中心にいたのは、リヴァイアサンだった。
いくらリヴァイアサンのレベルが800だとしても、数が多すぎた。俺でも全部捌くまでに30分くらいかかった。魔法となると、MPも消費するし、大変だっただろう。
「リヴァイアサン!大丈夫か!」
俺は必死に回復魔法をかけた。
回復魔法にも限度というものは存在する。回復魔法は傷を治すことはできても、精神までは治すことができないのだ。精神が傷つけられたのであれば……
いや、最悪のことを想像するのはやめよう。
いまはただ___
「……ご、ご主人……さま」
「っ!リヴァイアサン!大丈夫か!」
俺は懸命に呼びかける。
最初は少ししか開いていなかったまぶたも、だんだんと開いていった。
ここまで意識がはっきりしているなら、大丈夫だろう。そう思い、とりあえず安堵した。
だが、安堵はまだできない。他の神様を救うことを…しなければ。
「ご主人さま。大丈夫ですか…?」
「ああ、俺はこの通り、大丈夫だ。リヴァイアサンこそ__」
リヴァイアサンに声をかけようとしたら、いきなり口を柔らかい何かで封じられた。
手がいつの間にか俺の首のあたりに伸びていて、優しく俺を包み込んでいた。
「それ以上の言葉は無用です。貴方様を襲いたくなってしまいます。ですが、ふふっ、ありがとうございます。ご主人さまにたすけてもらおうと思って、あれだけの数を相手にしていたのですが……」
優しい、柔らかいものは俺の口から離れていく。
リヴァイアサンはジョークを言ってくる。
だが、本当に心配した。
「あのなぁ…ジョークもいいけど、しっかり自分の命は自分で守ってくれ。」
「ご主人さまなら必ず来たでしょう?くすっ、自分の命なんか、仲間のためなら捧げそうな人が何を言っているんでしょうか?」
「ぐっ…」
思わず俺は言葉に詰まる。
そこで、俺とリヴァイアサンは吹き出し、笑いあった。
ほんの僅かな間だったが、気が緩んだ。
だが、表情を引き締め、俺はリヴァイアサンに言った。
「俺は、みんなをたすけてくる。リヴァイアサンは……」
「私も行きます!」
多少、頬をぷうっと膨らませているリヴァイアサンが俺が聞く前に、答えた。
「そうか。頼む。一刻を争う状況だ。協力してくれ。」
「はい、ご主人さまの一番メイド、リヴァイアサンはご主人様のご期待に沿う活躍を約束するとともに、終わったらこの体を精一杯ご奉仕することを誓います。」
「なんか余計なものが一つ混ざっているような気がするのは俺だけか?」
「ええ、ご主人さまだけですとも。私めは今、すごくむらむらといいますか、その状況下ですので。」
「……はぁ……ご勘弁頼むぜ。」
「ふふっ、それはどうでしょう?」
妖しく笑う彼女を一回置いておいて、俺は再度【空間歩行】を発動した。
俺たちは急いで、他の神様たちの魔力を追って、走っていった。
♢♦♢♦♢♦♢♦
俺たちは空間歩行の異様な長さの通路を歩いていた。ここの通路をショートカットすることはできない、乗り物に乗ったりもできないし、身体能力向上系の魔法も使うことができない。疲れたし、走る気にもならない。だから、そのあいだリヴァイアサンから状況を聞くことにした。リヴァイアサンによると、俺が鍛錬に行った後、何故か転移術が発動し、それぞれ別の場所に飛ばされ、その飛ばされた地点には魔物が待ち構えていた…のだという。
これはあの女騎士様も行っていた、征服軍とかいうやつだろ。
しかし、あまりにも下衆な方法を使ってくる。
まあ、たしかにレベル800の神様がうようよいたら、俺もそんな方法を取るかもしれないが。
そもそも俺は征服と言う事自体をしない。
「そういえば、サタンとティアナを知らないか?」
俺が騎士に連れて行かれたことはもう知っていたようだ。なのでなにか知っていないかと思って聞いてみるが、
「ご主人さまと一緒に鍛錬に行ってから、私は見かけていませんね…」
「そうか。」
またしても頬をぷうっと膨らませている。どうしたのだろうか。
「なあ、さっきからなんで怒っているんだ?」
「怒ってないです!ええ、私は至って平常です!」
「おこってるよな。それ…」
「いいえ!」
子供かよ。とつぶやきそうになって、危ないところで回避した。
もっとご立腹になったら、もう止められない。
と、外が見えてきた。危ない、ちょっと助かった。
「ご主人さま、気をつけてくださいね。」
「ああ。」
分かっている。
俺は、みんなを…!
覚悟を決めて外に出たら、そこは雪山だった。
とてつもなく寒い。
ここには誰がいるのだろうか、そう思いつつ、頂上へ足早に急ぐ。
頂上には、魔物とともにサタンがいた。
サタンが強すぎるからか、残る魔物も100くらいになっており、俺とリヴァイアサンで加勢したら、さっさと終わった。
「サタン!」
「おお!ご主人!久しぶりだな!つっても2日ぶり…か。」
「俺、そんな捕まってたの?」
「ああ、俺、殺されそうになったけれど、まあ、なんか大丈夫だったわ!ティアナが守ってくれたんだが。」
「ティアナどこか知ってる?」
ティアナはどこにいるんだろうか?そう思っていたら、
「いや、俺は知らねえ。転移術が発動したからな。」
「そっか……」
こちらも例外なく転移術が発動したらしい。
「ご主人さま、なら次に行きますか?」
「そうだな。」
流石に少し疲れたな。と思いつつ、肩を回す。
「ご主人さま、頑張ってください!サタン様と私なら、すぐ終わります!」
「そうだな。残りのみんな助けに行こう…!」
そこで、俺たちは【空間歩行】を発動させ、禍々しいブラックホールのようなものの中に入った。
聞きますが、結末として、「誰か一人が死ぬルート」と、「誰も死なずに(もしくは死んでも生き返る)ルート」どちらがいいですか?ちなみに、私は「誰か一人死ぬルート」を考えていますが、コメント次第では変えようかなぁ…と思っています。なるべくは早めのコメントをお願いします!




