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妙な既視感と少女の謎

 エマ・クーデルの結婚式が行われたのは6月のとある休息日。

 既にイルムハートは3年生になっている。

 アードレー家関係で式に出席したのはイルムハートひとりだけだった。

 本当は2人の姉やコートラン子爵アメリアも参加したかったのだが、他の出席者はそのほとんどが平民である。貴族が大挙して押し寄せては何かと気を使わせてしまうと配慮したのだ。

 まあイルムハートひとりとは言え、辺境伯ウイルバートからの祝いを携えての出席だ。それだけでもこの結婚式へ箔を付けるには十分だろう。

 姉達は新郎新婦を後日屋敷へと招いて改めて祝いの席を設けることにしたようだ。

「エマお嬢さん、とても綺麗ですね。」

 イルムハートのクラスメイトであるサラ・コレットがエマの花嫁姿を見てウットリした表情を浮かべる。

 彼女はクーデル商会でアルバイトをしておりエマとも仲が良い。そのため、式にも招待されたのだ。

「ああ、そうだね。」

 どこか心ここにあらずといった様子でイルムハートがそう応えると、サラはクスリと笑った。

「イルムハートさんは本当にエマお嬢さんのことを大切に思ってるんですね。

 まるでお姉さんを取られた弟のような顔をしてますよ。」

 その言葉にイルムハートは苦笑いを浮かべる。

「それについては姉さん達にも叱られたよ。僕が浮かない顔をしてたらエマが心配するだろうって。」

 昨晩、くれぐれもエマに不安を感じさせるような真似はしないよう2人の姉から改めて釘を刺されたのだった。

 尚、下の姉アンナローサは先月アルテナ学院を卒業したのだが、ラテスへは戻らず王都に残っている。王国外務省への入省が決まったからだ。

 故郷へ戻り花嫁修業をするという選択肢もありはしたが、彼女はそれを良しとせず王都で官職に就くことを選んだのだった。

 これは彼女の叔母から強く影響を受けたせいもある。実は父ウイルバートの末の妹が元外務省職員なのだ。

 幼い頃に叔母から様々な国の話を聞きそれに憧れたアンナローサは、いつか同じ道を歩もうと密かに決意していたようだ。

 その話を聞いたウイルバートは当然のごとく難色を示した。

 勿論、ラテスに戻って来て欲しいと言う気持ちもある。しかし、それ以上に彼を不安にさせることがあったのだ。

 その叔母は外務省勤務時代に知り合った他国の貴族と結婚し、今は国外に住んでいた。

 アンナローサもまた同じように他国の者と結婚し、国を出て行ってしまうのではないか?ウイルバートはそれを危惧しているのである。

 だが、娘に嫌われることを何よりも恐れるウイルバートとしては面と向かって反対することも出来ない。そのジレンマにオロオロする姿は辺境伯としての威厳などどこかへ置き忘れて来たかのようだった。

『貴方もお父様のようになるつもり?』

 そう言い放ったマリアレーナの台詞がイルムハートの心に鋭く突き刺さり、返す言葉も無くうなだれるしかなかったのが昨日の夜の話。

「だけど、そんなに不機嫌そうに見えるかな?

 自分ではそうでもないと思っているんだけど……。」

 釈然としない表情でイルムハートがそう言うとサラはまた笑った。

「不機嫌と言うか、ちょっと拗ねているような感じに見えます。イルムハートさんでもそんな顔をするんですね。」

 それにはイルムハートも言い返せずただ頭を掻くだけだった。

「でも、それはエマお嬢さんに対する思いの強さから来てるものですからね。それはお嬢さんも良く解ってらっしゃるはずです。

 確かに少しは心配するかもしれませんけど、その反面嬉しくも感じるのではないでしょうか。何せ、これだけ慕われているのですから。」

 サラはそう言った後、最後にぽつりと呟く。

「私から見ればうらやましいくらいですよ。」

 そして、つい漏れてしまった本音に思わず顔を赤らめる。

「そうだね、エマなら解ってくれるかもしれない。」

 しかし、イルムハートはそれに気付かない。この手の話において、彼はあまりにもザンネンな人間だった。もしかすると転生前は不遇な青春時代を送っていたのかもしれないと思わせるほどに。

「とは言え周りの目もあることだし、出来るだけ気付かれないよう注意するよ。ありがとう、サラ。」

 そう言って笑うイルムハートに対し、サラは複雑そうな笑顔を返した。

 胸の内の想いに気付かれなかったことが果たして幸運だったのか不運だったのか。

 それについてハッキリとした答えが出せないまま、エマの元へと再び歩み寄ってゆくイルムハートの背中を見つめるサラなのだった。


 3年生に進級したイルムハートは実に開放的な日々を過ごしていた。少なくとも学院内においては姉達の干渉を受けずに済むようになったからだ。

 今までも特に束縛されていたわけではないのだが、いろいろと世話を焼かれることが多かったのだ。

 昼食や服装や勉強について、果ては異性関連にまで口を挟んでくる始末だった。まあ言い方は悪いが”余計なお世話”というヤツである。

 それ自体は特に嫌なわけでもないのだが、あまりあれこれ構って来られると周囲の目が気になる。ハッキリ言って恥ずかしかったのだ。

 だが、その過保護すぎる自称”保護者”はもういない。学院生活において、やっと独り立ち出来たという訳である。

 そんなある週末の放課後、帰り支度をするイルムハートに不意の来訪者が訪れた。

「イルムハート、君にお客さんが来てるよ。」

 取り次いだクラスメイトのエリオ・カルビンがそう声を掛けて来る。

「客?僕に?」

 一瞬、パーティー・メンバーの誰かだろうかと考えたが、すぐにそれを打ち消した。彼等ならわざわざ取り次ぎなど頼まず、平気でそのまま教室に入ってくるはずだからだ。

「あのロープからすると騎士科の2年生だね。中々可愛いだよ。」

「騎士科の2年?しかも、女子生徒?」

 全く相手の想像がつかなかった。

「たぶん君のファンなんじゃないか?

 もしかして交際を申し込みに来たとか……。」

「えっ!?」

 エリオのその言葉に反応したのは側で話を聞いていたサラだった。

「こ、交際の申し込み……。」

「そんなわけないだろ、話をしたことも無い初対面の相手なんだぞ?」

「そ、そうですよね。」

 イルムハートが軽く笑い飛ばすと、サラはどことなくホッとしたような表情を浮かべた。

 だが、エリオはまだ悪乗りを続ける。

「いやいや、恋愛にそんなもの必要ないさ。一目見て恋に落ちることだってあるんだ。だから……。」

 エリオは中々ロマンチストのようだが、その台詞を最後まで口にすることは出来なかった。睨み殺さんばかりに見つめるサラの視線に身の危険を感じたのだ。

「まあ、とにかく会ってみるよ。それじゃあ、また来週。」

 そんな空気を読んでか読まずか、イルムハートは2人に別れの挨拶を告げた後、立ち上がって教室の入口へと向かう。

 後ろでサラがエリオに何かまくし立てているようだったが、「2人とも仲が良いな」くらいにしか思わなかった。

 廊下に出ると白い縁取りのローブを着た女子生徒が目に入る。イルムハートが入学した当時、白は5年生の色だったが今は一巡してひとつ下の学年色となっているのだ。

 女子生徒は身長がイルムハートの肩くらいまでしかないかなり小柄な少女で、金色の髪を後ろで纏めたポニーテール姿がより幼さげな雰囲気を見る者に与えた。

「僕がイルムハートだけど、何か用かい?」

 そう声を掛けられた少女はイルムハートの方を向くと、何故か驚いたような表情を浮かべ食い入るように彼を見つめた。そして一瞬の間の後、大袈裟な身振りと共にこう叫ぶ。

「アニメ主人公ばりの美少年キャラ来たー!」

「”アニメ”?」

 唐突な少女の台詞にイルムハートは思わずそう聞き返す。

 勿論、その言葉の意味は知っていた。但し、転生前の世界の知識としてであり、当然この世界に存在しないものでもある。しかも、少女は確かに元の世界の発音で”アニメ”という言葉を言い放ったのだ。

 イルムハートの脳裏にある疑念が浮かぶ。

 だが、早急に判断を下すわけにもいかなかった。必ずしもそれが元の世界の言葉であるとは言い切れないからだ。彼が知らないだけで同じ発音の方言やスラングがあるのかもしれない。

 なので、その発言の意味を確かめようとしたのだが、「べ、別に何でもないです。気にしないで下さい」と胡麻化されてしまった。

 そう言われてはそれ以上追求するわけにもいかず、イルムハートはもやもやした気分になる。

 そんなイルムハートの様子を見て少女は慌て出した。名乗りもせず無礼なヤツ、そう思われたのではないかと考えたのだ。

「すみません、ご挨拶が遅れました。初めまして、私はセシリア・ハント・ゼビアと申します。セビア騎士爵メリッサの娘です。」

 騎士爵とは特別な功績を上げた平民に与えらえる爵位である。但し、一代限りの称号で世襲は出来ない。なので、通常貴族の子がするように自分が第何子かを名乗ることはなかった。跡が継げない以上、それに何の意味も無いからだ。

 セシリアの言葉を聞くに、どうやら母が爵位を持っているようだ。彼女の母親であればまだそれほど歳はいっていないと思われる。にも拘らず爵位を授けられるだけの功績を上げたのだから、さぞかし優秀な人物なのだろう。

 ちなみに、騎士爵はあくまでも名誉爵位であり、それによって領地や官職が与えられるわけではない。ただ貴族に準ずる地位と年金(普通の法務貴族とは異なり、王国からの支給金は”歳費”ではなく”年金”と呼ばれた)が与えられるだけである。

「イルムハート・アードレー・フォルタナだ。初めまして、ハント君。」

 簡単にではあるが、イルムハートも名乗りを返す。

「それで?僕に何の用だい?」

 イルムハートが改めて訪問の意図を尋ねると、セシリアはあまりにも意外過ぎる言葉を口にした。

「今日はアードレー先輩に剣の試合を申し込みに来ました。」

 思わずイルムハートは絶句する。

 別にエリオの言うような色恋沙汰の話だと思っていたわけではない。しかし、まさか試合を申し込まれてしまうなどとは全く予想していなかったのだ。

(何か、以前にも同じことがあったような……。)

 イルムハートは妙なデジャブに襲われた。

 上級生と下級生、男子生徒と女子生徒といったように前回との状況はかなり違っているのだが、何故か不思議な既視感がある。

 もしかすると、この少女に対してそれを感じているのか?とも思ったが、そんなはずも無い。確かにセシリアとは初対面なのだから。

「どうでしょう、受けて頂けますか?」

 そんなセシリアの問い掛けでイルムハートは我に返った。

 今は奇妙な感覚に戸惑っている場合ではない。先ずは彼女に確認しなければならないことがある。

「理由を聞かせてもらえるかな?」

 何故、セシリアと試合をしなければならないのか?それが全く解らない。

 前に騎士科の上級生から試合を申し込まれた際には、姉マリアレーナの出した条件を満たすためという理由があった。

 しかし、セシリアが挑んでくる理由については全く想像がつかないのである。

「誇りのためです。」

 セシリアは真剣な顔でそう答えた。だが、イルムハートとすれば余計に解らなくなってしまう。

「誇り?」

「はい、誇りです。」

「僕との試合と君の誇りがどう関係あるのかな?」

「私の誇りを守るためには先輩と試合をしなければならないのです。」

「何故?」

「先輩が強いからです。」

「えーと、もし僕が強いとしても、それがどうして試合をする理由になるんだい?」

「私の誇りを守るために必要だからです。」

 堂々巡りだった。イルムハートは頭を抱える。

 ただ、セシリアが全く話の通じない相手だとも思えなかった。何か理由を口に出来ない事情がある、そんな風に感じられた。

「……少し考えさせてもらっても良いかな?」

「はい、構いません。こちらも勝手な事を言っているのは十分承知してますから。

 その上で、敢えて試合を申し込ませて頂きました。どうか良いお返事をお願いします。」

 そう言ってセシリアはぺこりと頭を下げ、そのまま帰ろうとする。

 と、そこへ不意にイルムハートが質問を投げかけた。

「ところで、こっちの世界はどうだい?上手くやれているかな?」

 それは実に奇妙な内容の問い掛けだった。普通ならその意図を訝るところだが、あまりにも何気ないイルムハートの口調にセシリアは全く警戒を持たずつい答えてしまう。

「そうですね、向こうとは単純に比べられるわけではないですが、まあ楽しくやって……えっ!?”こっちの世界”?」

 答える途中でその質問の特異さに気付いたセシリアは言葉を途切らせ、驚きとも戸惑いともつかない表情を浮かべる。

 が、イルムハートは敢えてその反応を受け流した。

「それじゃあ、試合の件については後で使いをやるよ。」

 それだけ言ってイルムハートは教室に戻る。その顔には明らかに何かを確信したような、そんな表情が浮かんでいたのだった。


 セシリアから試合を申し込まれた翌日、その日は休息日のため冒険者ギルドの施設を利用してメンバーの訓練をすることになっていた。

 その際、イルムハートはセシリアから試合を申し込まれた事を皆に話した。

「アナタ、また余計なトラブルに巻き込まれたわけ?」

 話を聞いたライラが呆れた声を出す。

「で、今度はどんな理由なの?まさか、試合で勝てばアナタと交際出来るとか、そんな話になってるんじゃないでしょうね?」

「それは勘弁してくれ。」

 さすがにそんな無茶な話はマリアレーナの件だけで十分だった。

「じゃあ何でよ?」

「それが僕にも良く解らないんだ。何でも誇りを守るためらしいんだけど、どうしてそれで僕と試合することになるのかがさっぱり。」

 お手上げといった感じでイルムハートは肩をすくめた。

 それを聞いたジェイクが何やら思わせぶりな台詞を口する。

「ああ……結局そうなったか。」

「何か知ってるのかい?」

「そのセシリアって娘、実は今の席次1位なんだよな。」

「えっ!?」

 ジェイクの言葉に皆は驚きの声を上げた。

 無理も無い。何せセシリアはまだ2年生になったばかり。それが騎士科の席次第1位と聞かされたら誰だって驚くだろう。

「だって彼女はまだ2年生だよ?それでもう席次1位なのかい?」

「そうさ。しかも、実際には1年の終り時点で既にその時の席次1位より強かったらしい。」

「じゃあ、1年生の時にはもう席次1位になってたわけ?」

「いや、それがな……。」

 ライラの問い掛けにジェイクは苦笑いを浮かべながら指で頬を掻いた。

「卒業間近になった5年生は席次戦を拒否出来るって暗黙の了解が騎士科にはあるんだ。席次は卒業後の進路に影響して来るだろ。それを目前にして降格なんてことになったら目も当てられないからな。

 で、彼女が席次1位への挑戦権を得たのが3月くらいだったから、結局席次戦は出来なかったんだよ。」

「ああ、逃げたんですね。席次第1位が。」

「身も蓋も無いこと言うなよ、ケビン。……まあその通りなんだけどな。」

 相変わらず辛辣なケビンの言葉にジェイクは肩をすくめる。

「随分と悔しかったでしょうね、その娘。

 でも、それとイルムハートの件とどう関係あるのかしら?」

「それなんだけど、当時の席次1位が席次戦を断る際にどうも余計なことを言ったみたいなんだよ。」

「何て言ったの?」

「かつて自分が手も足も出なかった”最強の席次第1位”ですら敵わない男がこの学院にいる。そいつを超えない限り、例え自分に勝ったところで所詮はお飾りの1位でしかない。そう言ったらしいんだ。」

「何それ、随分と勝手な言い草ね。自分だってそうでしょうに。」

 ライラはちょと怒っているようだった。

「清々しいほどに無様な負け惜しみですね。嫌いじゃないです、そういう人。」

「だからもう少し言葉を選んで……と言いたいところだけど、無様って点ではケビンの言う通りだと俺も思う。

 いくら試合を避けるのが後ろめたいからって、何もわざわざそんなこと言わなくて良いのにな。」

 なるほど、とイルムハートは頷いた。

 おそらく、その悪意ある捨て台詞を真に受けたセシリアは席次第1位の誇りを示すため試合を挑んで来たに違いない。他者ではなく自分自身を納得させるために。

「それで試合の理由を言わなかったのか。」

「だろうな。騎士科の恥を晒すようなもんだからな。」

 そんなセシリアをイルムハートは好ましく感じたし、彼女のために手を貸してやりたいとも思った。

 尤も、そうでなくとも彼女との試合は受けるつもりでいた。何故ならそれが必要な”手順”だからだ。

「それで、セシリアはどんな娘なんだい?」

「個人的には良く知らないから何とも言えないな。ただ、騎士科の生徒としてはちょっと変わったところがあるみたいだ。

 彼女が使うのはサーベル・タイプの剣なんだよ。」

 ジェイクが”変わっている”と言うのも頷ける。

 この世界の剣士は両手剣にしろ片手剣にしろ、出来るだけ重量のあるものを選ぶのが普通だった。身体強化魔法で腕力が上げられるのだから、重さを気にせずむしろそれを攻撃に生かすための選択をするのだ。

 勿論、軽量なサーベル・タイプの剣も使われないことはないのだが、どちらかと言えば儀仗用の武器という扱いである。

「剣もほぼ自己流のようで、何か自分で付けたっていう変わった流派を名乗ってたな。……確か、”テンネンリーシンリュ”流とかなんとか。」

(ああ、そういう趣味なのか。)

 イルムハートは思わず苦笑する。おそらく、”天然理心流”のことだと思われた。それならサーベル・タイプの剣を好むのも納得がいく。こちらの世界で一般的に使用される剣より、少なくとも形だけは日本刀に近いからだ。

 多分セシリアは歴史好きの女性だったに違いない。()()()()では。

 そう、彼女もイルムハート同様、異世界からの転生者なのだ。少なくともイルムハートはそう確信している。

 元々、自分以外にも転生者がいる可能性は十分にあると考えていた。何しろ、転生者とは神が引き起こした”事故”による被害者なのだ。まさかそれが交通事故レベルの被害であるはずもなく、おそらくは多くの人々が巻き込まれているはずである。

 その救済としてイルムハートは転生した。となれば同様にこの世界へとやって来た者がいたとしても何の不思議も無いだろう。

 ただ……まさかこんな形で同じ転生者に出会うなどと思ってもみなかったのは確かだ。

 セシリアが転生者であるかどうかを本人に確かめねばならないが、そのためには先ず彼女の希望を叶えてやることが先だろうとイルムハートは考えていた。その辺りは律儀な人間なのである。

(まあ、彼女がどんな戦い方をするのか、それにも興味はあるけどね。)

 その夜、イルムハートは一通の手紙をハント家に届けるよう家人に託した。セシリアとの試合を承諾する趣旨の手紙である。

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