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冒険者の休日と悩めるギルド長

 イルムハートが王都へと移り住んで1年が経った。

 王都での日々は相変わらず窮屈なものだったが、それでも徐々に改善されつつある。

 冒険者としての活動を続ける内に顔見知りも増えたし、ギルドへも度々を出すことで色々と有意義な時間も過ごせるようになった。

 まだ街を自由に散策出来るところまでは至っていないが、いずれはそれも可能になるかもしれない。

 この1年で警護の者達がイルムハートに対する認識を改めることになったからだ。

 元々彼等もイルムハートの能力を高く評価はしていた。剣においても魔法においても。

 それでも今はまだまだ子供……と思っていたのだが、実際には自分たちと同等かひょっとしたらそれ以上なのではないかと、この1年でそう感じるようになっていた。

 だからといって警護が不要になるわけではないが、神経質に行動を制限する必要もないだろうと考えるようになってきたのだ。

 勿論、これは彼等の独りよがりな判断ではなく、そこには2人の姉やアメリア、そして何よりもフォルタナ側の言動が影響を与えている。

 そこからはイルムハートの能力に対する絶対的とも言える信頼感、そんなものを感じさせるのだ。

 それが徐々に彼等にも伝染していく形で、イルムハートの自由は次第に広がっていく可能性を見せ始めたのだった。


 そんなある日、イルムハートは冒険者ギルドを訪れていた。

 転属の届を出すためだ。

 ギルドの規則により、Eランク以下の冒険者は所属している本部支部の管轄内でしか活動出来ないことになっている。

 現在イルムハートはラテス支部の所属になっており、本来なら他の場所では活動できないのだ。

 今はリックに見習いとして付いているためラテスを離れても活動可能となっているが、それが終われば王都では何も出来なくなってしまう。

 そのため所属をラテス支部から王都の本部へと変更する必要があった。

 これは変更前と後、双方のギルド長が承認すれば可能である。

 但し、それには登録から一定の期間を経過する事が必要とされた。資格のロンダリングを防止するためだ。

 やっとその条件を満たしたイルムハートは、先ごろ帰省した際にラテス支部のギルド長ハロルドから転出の承認書を受け取って来たのだった。

「Dランクになったら、また戻って来て下さいね。」

 真顔でそう言うハロルドに曖昧な笑顔を返しながら。

 今日はその書類を提出しに来たのだ。

「こんにちは。」

「こんにちは、イルム君。」

 窓口にいるイリアに声を掛けると、彼女は実に良い笑顔を返してくれた。

 その隣に座る同僚のルイズも手を振ってくる。

 それを見たイルムハートは思わず苦笑してしまう。

 実はギルドに顔を出し始めた当初、イルムハートの担当を巡ってイリアとルイズがモメるということがあった。

 それに懲りた彼は、次に訪れた際にこの2人ではなく別の男性職員がいる窓口を利用したのだった。

 だが、それがマズかった。

 そのせいで男性職員は2人から責め立てられ、ギルド長に泣きつくといった事件が発生したのだ。

 その後、どこか疲れた表情のギルド長から

「今後、アイツ等がいる時はその窓口を使ってくれ。出来れば交互に相手してくれると助かる。」

 そう言われてしまった。

(この世界の女性は逞しいな……。)

 あのギルド長ですら手を焼くくらいなのだから中々のものである。

 どこか姉達にも似た手強さを感じ、それ以来この2人には逆らわない様にしようと心に決めたのだった。

「今日は転属の申請をしに来ました。」

「あら、やっとなのね。」

 イルムハートがラテスで受け取って来た承認書を見せ、イリアがそれに目を通す。

「オッケー、問題無いわ。これでイルム君も晴れて王都ギルドの一員ってことになるのね。

 じゃあ、ギルド長のスケジュールを確認するから、ちょっと待ってて。」

「ギルド長の、ですか?」

 そんなイリアの言葉にイルムハートは首を傾げた。

「申請は窓口で出来ると聞いてましたが、ギルド長に直接会う必要があるんですか?」

「んー、申請自体は窓口で問題無いんだけど、イルム君が来たら顔を出させるようにってギルド長から言われてるの。

 何か話があるみたいよ。」

「話……ですか。」

 何か厄介事の予感がして思わず眉を寄せるイルムハートに、「ご愁傷様」とイリアが苦笑して見せた。

 とは言え逃げるわけにもいかず、ギルド長の都合を確認するまでの間、イルムハートはホールで待たされることになった。


「よう、イルムじゃねえか。」

 確認の間、暇つぶしに依頼掲示板を眺めていると、不意に声を掛けられた。

「デイビッドさん。」

 声の主はデイビッド・ターナーだった。

「王都に戻ってたんですね。」

「ああ、昨日帰って来たんだ。」

 デイビッド達は依頼を受けて別の町へ出向いていたのだ。

 それは本来彼等が受けるような高ランクの依頼で、残念ながらイルムハートは同行させてもらえなかった。

 決してイルムハートの実力が不足しているからではない。

 勿論、リーダーであるリックを初めとしてパーティーの面々は彼に十分な実力があることを知っている。

 だが、周りの人々は違った。実力はあるが高ランクの依頼をこなすのはまだ早い、そう見ていた。

 なので、イルムハートの本当の力を隠しておきたいリックは、出来るだけそんな周囲の評価に合わせた依頼のみをさせるようにしているのだ。

 イルムハートとしても薄々リックの思惑には気が付いている。

 しかし、自分に対する配慮だと分かっているので、特に不満は感じていなかった。

「どうでした、アッシュ・ドラゴンは?強かったですか?」

「まあ、そこそこだな。リックの奥の手も使わずに済んだし、思ったよりは楽だったかな。」

 アッシュ・ドラゴンは竜種のなかでもそれなりに高位の存在だ。

 それをさして苦労もせずに討伐してしまうのだから、さすがと言うしかない。

「ところで、リックさんとシャルロットさんは?一緒じゃないんですか?」

 イルムハートがそう問い掛けると、デイビッドは「ああ」と言って頭を掻いた。

「……休みの時くらいは2人っきりにしてやらねえとな。シャルにヒス起こされても困るし。」

 2人は恋仲なのだ。

 イルムハートの前では極力そんな素振りを見せないようにしているみたいだが、それでも2人を見ていれば何となく分かる。

 と言うか、デイビッドが口喧嘩で攻撃のネタにしてしまうので、2人の気遣いも全くの無駄になってしまっているのだが。

「なるほど。で、休みなのにデイビッドさんはどうしてギルドに?」

「まあ、どんな依頼が出てるのか参考までに見とこうかと思ってな。」

「要はやる事が無くてヒマなんですね。」

「……お前、言い方が段々シャルに似てきたな。」

 そんな会話を交わしていると、イリヤが確認を終えて戻って来る。

「イルム君、今ちょうど来客が帰って時間が空いてるそうよ。このままギルド長の部屋に行ってくれる?」

「なんだ、ロッドのおっさんに呼び出されたのか?そいつは気の毒にな。」

 イリヤの言葉を聞いたデイビッドは、先ほどの仕返しとばかりに意味ありげな笑顔をイルムハートに向けた。

 だが、イリヤが発した次の言葉でその笑いは凍り付く。

「ターナーさんも一緒に行ってください。」

「はあ?何で俺まで?」

「ターナーさんが顔を見せたら連れてくるようにって、ギルド長に言われてるんです。」

「……今日のところは見逃してくんない?」

「ダメです。私がギルド長に怒られちゃいます。」

 なんとか回避しようと粘るデイビッドだったが、イリアに勝てるはずもない。

 結局は2人連れ立ってギルド長の元を訪れることになった。


「おお、来たか。わざわざすまんな。まあ、座ってくれ。」

 部屋に入って来たイルムハートを見てロッドがそう声を掛けた。

 次に、後から続くデイビッドに目をやる。

「何だ、お前も来たのか。」

「呼び付けといてそれ酷くない!?」

 デイビッドは抗議したもののそれは軽くかわされてしまい、少し不貞腐れながら席に着く。

「これがラテス支部からの転出承認書です。」

 まだぶつぶつ言うデイビッドをとりあえず放置したまま、イルムハートはロッドに書類を手渡す。

 いちおうイリアから知らされているはずなのだが、それを受け取ったロッドはどこか意外そうな表情を浮かべたようにも見えた。

「ハロルドは何か言ってたか?」

「ええ、Dランクになったらまた所属を戻してくれと。」

「まあ、そうだろうな。」

 イルムハートの言葉を聞き、ロッドはニヤリと笑った。

「優秀な人材を囲い込みたいのはどこも同じだ。

 ハロルドとしても金の卵を横取りされた気分で、あまり面白くねえだろう。」

 褒められているのか、あるいはダシに使われているのか。

 どうもロッドにはハロルドへの対抗心があるようで、今の言葉もどちらのニュアンスが強いのか正直判断がつかなかった。

「尤も、一人前になっちまえばどこで活動しようとそいつの自由なわけで、所属がどうのってのはあんまり関係無くなるがな。」

「そういや前々から思ってたけど、E・Fランクの活動地域制限って何のためにあるんだ?」

 ロッドの言葉を受け、ふと思い出したようにデイビッドが口を開いた。

「ひよっこ共に危ないマネさせないようにするのが狙いなら、受注のランク制限で十分だろ?

 わざわざ場所まで制限する必要もないと思うけどな。」

 言われてみればその通りである。

 初心者が無理な行動をして危険な目に会うことのないようにするため。

 そう言われそのまま受け取っていたが、考えてみればランクによる受注レベルの制限がかかっているのだから、それで十分対応できるはずだ。

 なのに何故、行動範囲まで制限する必要があるのだろうか?

「ん?まあ、なんだ、いろいろあるんだよ。」

 何やら煮え切らない感じのロッドだったが、イルムハートとデイビッドの視線に押し負けた形で口を開いた。

「こいつはあまり大ぴらにはするなよ。

 実は安全のためってのはあくまでも建前でしかない。その間は審査期間なのさ。」

「審査期間?」

「そうだ。冒険者登録ってのはどんな奴でも出来るようになっている。善人でも悪人でもだ。

 いちおうアンスガルドの総本部で犯罪歴のチェックは行うが、それだって完璧ってわけじゃねえ。

 あと、今は犯罪者で無くてもこれから悪さをするために冒険者の資格を取ろうと考える奴だっている。

 そんな連中に、どの国でも通用する冒険者の資格をおいそれと渡しちまういわけにはいかねえからな。

 だから最初は資格が通用する範囲を限定するのさ。

 その間にキッチリとそいつの人物を調べるんだ。

 行動や考え方に問題は無いかとか、おかしな連中とのつながりはないかとか、そんな感じでな。

 そうやって何年か見てれば、必ずボロを出すもんさ。

 で、そういう問題のある奴にはギルドを抜けてもらうことになるわけだ。」

「なるほどねえ、そういう意味があったのか。」

「まあ、そういうことだ。おかしな奴を入れてギルドの信用に傷を付けるわけにはいかねえからな。」

「ギルドのお偉いさん達も、いちおう頭使ってるんだな。」

 デイビッドとしては素直に感心しているつもりなのだろうが、いつものごとく余計な一言が付いていた。

 おかげで「当たり前だろうが。お前と一緒にすんじゃねえ」とロッドに怒鳴られてしまう。

 それを見たイルムハートは笑いながらデイビッドに目をやった。

「そう考えてみると、デイビッドさんってよく審査をパス出来ましたよね。」

「んあ?そいつはどう意味だ、イルム。」

 その言葉にデイビッドは軽く凄んで見せたものの、イルムハートは慣れたものである。全く効いた様子が無い。

 それどころか、更にロッドから追い打ちを掛けられるはめになった。

「確かにこいつは問題だらけだが、かと言って極悪人ってわけでもねえからな。残念ながら追い出せなかったんだろうさ。」

「酷でぇな、2人とも!もう少し俺に対する思いやりってもんがあってもいんじゃねえの?」

「あるわけねえだろ、そんな無駄なもん。」

 精一杯の訴えも軽くロッドに一蹴され、デイビッドは撃沈した。

「ところで、何かお話があると聞きましたが。」

 そんなデイビッドのことは放っておいたまま、イルムハートは呼び出された意図を尋ねた。これが話の本題なのだ。

「ああ、そうだったな。

 まあ、転出証明書こいつを出してもらったことで話の半分は済んだようなもんだが……。」

 イルムハートの問いにロッドは先ほどまでと打って変わった真剣な表情になる。

「実を言うとな、俺もハロルドもお前が高等学院に入学したら、もう冒険者を辞めちまうんじゃねえかと思ってたんだ。

 辺境伯の息子ともなれば、例え跡継ぎでなくとも将来の選択肢はいくらでもあるだろう。

 何が悲しくて冒険者なんぞやらにゃならんのだって話だしな。」

 それは極めて常識的な考え方であった。

 皆そう思っているはずだし、冒険者活動の後押しをしてくれた母親のセレスティアですら同じ考えだろうとイルムハートは考えている。

「どういう道を選ぶかはお前が決めるのであって、俺達が口を挟むことじゃねえ。

 だが、本音を言わせてもらえば冒険者を続けて欲しいとも思ってる。

 所属がどうのこうのって話は正直どうでもいいことなんだ。お前が辺境伯の息子ってことも関係ねえ。

 ただ、お前には”正しい資質”がある。俺達はそう思ってるんだ。」

「”正しい資質”?」

「ん、まあ、有望な人材とかそんな意味だと思ってくれ。」

 何となく意味ありげではあったが、それ以上追求するほどのことでもないようにも思えたので、イルムハートはそのまま受け取った。

「要するに話ってのはお前にこの先、リックの見習いを終えてからも冒険者を続ける意思があるのかどうかってことなんだよ。

 こうして転属の申請を出すってことは……その意思があると判断していいのか?」

 なる程、そういうことかとイルムハートは思う。

 書類を出した際にロッドが意外そうな顔をしたのは、冒険者を続けるとは思っていなかったせいなのだろう。

 思えばラテスでハロルドから書類を受け取った際も、言葉とは裏腹にちょっと嬉しそうな表情を浮かべていたような気もする。

(これはまた……随分と高く評価してくれてるんだな。)

 確かにこの1年、リック達と共に数多くの依頼をこなしてきた。しかも、中には難易度の高いものもいつくかある。

 だが、全てはリック達と一緒だから出来た事だとイルムハートは思っているので、こうも持ち上げられてしまうと気恥ずかしくて仕方なかった。

 まあ、それはともかくとして、ここまで言われたのであればイルムハートとしてもそれなりに本音で答える必要があるだろう。

 何しろ、先ほどまで不貞腐れていたはずのデイビッドすら、真剣な表情で答えを待っているのだから。

「確かに両親にしろ周囲の人たちにしろ、僕が本気で冒険者になるつもりだとは思っていないでしょうね。

 それは僕の立場を考えれば、まあ当然のことだと思います。

 でも、僕自身は学院に入った後も卒業した後も冒険者を続けていくつもりでいます。

 勿論、先のことなんて誰にも分らないので絶対にとは言えませんが、少なくとも今は本気でそう考えています。

 もっとも、在学中は学業優先になると思うので、あまり活動は出来ないかもしれませんが。」

「そうか、そいつを聞いて安心したよ。」

 ロッドはどこかホッとしたような表情を浮かべた。デイビッドもニヤリと笑ってみせる。

「まあ、これからもよろしく頼むぜ。」

 そう言って差し出されたロッドの手に一瞬戸惑いながらも、微笑を浮かべ握手を交わしたイルムハートだった。


「手続きはこれで完了だ。帰りにもう一回窓口に寄って、ギルド・カードの書き換えをしてもらってくれ。」

 ロッドは書類にサインして、それをイルムハートに手渡した。

「わかりました。ありがとうございます。」

 礼を言いながらイルムハートがそれを受け取ると、真っ先にデイビッドが立ち上がる。

「そんじゃ帰るとするか。」

 そう言ってさっさと退散しようとしたのだが、残念ながらロッドに呼び止められてしまった。

「何勝手に帰ろうとしてんだ。お前にはまだ話があるんだよ。」

「でも、ギルド長だっていろいろ忙しいだろうし、話はまた今度ってことで……。」

「ああ、忙しいさ。余計な問題起こしやがる奴がいるせいでな。いいから座れ。」

 結局、逃げることは叶わなかった。

「……お前、また人の女房に手ぇ出したそうだな?」

「う……。」

 ロッドに怒りのこもった目で見つめられ、デイビッドは黙り込む。

(ああ、そういうことか。)

 なんとなく話の内容を予想して、イルムハートは思わず苦笑を浮かべた。

『デイビッドは女にモテない』とシャルロットは言っていたが、実はそうでもなかった。陽気な性格とちょい悪な雰囲気で、意外とこれがモテるのだ。

 ただ、何事もあまり深く考えずに行動するため、手当たり次第にちょっかいを出した結果、後になって相手が既婚者だと判明することもあった。

 おそらく、その類の話なのだろう。

 ギルドは基本的に冒険者のプライベートに関して干渉することはない。

 なので、個人的なトラブルには関与しないことになっているのだが、ギルドに対し直接苦情の申し立てがあった場合はそうも言ってはいられなくなる。

 事はギルドの信用に関わってくるため、例え個人の問題であろうと何らかの対応をしなければならない。と言うか、対応する姿勢を見せる必要があるのだ。

 尤も、姦通罪というものが存在しないこの国では法的な処罰はなく、説教して詫びを入れさせる程度ではあるのだが。

「ああ、イルムはもう帰っていいぞ。ご苦労だったな。」

 当然ながら、この話にイルムハートは関係無い。

 一緒に説教を受ける必要も無いので、ロッドは早々に開放してくれた。

「それでは失礼します。」

 そう言って立ち上がるイルムハートに向かって、デイビッドは縋りつくような目をして見せる。

 その顔には「見捨てないでくれ!」とハッキリ書かれていた。

 そんなデイビッドにイルムハートは満面の笑みを返し……その後、ついと背中を向けドアへと歩き出す。

 背後には絶望のあまり崩れ落ちるデイビッドの気配を感じたが、立ち止まったりはしない。全ては彼の自業自得なのだから。

 イルムハートが部屋を出てドアを閉めると、それを見計らったように防音魔法の結界が一段階強くなるのを感じた。

 ふと女性秘書の方をみると、彼女は小さく肩をすくめて見せる。

 デイビッドはよほどの大声で怒鳴られることになるのだろう。

 それが分かっているから彼女は防音魔法を強化したに違いない。既にルーティン化してるようだ。

(どんだけやらかしてるんだか……。)

 彼女に苦笑交じりの会釈を返し、イルムハートはギルド長の部屋を後にした。

 後日、見捨てられた恨みを晴らそうとイルムハートを責め立てたデイビッドだったが、逆にそれを見つけたシャルロットからこっぴどく叱られるはめになる。

 これもまたお約束というやつであった。

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