この世界が終わる日に。
いつか思い付いた事を、今書いてみる。詩なんて難しいものじゃないと、一先ず言わせてほしい。
この世界が終わる日には、カレーを食べよう。
嫁は怪訝な顔。娘も信じられないと言わんばかり。
それでもいつもと同じに、カレーを食べよう。
外は修羅場。世間は逃げ場を求めて大騒ぎ。
でも、俺は高らかに宣言しカレーを作るのだ。
嫁は呆れ顔。娘はそのまま出ていくとキレるが、
だからこそ俺はカレーを食べようと告げた。
滅びに向かう明日を、いつもと同じ明日にする為に。
文句を言った嫁も、結局同意し、娘もやれやれと席に着く。
さぁ、たいして変わらんいつもと同じ、普通のカレーが出来上がり。
「いただきます。」
匙で掬って一口食べて、三人揃って無言で食べた。
「ごちそうさま。」
三人揃って食べ終えて、少し早めに床に着く。
明日は、世界最後の日。
きっと、目覚めぬ、最後の日。
そんな、夢を見た。
だから、今日はカレーを食べる。
理由を聞いた嫁はやっぱり呆れ顔。娘はアホかと呟いた。
毎度お馴染み変わらぬレシピ。冒険なんて無縁のカレー。
「いただきます。」
でも結局、居間に三人揃って座り、いつもと変わらぬカレーを食べる。
「ごちそうさま。」
三人揃って食べ終えて、いつもと同じ時間に眠る。
でも、少しだけ幸せなのだ。
だって、明日は普通の日。地球が滅びる訳もない。
目が覚めて、一日を終え、食事を済ませ、静かに眠る。
当たり前、当たり前。いつもと同じ、当たり前。
なぁ、世界なんてそうそう終わるもんじゃないぜ?
そう思えば、平和な毎日に、いつものカレー。
これより幸せな日々なんて、そうそうあるものか。
まー、そのー……カレーは好き。