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アルモアの星伝説  作者: トド
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第十七話 森の遺跡

南の関所を下り、深い森の中を山脈に沿って進むと、森の遺跡にたどり着く。

かなり古い遺跡で、城壁は崩れ落ち、石畳はほとんど無くなり土壌がむき出しになっている。建物全体はツタが覆い尽くし、後数年もすれば森と一体化してしまうのではなかろうか・・・。


そんなジャングルの中にあるような遺跡の城壁を通り過ぎた時であった、密林の中から三体のオークが突然襲って来た。

先頭を歩いていたアレンは、オークの間をすり抜けざまに切り伏せるつもりで剣の柄に手を掛けたが、その前にリサが豪快にフレアーの魔法を放った。

三体のオークは一瞬にして吹き飛ばされ、真っ黒焦げになって倒れた。

この魔法は昇級試験に合格して覚えた魔法だが、まだ実戦で使った事が無かったので、こういうチャンスを狙っていたのだ。


「すごい魔法ね!」


エレナはリサの新しい魔法の威力に驚いた。


「おめえ、何でそんなに素早く魔法を放てるんだよ?反則だろ!」


ネイルは信じられんという顔をしている。

リサは新しい魔法の威力に納得したようで、ニッコリ笑うと、何事も無かったかのように、仲間と共に遺跡の中へ入って行った。



この様子を、じっと隠れて見ていた者がいた。

四人の姿が遺跡の中に消えると、木陰から二人の男が姿を現した。

サングラスを頭に掛けた色の黒い男と、背の低い小太りの男であった。


「見たかトント!あのチビの魔法を!!」


色の黒い男が小太りの男に声を掛けた。


「見たよガボ! だけどチビって言うのはヤバイよ!

聞こえたら俺たち、今度はあのオークみたいにされちまうよ」


「そ、そうだな!気を付けねえとな!」


「あいつら本気でこの遺跡のお宝を捜すつもりなのかな?」


トントがガボに尋ねた。


「どうも、そのようだな・・・。

だけど、この遺跡から無事に出てきたヤツは、まだ一人もいないんだぜ!!」


「じゃあ、あいつらじゃ無理だね」


「ああ、強いのはあのチ・・・いや、魔法使いだけのようだからな・・・・」


「そうだよね。他の奴らはぜんぜん強そうに見えないもんな。

それに先頭を歩いていたヤツ、レゼムの公園で俺たちにビビッて逃げたヤツだろ?」


二人は顔を見合わせて、ヘラヘラと笑った。

自分たちが尻に火を付けられて逃げだしたことを棚に上げて・・・。



遺跡の中に入ると、何もない広い敷地が広がっているだけだった。

床に敷き詰められていた石畳もほとんど無く、所々に雨水が溜まり地面はぬかるんでいた。

どう見ても、ただの廃墟にしか見えなかった。

一つだけ目についたのは、正面のボロボロの壁に、跳ねる二頭の馬のレリーフが左右対称に飾られ、そこに地下へ降りる階段があるぐらいだ。


アレン達はそこから下へ降りると、中央に鉄の扉が一つあるだけの小さな部屋にたどり着いた。

勿論その鉄の扉には鍵が掛かっており、開ける事は出来ない。

だがよく見ると、その部屋の壁には七つのスイッチが横一列に並んでいた。

鉄の扉を挟んで左側に四つ、右側に三つ。

そして扉の右横には金属のプレートがはめ込まれており、そこには文字が刻まれていた。


「すべての黄色い魔法陣が青く輝く時、勇気ある者の証とみなし、その者に賢者の知恵を授けん・・・・」


アレン達のいる部屋からは、扉の向こう側の様子は伺い知る事は出来なかったが、この鉄の扉は三重になっており、その先には広大なダンジョンが広がっていた。

そして三重の扉がある通路の左側の大きな部屋には、緑色した奇妙な魔物がうじゃうじゃと集まって、不気味にうごめいている。


パッと見た感じは、宙に浮く大きなマリモのように見えるが、一つしかない大きな目玉を瞬きさせ、身体の半分を占める大きな口をパクパクさせながら空中を彷徨っているのだ。

そしてその魔物を閉じ込めている大きな部屋には、七か所に扉が付いており、その扉が開けば、魔物は広いダンジョンへ出られるようになっていた。


さらに三重の扉がある通路の右側にも、同じ作りの大きな部屋があった。

そこにはまた別の魔物がうじゃうじゃと閉じ込められている。

魔法使いの塔でリサが試験を受けた時に、試練の間に放たれていたプニプニという空中に漂うクラゲの魔物と同じ姿をしているが、ここに居るのはさらに危険な吸血クラゲ(怖いプニ)であった。


こちらの部屋には六か所に扉が付いており、その扉が開けば魔物は広いダンジョンへ出られるようになっている。

ダンジョンの攻略を考えれば、この扉は開けたくはないのだが、残念な事にこの部屋の中には女神像の泉も、黄色い魔法陣もあるのだ。

それに開ける、開けないの選択を、自分たちで決める事が出来るのかどうかも不明であった。


「どうするネイル?」


俺はネイルに判断を委ねた。


「そうだな・・・・。

ここにあるスイッチを押すとどうなるのか・・・。

やってみなきゃ分かんねえし、どうせ押すのなら左端から順番でいいんじゃねえか?」


皆の意見も特になかったので、ネイル言う通りにやってみる事にした。


「よし、じゃあ左のボタンを押すよ!」


カチッ!


・・・・・ギイイイイイ・・・・ガチャン!!!


どこか・・・・左側の奥から扉の開く音がした。

アレン達には見えないが、緑の魔物がいる左の部屋の扉が全て開いたのだ。


「ここの部屋の扉が開かないと、話にならねえな・・・。

アレン、次のスイッチを押してみろよ」


ネイルの言うままに、俺は左から二つ目のスイッチを押してみた。


カチッ!


・・・・・・・・・・・・・。


しかし何も起きなかった。

壊れているのか?それともこの装置を起動させる動力が遮断されているのか・・・・。


「こりゃスカだな!」


ネイルは簡単に言うと、次のスイッチを押すように催促した。

俺は左から三つ目のスイッチを押した.

カチッ!


・・・・・・・・・・・・・。


ここも何も起きなかった。

続いて左から四つ目のスイッチも押してみたが、ここも何の変化も起きなかった。


「どうなっているのかしら?

古い遺跡だから、機械が壊れているのかもしれないわね?」


エレナも心配になってきたみたいだ。


次は扉の右側の、左のスイッチを押してみた。


カチッ!


・・・・・ギイイイイイ・・・・ガチャン!!!


どこか・・・・右側の奥から扉の開く音がした。

アレン達には見えないが、恐いプニのいる右の部屋の扉が開いたのだ。


「おっ!またどこかの扉が開いたみたいだな・・・・。

よし、次行こう、次!!」


三つの真ん中のスイッチを押してみた。

しかし何も起きなかった。

そして最後の一番右のスイッチを押してみた。


・・・・・・・・・・・・・。

ここも何も起きなかった。


「おい!こりゃ、どうなってんだ?」


変化があったのは二つだけだぜ?!


「たぶん、この装置を起動させる動力が遮断されているんじゃないかな?

きっとどこかに別の入り口があるはずだよ」


俺たちは上に戻り、隠された入り口が無いか調べる事にした。


一階の広間には、大きな岩が数個転がっていたので、まずそいつを一つ一つ爆破して行くことにした。

すると、そのうちの一つの岩の下から、地下へ降りる階段が現れた。

地下へ降りてみると、そこには広大な迷路が広がっている。

まるで複雑なパズルのようなダンジョンだが、床にはしっかりと石畳が敷かれており、歩きづらくはなかった。

ただ、場所によっては床自体が抜け落ちており、先へ進む事が出来なくなっている。

この階段から降りた場所には、宝箱が一つ(魔法の薬3個)あっただけであった。

ただ抜け落ちた床の向こう側にあるダンジョンには、一階にあった馬のレリーフと同じ物が飾られた場所が二か所見える。そしてそこには謎のスイッチも設けられていた。


一階に戻った俺たちは、残っていた二つの岩を爆破したが、階段は現れなかった。

次に調べたのは、部屋の柱だ。

部屋の左奥の柱に大きな亀裂が入っていたので、そこを破壊して下のフロアへ降りられないか試してみた。

結果は思った通りで、その柱の穴から下のフロアへ降りる事が出来た。

長いパズルのような迷路を進み、一番奥まった所に馬のレリーフが飾られた場所を見つけた。その場所にはスイッチが一つだけ付いている。

扉も何もないので、恐らくこれが七つのスイッチを起動させる動力のスイッチに違いない。

俺はそのスイッチを押してみた。


カチッ!


カラ、カラ、カラ・・・・ウイ~~~~~~~ン・・・・・。


機械が動くような音がした・・・。


「これであの七つのスイッチの内の、どれかが起動すると思うんだけどな・・・」


「よし、スイッチの部屋に行ってみようぜ」


スイッチの部屋に戻った俺たちは、左から二番目のスイッチを押してみた。


カチッ!


・・・・・ギイイイイイ・・・・ガチャン!!!


どこか・・・・扉の奥の方から扉の開く音がした。

三重の扉の、真ん中の扉が開いたのだ。


「おっ!またどこかの扉が開いたみたいだな・・・・。

一体ここにはいくつ扉があるんだ?」


「しかし、これでここのスイッチが壊れていないのが分かったよ!

他のフロアにある動力のスイッチを探せば、ここの扉も必ず開くさ」


一階に戻った俺たちは、今度は奥の右側の柱の亀裂を爆破した。

そしてそこから下のフロアへ降りると、馬のレリーフが飾られたスイッチを見つけた。

「あった!よし、押してみるよ」


カチッ!


カラ、カラ、カラ・・・・ウイ~~~~~~~ン・・・・・。


「なんか動いたね!」


リサが壁に耳を当てて音を聞いている。


「よし、スイッチの部屋へ戻ろう!」


部屋に戻ると、まだ何も起きていない左から四つ目のスイッチを押してみた。


カチッ!


・・・・・・・・・・・・・。


しかしここは何も起きなかった。


次に扉の右側の三つの内、真ん中のスイッチを押してみた。


カチッ!


・・・・・ギイイイイイ・・・・ガチャン!!!


大きな音と共に、部屋の扉が開いた!!


「おぉ!やったぜ!!」


ネイルが先頭になって、狭い通路を進んで行ったが、すぐに立ち止まってしまった。


「ありや?なんでぇ!また扉があるじゃねえか!!」


「え~っ!?これって、一体どうなってんのさ!!」


リサがブーブー文句を言っているが、先へ進めないなら仕方がない。

俺たちは回れ右をして、元の場所へ戻っていった。


遺跡の中の怪しい場所はすでに調べつくしていたので、俺たちは一旦外に出た。

そしてツタに覆われた遺跡の外壁を入念に調べていくと、右の大きな柱の根元がひび割れているのを見つけた。

そこを爆破して、下のフロアへ侵入すると、思った通り馬のレリーフが飾られたスイッチがあった。


「あった!あった!」


カチッ!


カラ、カラ、カラ・・・・ウイ~~~~~~~ン・・・・・。


「よし、これであの扉も開くはずだ!」


スイッチの部屋へ戻り、左から四番目のスイッチを押すと、最後の通路の扉が開いた。

狭い通路を進み、そこから抜け出すと、目の前には広大なパズルのような迷路が広がっていた。

道幅の狭い通路が、あみだくじのように交差して、通路以外は真っ暗闇の底の見えない深い穴になっている。

そしてその迷路には、マリモのような魔物とクラゲの魔物が、フワフワと宙に浮かんでいた。


「あ!あれって、もしかしてプニプニ?」


リサがクラゲの魔物を指さしてそう言った。


「な、なんだ空飛ぶクラゲか?フワフワ浮かんでいて、なんか癒されるじゃねえか~」


ネイルがそんなのん気な事を言っている間に、クラゲの集団が俺たちを見つけて襲いかかって来た。

見た目はクラゲだし、大したことは無いと思っていたのだが、実はこいつらは驚くほど獰猛な魔物で、毒のブレスをガンガン吹きかけながら、触手を伸ばして吸血攻撃を仕掛けてくるのだ。

体力もかなり持っており、簡単に一撃で倒せるような相手では無かった。

しかも人の臭いで寄って来るのか、戦っている最中でも他の奴らがこちらへどんどん集まってくるのだ。

三匹を倒した俺たちは、集まって来る魔物を振り払うため、一旦一階へ逃げだした。


「リサは昇級試験であの魔物と一人で戦ったんでしょう?

すごいね!」


エレナが感心してそう言うと、


「あれ、プニプニだと思ったけど、上位種族の怖いプニだったわ!」


リサが慌てて訂正した。


「とにかく群れて来るのが厄介だぜ!

おまけに毒のブレスをガンガン吹きかけてくるしよ!」


「エレナとリサは、ネレイドの腕輪の魔力で毒を回避できるけど、俺とネイルは一発で毒に侵されてしまうからね、俺はキュアー(毒の回復)の魔法が使えるけど、もし戦闘中に取り囲まれて、そこで魔力が切れたら本当にヤバイかも・・・」


「怖いプニも厄介だけど、あの緑色したマリモのような魔物はどうなのかしら?」


誰もあの魔物の正体を知っている者はいなかったので、エレナの質問に答える事が出来なかった。


そこで俺は一つの提案をした。


「じゃあ、あのフロアの様子を調べるため、一度戦わずに走り抜けてみるかい?

そしてここへ戻る時に、あのマリモみたいな魔物と戦ってみたらどうかな?」


「そうだな、それでやってみるか!」


話は決まり、俺たちは三枚扉の通路を抜けると、魔物に捕まらないように西へ走った。

そしてダンジョンの西端まで走ると、Uターンして東の端まで走り抜け、通路まで戻る手前でマリモの魔物を攻撃した。


「よし、行くよ!」


俺は剣を上段に構えて飛び上がり、マリモの魔物を斬りつけた。


ビ~~~~~~ン!!!!!



気が付くと、俺たちは遺跡の一階の入り口の前に突っ立っていた。


「ちょっと、あんた!何エスケープの魔法を使っているのさ!!」


リサがネイルに文句を言った。


「そうよネイル!ちゃんと話を聞いていたの?

あの魔物と戦わないと、作戦が立てられないでしょ?」


エレナにまで怒られて、ネイルはタジタジだったが・・・・。


「ちょ、ちょっと待った!

オレは何もしてねえよ!!」


「じゃあ、なんでここに居るのよ!!」


リサがブリブリ怒っている。


「知らねえよ!

それに、この遺跡ではエスケープの魔法は発動しねえんだよ」


「えっ?!」


「と言う事は、あの魔物のせいなの!?」


俺たちは戸惑ったが、もし弾き飛ばされるだけなら、避けて戦う事で意見はまとまった。

そして厄介な怖いプニと戦う方法だが、通路の西側の大きな部屋の中に女神の泉があるのを確認したので、そこを起点に、とにかく動きが速く、群れで襲って来る怖いプニの数を徹底的に減らす事に決定した。


「よし!じゃあ行くよ!!」


通路を抜けると、西側の部屋の中にいる怖いプニを女神の泉から引き離すため、わざとゆっくりと走り、部屋の外へおびき出した。

嗅覚に鋭いのか、俺たちをめがけて部屋の内だけでなく、周囲から大量の怖いプニが集まって来た。

これ以上集まると突破できないレベルに達した時、俺たちは猛ダッシュで女神の泉まで走り抜けた。

作戦は成功で、女神の泉へたどり着いた俺たちは、続々と集まって来る怖いプニを、フルパワーで戦った。

時間は掛ったが、回復の泉のおかげで、目の前にいる敵は全滅させることが出来た。

そこで改めて部屋の中を調査すると、黄色い文字で描かれた魔法陣が一つと、宝箱が一つあった。


鉄の扉の横にあったプレートには、


「すべての黄色い魔法陣が青く輝く時、勇気ある者の証とみなし、その者に賢者の知恵を授けん・・・・」


と書かれていたが、迂闊に魔法陣に触れるのは危険なので、まずは宝箱の中を確認する。


カチャ!


宝箱の中には“魔法の本”が入っていた。


「おっ!こりゃすげえ!!魔法の本だぜ!!

アレン、これを使えば魔法を覚えられるのを知っていたか?」


「ああ、知っていた・・・・というか、俺もう本を使ったよ」


「なに~っ?!!

おめえどこで手に入れて、何の魔法を覚えたんだ?」


「賢者のセロ様の家で見つけた本で、ガードの魔法を覚えたんだ。

透明のシールドを張って、味方全体の防御力を上げられるから、強い敵と戦う時に使えるだろ?」


「そうだな、オレのマジックバリアとアレンのガードがあれば、強い敵とも有利に戦えるな!そりゃ、ナイスだぜ!!」


「それで、この魔法の本はどんな魔法を覚えられるのかしら?」


エレナが興味津々で尋ねた。


「う~ん、俺には何の本なのか分からねえな・・・・」


「ねえリサ、キミなら知っているんじゃないか?」


俺はリサに聞いてみた。


リサは少し離れた場所で、怖いプニの残骸を魔法の杖でツンツン突いていたが、俺に呼ばれると慌ててこちらへやって来た。


「あ~~~っ!!すご~い!

これって、ドレインの本じゃん!!」


「それって、どんな魔法なの?

教えてリサ!」


エレナに頼まれたのが嬉しくて、リサはすごく丁寧に教えてくれた。


ドレインの魔法は、敵単体の体力を奪い取って自分の物に出来る吸収魔法である。吸収魔法にはこれ以外にも敵単体のマジックパワーを奪い取る“不気味なダンス”という魔法もあるらしい。

いずれも禁断の超魔法と言われる暗黒魔法に属し、それらにはファイアーやフレアーのようなランクは無いと言われているが、使い手によってはその範疇を超え事もあるそうだ。


ドレインの魔法に関して言えば、通常は敵単体からしか体力を奪えないが、それを超越した上級魔導師もいるらしい。

リサの教育係であるマリー先生がそうで、彼女の使うドレインには敵単体という常識が当てはまらないそうだ。


ソーネリアの南にあるディゴンの森で、ワーウルフが大量に集まって人を襲った事件では、討伐隊の隊長を務めたマリー先生が、数百のワーウルフをたった一人で殲滅させたそうだが、その時に使った魔法がドレインだと言われている。


「どひゃ~っ!あの美人の先生、そんなに恐ろしい人なのかよ?

あぁ、よかった・・・・」


何かを企んでいたらしいネイルは、リサの話を聞いて思いっきりビビッていた・・・。


「じゃあ、リサがこの魔法を覚えたら?

マリー先生の弟子なんだし、リサならきっとマリー先生のようにこの魔法を使えるようになると思うわ!」


エレナがそう言ったので、リサはすごく嬉しくなって、やる気満々でドレインの魔法を覚えた。


「う~わ~!! あいつに、そんな恐ろしい魔法を覚えさせたら・・・。

オレはもう知らねえぞ!!」


大いにビビるネイルであった。


 宝物をゲットした俺たちが次に取った行動は、謎の魔法陣の解析であった。

黄色い文字で描かれた魔法陣を、青い魔法陣に変えるという意味が分からないので、恐る恐る魔法陣の中央まで進んでみた。

すると、魔法陣が急にピカッと光り輝いた。


ビ~~~~~~ン!!!


気が付くと、まったく別の黄色い魔法陣まで飛ばされていた。

目の前には宝箱が一つと、怖いプニがプカプカと浮かんでいる。

俺たちは慌てて怖いプニを倒すと、目の前の宝箱の中から毒消し草を五つゲットした。

そして飛ばされて来た黄色い魔法陣にもう一度乗ると、俺たちは再び元の魔法陣へ戻されたのだった。

だがこの時には黄色だった魔法陣の色は青色に変わり、ワープの力が無くなっていた。

つまり黄色の魔法陣でワープすると、その魔法陣の色が青色に変わり、それからはワープできなくなるのだ。

このダンジョンには数か所の魔法陣があり、そのすべての魔法陣でワープしなければ、緑の結晶石を手に入れる事が出来ない仕組みになっていた。


あみだくじの様な複雑な細い迷路を、黄色い魔法陣を探して移動するのだが、途中あのマリモのような魔物にぶつかり、何度も遺跡の入り口まで飛ばされた。

それでもほぼ全部の魔法陣を青色に変えたのだが、中央に見える赤い魔法陣の所へだけはなかなかたどり着くことが出来ないでいた。


視覚を錯覚させるような作りになっており、赤い魔法陣を目指して行くと、いつの間にか同じ道を何度もたどっているという、ひどいダンジョンであった。

そこで考えを変えて、赤い魔法陣から出来るだけ遠くへ離れるようなコースを進み、ようやく赤い魔法陣へたどり着いた時には、ダンジョン内の怖いプニは全滅していた。

赤い魔法陣の上に乗ると、それが青い色に変わると同時に、中央の隔離された場所にある青色の宝箱の魔法陣へとワープした。


俺たちは、ようやく緑の結晶石を手に入れる事が出来たのだ。



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