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アルモアの星伝説  作者: トド
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第十話 マードラの遺跡 その二

マードラの遺跡は今までとは違い、思った以上に敵が強くて魔力の消費が大きい。

昨日のような戦いでは遺跡の攻略に何日かかるか分からないので、一つ300ゴールドと値段は高いが、奮発して魔法の薬を五つ買った。

けど、これでも俺やネイルなら薬一つで魔力はほぼ全回復するが、リサやエレナでは半分ぐらいしか回復しないのだ。

本当はもう少し買いたいところだが、マードラの遺跡ではまだ何も見つけていないし、敵も強い割には落とすお金が少なく、残りの所持金は5000ゴールドになってしまった。


「今日は財宝の一つでも見つけて帰らねえとな・・・・」


と、ネイルはお金の方に執着し、肝心のミューゼの書を手に入れるという目的を見失っているようだ。


マードラの遺跡の攻略二日目。

赤い結晶石で扉を開け、中に入った。


ギギギギ・・・・・・イ・・・・。


ガシャン!!


「ひええ~~~~~っ」


扉が閉まると、やはりリサは怖くて悲鳴を上げた。


今日は通路を東に進んだ。

昨日と同じように、こちらにも扉があり、兵士の亡霊がそこを守っていた。

二体の敵を、エレナのトルネードの魔法を二発。

リサのファイアを一発。

俺とネイルの攻撃でぶっ倒した。

すると兵士の亡霊は蒸発して消えて行ったのだが、その場所になにやら変わった石板のような物が残っていた。

手に取って見ると、それは紋章のカケラであった。


その紋章のカケラを、正面の鍵の掛かった大きな扉の横にあるプレートの凹みに合わせてみると、見事にピッタリと合った!

だがこれ一個では凹みの隙間が埋まらない、どうやら残りのカケラが必要のようだ。

元の扉に戻り中に入ると、広い部屋があったが、そこには何もない。

その何もない部屋の奥にはもう一つ扉があり、鍵が掛かっている。

そして扉の左の上、手の届かない高い位置にスイッチが付いていた。

実は昨日の牢屋の部屋の前にも、これと同じ部屋があったのだ。


その部屋のスイッチは、丸い押しボタン式のスイッチで、同じく高い位置に設置されていた。その時は、エレナが弓矢でそのスイッチを狙い、扉の鍵を簡単に開ける事が出来たのだが・・・。

この部屋のスイッチは、昨日のとは形状が違うブレーカーのスイッチであった。

誰がこのスイッチを入れるのか話し合った結果、やはりここは昨日と同じくエレナにやってもらう事で、話はまとまった。


「矢をあのスイッチに当てればいいのね?

簡単、簡単!わたしに任せて!!」


エレナはスイッチめがけて矢を放った。


バシュ!


キーン!


矢は見事スイッチに当たったが、スイッチのレバーの位置が変わらず、開錠に失敗した。

その途端である。

急に警報装置が作動し、けたたましい音のサイレンが鳴り響き、兵士の亡霊三体が出現したのだ。


「どひゃ~~っ!!」


俺達は慌てて戦闘態勢を取り、敵を迎え撃った。


エレナは申し訳なさそうな顔でしょんぼりしているが、これは完全に俺達の読み違いで、エレナにミスはない。


「よし、今度は俺がやってみる!」


「おい、おい、おめえがどうやってあのスイッチのレバーを動かすんだよ?」


ネイルが心配して聞いた。


「爆弾をあのスイッチの少し上で爆破させ、その爆風でレバーを下げるのさ」


俺は自信たっぷりにネイルに答えた。


「おっ!なるほど!!」


ネイルは意外にあっさりと納得したようだ。

一応失敗した時のために、他の三名は戦闘態勢で敵に備えている。


シュッ!


ボカーン!!


爆弾はスイッチの少し上で爆発したが、レバーの位置は変わらなかった。

それどころか爆弾の威力が強すぎて、壁が大きく崩れ落ち、もう少しでスイッチもろとも破壊してしまうところであった。


「アホか~~~っ!!」


ネイルの怒鳴り声と同時に警報が鳴り響き、三体の兵士の亡霊が現れた。


オレはペコペコ頭を下げながら、ヒールの魔法で全員の体力を回復させた。


「仕方ねえな!今度はオレ様がやってやるぜ!!」


ネイルはムチの先端に短いロープをくくり付け、スイッチめがけて振った。


ヒュン!


ペチッ!!

ガチャン!!


ロープの先端がスイッチのレバーに絡みつき、今度は見事に下げることに成功した。


「ヘヘ~ン!どんなもんだ!!

オレ様にかかれば、こんなトラップ楽勝だぜ!!」


ネイルは腕を組み、すごく偉そうな態度である。


(だったら最初からお前がやれよ!!)


俺は心の中でそう叫んだが、もちろんエレナもリサもそう思っているのに違いない。


扉を開けると、何もない広い部屋に出た。

良く見ると、奥の壁に魔人の顔が四つ彫られてある。

ドルドガの廃鉱にあった、例のヤツであった。


さて、一体どの顔から爆破するか・・・・。


「どのみち全部ぶっ壊すんだから、左から順番に行こうぜ!」


「それも、そうだな・・・」


ネイルの言う通り、一番左の魔人の口に爆弾を仕掛けた。


シュッ!


・・・・ボン!!


岩が砕け、中から勢いよく二体の悪霊が飛び出した!!


ドルドガの廃鉱では地霊が一体飛び出て来ただけで苦戦したが、今度はさらに強い悪霊が二体も飛び出て来たのだ。

無論オレ達は魔力の消費を気に留めず、全力で戦った。

そうでなければ勝てない気がしたのだ。

この時すでに俺は、ヒールのレベルアップした技、ヒールⅡを習得していたので、いつでも発動できる準備をしていた。

そしてエレナが敵の攻撃を二回受けてしまったので、すぐさま発動させようとした時、リサのファイアⅡが悪霊にとどめを刺し、何とか無事に勝利する事が出来た。


危なかった、エレナがもう一発攻撃を受けていたら、間違いなく戦闘不能になっていただろう。

俺は魔法で全員の体力を回復しながら、冷や汗が背中を伝うのを感じた。


左から二つ目の魔人、三人は俺が爆弾をセットするのを緊張した面持ちで見守っている。

ネイルが目で合図した。


シュッ!


・・・・ボン!!


爆破した顔の中から1500ゴールド見つけた。


「ふ~っ!緊張するぜ~!

1500ゴールドか、今朝買った魔法の薬代を取り返したぜ!」


「まだ魔法の薬は一つも使っていないし、これなら何とか行けそうだな」


そう言うと、俺は三つ目の魔人に爆弾をセットした。


シュッ!


・・・・ボン!!


爆破した顔の中から爆弾を五つ見つけた。


「よし、最後の魔人の顔を爆破するぞ!」


シュッ!


・・・・ボン!!


すると爆破した魔人の顔から地下へ続く階段が出現した。


「隠し通路だな、いよいよこれからが本番だぜ!」


オレ達は通路を使い、次の場所へと移動した。


長く狭い通路を慎重に進んでいくと、前方から異様な音が聞こえ始めた。


「あの音は何かしら?なんだか水の流れる音のように聞こえるんだけど?」


耳のいいエレナが真っ先にその異音に気づいた。

そして進むにつれてその音は大きく激しい音へと変って行く。


薄暗い通路を抜けると、目の前には驚くほど広大な空間が開ける場所に出た。


「おい、おい!地下にこんな場所があっていいのかよ~?!」


ネイルが驚くのは無理もない。

周囲を絶壁に覆われたその場所には、幾本もの滝から大量の水が流れこみ、激流となって渦巻いていたのである。


そしてその激流の中に、孤立した五つの島が点在していた。


「おい、おい・・・。一体何の冗談だよ~」


俺はその島の様子を見て、思わず固まってしまった。

その横でリサが目をキラキラさせているのは何故?


島一つ一つには魔人の顔の付いた石柱と、通路になっている石柱がいくつも並んでいた。

これは恐らく石柱同士がワープゾーンで繋がっていると言う事だろう。


そして、いま俺達が立っている場所には魔人の顔の付いた二つの柱があった。


「おい!こりゃあとんでもねえ数の石柱だな!」


うんざりした顔でネイルがぼやくが、先へ進むにはとにかくやるしかない。

俺たちは手当たり次第に魔人の顔を破壊して行った。


破壊した顔からは、次の島へ通ずる隠し通路やレアなお宝もあったが、恐ろしい魔人の出現や巧妙な罠などもあり、思いっきり苦戦したのだが、何とか分断された五つの島のうち四つの島を攻略し、紋章のカケラを一つ入手する事が出来た。



「よし、この紋章のカケラを正面の扉にはめ込んで、今日は終了にするか!」


そう言うと、ネイルはエスケープの魔法を発動し、一瞬にして俺達は遺跡の入り口の扉まで飛ばされた。

そして紋章のカケラを凹みにはめ込んでみると、ピッタリと枠に収まったが、まだ完全に隙間が埋まる事は無かった。


「ちっ!あともう一つ必要だな」


忌々し気にネイルがぼやくが、俺たちにはもうこれ以上戦う力は残っていない。

明日に期待し、村まで引き上げたのだった。


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